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示相化石(しそうかせき、facies fossil)とは、その化石が含まれる地層の堆積環境を明確に示す化石のことである。

概説編集

化石から、その生物の生きていた環境を推定することができた場合、その化石の存在により、その地層堆積した時の環境を推定できる。たとえばそれが熱帯に生息すると考えられる生物の化石であれば、その地域が当時は熱帯域の気候にあったと判断できるし、それが海岸性の生物であれば、その地点は海岸か、それよりさほど遠くないところであったと判断できる。

示相化石の条件編集

化石が示相化石として用いられる条件として、以下のものがあげられる。

  • 生息条件が限定されていること。
  • 現生のとの対比から生息環境についてある程度の推察が可能であること。
  • 現地性のものであること(後述)。

実際には、化石から、それが生きていたときの状態を考えるのはそれほど簡単ではない。新しい時代のものであれば、現生のとの比較を行うことによって、ある程度の推察は行える。同じ種と判断できれば、ほぼ同じ環境であったと考えてよかろうし、ごく近縁なものと判断されれば、その差からある程度の推察を行うことも可能である。たとえばゾウの化石が出れば、一般には温暖な地域であったのだと想像がつく。しかし、それがマンモスであれば、むしろ寒冷な地域であったと判断される。これは、マンモスが現生のゾウとは異なり、非常に厚い毛皮に覆われていたことから、寒冷な気候に適応していたと考えられるためである。

より古い化石の場合、現生の生物との対応はつけにくくなる。が、サンゴのように、現在の生物と比較して、その成育していた環境を判断できる場合もある。

サンゴは、古生代の初期から現在に至るまで、さまざまな地域で生息し、サンゴ礁を形成していたと考えられている。しかし、それを構成する動物の種は、時代によって大きく異なり、同じサンゴであっても、現生種と古生代のそれでは全く異なる群からなっている。また、サンゴ以外の動物(二枚貝など)が関与している例もある。

しかし、現在のサンゴ礁はすべて熱帯の浅い海にある。これは、造礁サンゴ共生藻を持ち、彼らの光合成産物によって生活し、同時に、サンゴの骨格形成に共生藻が関わっているためである。このことから、古代においてもサンゴ礁を形成する生物は似たような条件で、似たような生活を送っていたと推測される。ゆえに、ある地層でサンゴ礁の化石が発見された場合、そこはかつて、熱帯の浅い海であったと考えるのである。

化石の移動編集

示相化石を判断する際に重要なのが、その化石が現地性のものであるか、という点である。

ある生物が死亡し、堆積物中に取り込まれる過程で本来の生息場所から運搬された場合、その化石は示相化石としては役に立たない。堆積し、化石となった後にも乱泥流等で堆積物ごと移動した場合や、生物擾乱(バイオターベーション、bioturbation)によって擾乱された場合も同様である。

他にも、プレートテクトニクス理論により、海底はゆっくりと移動していることから、現在化石が発見された場所が、かつてその生物の生息していた場所だとは断定できないことに留意する必要がある。たとえば大東諸島の地下数百mにわたって堆積しているサンゴ礁の層は、その下の部分ほど太平洋の中央に近い場所で形成されたものと考えられている。同様に、本州に分布する石灰岩のうち、サンゴ礁起源と考えられているものは、その地域がその時代にサンゴ礁を保有していたと見るよりは、太平洋上で形成されたサンゴ礁が本州にまで運び込まれた(付加体)と考えた方がいい場合がある。

関連項目編集