非相対論的量子力学において、初期状態が である自由粒子のシュレーディンガー方程式は以下のとおりである:
…(1)
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…(2)
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である。ここでx=(x1,...,xd)はd次元空間Rdの元であり、m>0は質量を表す定数である。物理的には次元dは3とするが、方程式の解法は3以外のdに関しても同様なので、以下dは3とは仮定しない。
本節では および
がxに関して全空間Rd上での絶対可積分性(=絶対値のRd上ルベーグ積分が有限値である事)を仮定した上で、(1)、(2)の解を導く。波動関数 、 は一般には(自乗可積分ではあっても)絶対可積分とは限らないため、この仮定は常に成り立つわけではない。そこで次節ではこのような仮定を置かない一般の場合の解法を述べる。
仮定より はxに関して絶対可積分であるので、変数xに関するフーリエ変換
-
が定義でき、 も可積分である。
(1)、(2)の両辺をフーリエ変換する事で、
- …(1')
- …(2')
を得る。ここで は のフーリエ変換である。
(1')、(2')は容易に解くことができて、
-
である。
最後に上式をpに関して逆フーリエ変換して、(1)、(2)の一般解
…(a)
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を得るT09:p205。ここで
...(b)
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積のフーリエ逆変換が畳み込み積に対応している事を利用して(a)のフーリエ逆変換を具体的に計算することで、
…(c)
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と書くこともできる。なお、 がRd上の可積分関数でない関係で(a)から(c)を直接得ることはできず、代わりに を考えてフーリエ逆変換した上で、ε→0とする必要があるT09:p206。
波動関数 および は一般には(自乗可積分ではあっても)絶対可積分とは限らないため、一般の場合の解を得るには前節の議論を修正する必要がある。
前節との違いはフーリエ変換の定義である。 (および )の全空間 上での絶対可積分性を仮定していないため、 上のフーリエ積分
-
は一般には意味を持たない。
そこでまず原点中心の半径rの球体B(0,r)上のフーリエ積分
-
を考え、この積分のL2極限
-
によりフーリエ変換を定義する新井(p197)。
ここでL2極限l.i.mは以下のように定義される:
-
なお、波動関数 がxに関して自乗可積分である事から、B(0,r)上での の絶対可積分性は保証されるので、B(0,r)上のフーリエ積分は意味を持つ。
以上の理由により、一般の場合の解は、(a)、(c)の右辺の積分をL2極限に置き換えた以下のものとなるT09:p206:
...(a')
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...(c')
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ここでE(p)は(b)で定義されたものである。