(へき)は、古代中国で祭祀用あるいは威信財として使われた玉器。

前漢時代の楚王墓から出土した璧

多くは軟玉から作られた[1][2]。形状は円盤状で、中心に円孔を持つ。表面に彫刻が施される場合もある。

概要 編集

璧の起源は良渚文化まで遡り[3]、当時はと共に神権の象徴として扱われていた[4]

良渚文化が衰えたのちも、璧は主に中原龍山文化へ伝播し、中原では二里頭文化の時期にいったん姿を消すが、代に再び現れる[5]

代に至り、璧は礼法で天を祀る玉器として規定された[1][6]。また『周禮』は、諸侯が朝ずる際に天子へ献上するものとして璧を記している[7]

璧は日月を象徴する祭器として、祭礼用の玉器のうち最も重要なものとされ[1]春秋戦国時代代においても装飾性を加えて盛んに用いられた[3]。「双璧」「完璧」「白璧」など優れたものを意味する熟語としても使われている。

北京オリンピックメダルの裏面には、翡翠を使った璧があしらわれた[8]

脚注 編集

  1. ^ a b c 飯島 (2003) p.43
  2. ^ 松丸ら (2003) p.210
  3. ^ a b 松丸ら (2003) p.54
  4. ^ 趙ら (2006) p.169
  5. ^ 松丸ら (2003) p.54-56
  6. ^ 尹 (2007) p.222
  7. ^ 飯島 (2003) p.136
  8. ^ Design of the Medal for the Beijing 2008 Olympic Games” (英語). The Official Website of the Beijing 2008 Olympic Games. 2010-12-26T12:17Z閲覧。

参考文献 編集

  • 松丸道雄(編)、池田温(編)、斯波義信(編)、神田信夫(編)、濱下武志(編) 編『中国史 1 -先史〜後漢-』山川出版社〈世界歴史大系〉、2003年。ISBN 978-4634461505 
  • 飯島武次『中国考古学概論』同成社、2003年。ISBN 978-4886212665 
  • 趙春青、秦文生 著、稲畑耕一郎(監) 編『先史―文明への胎動』後藤健(訳)、創元社〈図説 中国文明史 1〉、2006年。ISBN 978-4422202525 
  • 尹盛平 著、稲畑耕一郎(監) 編『殷周―文明の原点』荻野友範(訳)、崎川隆(訳)、創元社〈図説 中国文明史 2〉、2007年。ISBN 978-4422202532 

関連項目 編集