精密ろ過膜
精密ろ過膜(精密濾過膜、せいみつろかまく)とはろ過膜の一種で、孔の大きさが概ね50ナノメートル(ナノメートルは1ミリメートルの百万分の一)から10マイクロメートル(=10,000ナノメートル)の膜のこと。孔は限外ろ過膜よりも大きい。英語ではMicrofiltration Membraneといい、その頭文字をとってMF膜とも呼ばれる。
使い方
編集通常のフィルターと同様に液体を全量通過させてろ過を行う場合もあるが、クロスフロー方式(限外ろ過膜の項を参照)で使う方が膜が閉塞しにくく長期間続けて使用できる。
また、膜を水槽の中に露出して置き、下から強い散気を行いながら使う膜を浸漬膜(「しんしまく」が正しい読みであるが、業界では殆ど「しんせきまく」と読まれている)と呼ぶ。詳細は「構造」の項を参照。
用途
編集構造
編集- 浸漬膜方式の場合、水槽の中に膜を露出させ、下から散気による上昇流を起こして膜の表面に気泡を伴った強い流れを与えることで、クロスフロー方式と同様に膜の汚染を防ぐようにする。
その他の場合は限外ろ過膜と概ね同様であるので、そちらを参照されたい。
素材
編集- 酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン: 逆浸透膜の項を参照
- ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、セラミック: 限外ろ過膜の項を参照
- ポリプロピレン
- ポリカーボネート
- ポリテトラフルオロエチレン(商標名テフロン)
尚、日本の家庭用浄水器の精密ろ過膜は、構造はほぼ全てが中空糸膜、素材は殆どがポリエチレン、または近似物質であるポリオレフィンである。これらの素材はそのまま使うと水分子と違って分極がなく水を弾き、気泡などをいたずらに阻止してろ過がしづらくなる場合があるため、構成原子のうちの一部の水素原子を塩素原子(解離することはない)などに置き換え、分極を起こさせて使う。