納曽利 (なそり)は、雅楽の曲。別名は落蹲[1]双龍舞[1]納蘇利と表記する場合もある[1]。新楽、小曲。構成は、破および急の2部から成る。

真清田神社所蔵の「納曽利」の舞楽面、1211年承元5年)の作(重要文化財)。

概要 編集

 
納曽利

右方舞(高麗楽)に属する高麗壱越調 (こまいちこつちょう)の二人舞である[1]。一人舞の場合は曲名を「落蹲」(らくそん)と言う[2]。これは一人舞の場合、舞人が舞台中央で蹲(うずくま)る舞容があるためである。ただし、奈良の南都楽所では一般とは逆に一人舞の場合は曲名を「納曽利」、二人舞の場合は「落蹲」と呼ぶ[2]

曲の由来は不明[1]。かつては勝負舞として、左方舞の蘭陵王とともに舞われた[1][2]。2匹の龍が遊び戯れる様子を表したものといわれ[2]、童舞として舞われることもある[2]。平安時代、競馬や勝者に賭物が与えられる賭弓や、相撲の節会で舞われ、左方が勝つと「陵王」が、右方が勝つと「納曽利」が舞われたとされる[2]

装束 編集

二人舞のときは金青色の舞楽面を、一人舞のときは紺青色の龍頭を模した牙のある舞楽面を着け[要出典]、銀色の桴(ばち。細い棒のこと)を携える[2]

黄色系統の色の紗地に窠紋の刺繍をした袍を用い[要出典]、その上に毛縁の裲襠 (りょうとう)と呼ばれる袖の無い貫頭衣を着装し[2]銀帯を締める。[要出典]

女性や少年少女が舞う場合もあり、その場合は、舞楽面を着けずに山吹の挿頭花を挿した前天冠を着け、歌舞伎舞踊と同様の舞台化粧をする場合がある。[要出典]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f 日本古典文学大辞典編集委員会『日本古典文学大辞典第4巻』岩波書店、1984年7月、535頁。 
  2. ^ a b c d e f g h 納曽利|雅楽 GAGAKU”. www2.ntj.jac.go.jp. 日本芸術文化振興会. 2023年1月13日閲覧。