ペルム紀
累代 | 代 | 紀 | 基底年代 Mya[* 3] |
---|---|---|---|
顕生代 | 新生代 | 第四紀 | 2.58 |
新第三紀 | 23.03 | ||
古第三紀 | 66 | ||
中生代 | 白亜紀 | 145 | |
ジュラ紀 | 201.3 | ||
三畳紀 | 251.902 | ||
古生代 | ペルム紀 | 298.9 | |
石炭紀 | 358.9 | ||
デボン紀 | 419.2 | ||
シルル紀 | 443.8 | ||
オルドビス紀 | 485.4 | ||
カンブリア紀 | 541 | ||
原生代 | 2500 | ||
太古代(始生代) | 4000 | ||
冥王代 | 4600 | ||
ペルム紀(ペルムき、Permian period)は、今から約2億9900万年前から約2億5100万年前までを指す地質時代である。ただし開始と終了の時期はそれぞれ数百万年の誤差がある。以前はドイツの(上下二分される)地層名から二畳紀(にじょうき)と呼ばれることが多かったが、近年はペルム紀と呼ばれることが多い。石炭紀の後、三畳紀(トリアス紀)の前の紀である。また、古生代の最後の紀であり、ペルム紀が終わると中生代となる。ペルム紀という名前は、ロシアのペルミという都市から名付けられた。ペルム紀は約2億7300万年前までを前期(Cisuralian)、約2億5900万年前までを中期(Guadalupian)、それ以降を後期(Lopingian)として区分される(こちらも開始と終了の時期はそれぞれ数百万から数十万年程の誤差がある)。
生息していた生物 編集
ペルム紀には、様々な植物、巨大な両生類や爬虫類が生息していた。その中には、恐竜や鳥類、現生爬虫類の祖先となる双弓類もいた。哺乳類の祖先に当たる単弓類(哺乳類型爬虫類)も繁栄し、陸上には豊かな生態系が築かれていた[1]。昆虫では完全変態の種族が進化したのも、この頃であった。ペルム紀の浅い海の堆積物からは、豊富な軟体動物、棘皮動物、腕足動物の化石が産出する。三葉虫なども繁栄していた[2]。
植物では、シダ植物に加え、イチョウ類やソテツ類といった裸子植物も繁栄を始めた。
既に節足動物と植物との間には密接な関係が構築されていた[3]。
また、特異な例であるが、この時代の微生物の培養が報告されている。約2億5000万年前に形成された岩塩層から、結晶内部に封じ込められていた古細菌と真正細菌の培養に成功し[注釈 1]、古細菌の方はハロバクテリウム科の新属新種 Halosimplex carlsbadense として記載された。
大陸配置 編集
ペルム紀の初期には、赤道付近に存在していたユーラメリカ大陸と、南半球から北上してきたゴンドワナ大陸が衝突し、パンゲア大陸と呼ばれる超大陸が形成されていた。北半球にはシベリア大陸が存在していたが、やがてシベリア大陸もパンゲア大陸と衝突し、ウラル山脈が形成され、ほぼ全ての陸地が1つの超大陸としてまとまることとなった。パンゲア大陸は赤道を挟み三日月状(Cの字)の形をとった。大陸の周囲はパンサラッサと呼ばれる大洋が囲んでおり、大陸の東側(三日月形の内側)には古テチス海と呼ばれる海が広がり、シベリア大陸からゴンドワナ大陸に、小大陸や島が点々と連なっていた。
気候 編集
ペルム紀の初期には、ゴンドワナ大陸が南極地域にあり、大規模な氷床が発達していたため、気候は寒冷だった。しかしゴンドワナ大陸が北上して南極地域を脱したことから、氷床は融解しはじめ、気温は上昇に転じた。ペルム紀の末期には激しい気温上昇が起こり、地球の平均気温は23℃にも達した。これは、6億年前から現在まででもっとも高い気温である。こうした気候の中で、パンゲアの内陸部には砂漠化が進行していた[4]。
ペルム紀末の大量絶滅(P-T境界事変) 編集
ペルム紀の終わり(P-T境界)に、地球史上最大規模とも言われる大量絶滅が起こった。このとき絶滅した種の割合は、海洋生物のうちの96%。全ての生物種の90%から95%に達すると言われる。原因はまだよくわかっていないが、スーパープルームにより地球史上もっとも激しい火山活動が起き(この火山活動が現在のシベリア・トラップを形成したとされる。噴出した溶岩の量は、富士山が過去一万年間で噴出した溶岩の量の10万倍である)、それによる気候変動がメタンハイドレートを融解させて更なる気候変動が起こるなどの大規模な環境変化が発生し、大量絶滅に繋がったとする説がある。
また、ペルム紀は前期と中期の終わりにも、何らかの原因で環境激変が起き、それぞれ中小規模の大量絶滅が起きていたようである。前期末はオルソン絶滅事変(en:Olson's Extinction)、中期末はキャピタニアン絶滅事変(en:Capitanian mass extinction event)と呼称される。ペルム紀にこれらの大量絶滅が相次いだことで羊膜類(爬虫類と単弓類)及び両生類といった四肢動物も又、その多くが絶滅していった。一方で、大量絶滅と生き残ったものによる適応放散が比較的短期間に繰り返されたことで、より派生的な形質への進化が多くの生物において促されることになった。哺乳類及び主竜類(ワニ、鳥類を含む恐竜)の直系の祖先も、この時代に出現している。
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
- ^ The faunal assemblages of Permian terrestrial vertebrates from Eastern Europe VK Golubev(VK Golubev:2000)
- ^ “陝西省の漢中ドリーネ群、大量の古生物の化石が初めて発見”. 人民網日本語版--人民日報 (2020年5月13日). 2022年2月3日閲覧。
- ^ Traces giving evidence of interactions between arthropods and plants in the Upper Permian of Euro pean Russia are analyzed; some traces are described as new. The authors of(DS Aristov:2013)
- ^ Biological and physical evidence for extreme seasonality in central Permian Pangea(Cindy V Looy:2016)
参考文献 編集
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関連項目 編集
外部リンク 編集
- At the end of the Permian was Greatest Extinction of All Time (英語)
- “地質系統・年代の日本語記述ガイドライン 2014年1月改訂版”. 日本地質学会. 2014年3月19日閲覧。
- “INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART (国際年代層序表)” (PDF). 日本地質学会. 2015年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月19日閲覧。
- 仲田崇志 (2009年10月29日). “地質年代表”. きまぐれ生物学. 2011年2月14日閲覧。