航宙軍士官、冒険者になる
『航宙軍士官、冒険者になる』(こうちゅうぐんしかん、ぼうけんしゃになる)は、伊藤暖彦による日本のライトノベル。イラストはhimesuzが担当している。ファミ通文庫(KADOKAWA)より2019年12月から刊行されている。
航宙軍士官、冒険者になる | |
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ジャンル | SF、ファンタジー、アドベンチャー |
小説 | |
著者 | 伊藤暖彥 |
イラスト | himesuz |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | 小説家になろう |
レーベル | ファミ通文庫 |
連載期間 | 2017年8月10日 - |
刊行期間 | 2017年8月10日 - |
巻数 | 既刊4巻(2019年12月現在) |
漫画 | |
原作・原案など | 伊藤暖彥(原作) |
作画 | たくま朋正 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | 電撃コミック レグルス (旧名・WEBデンプレコミック) |
レーベル | 電撃コミックスNEXT |
発表期間 | 2018年12月20日 - |
巻数 | 既刊7巻(2024年2月現在) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル・漫画 |
ポータル | 文学・漫画 |
小説投稿サイト『小説家になろう』で2017年8月10日に連載開始された[1]。書籍化の打診を受け、2018年11月30日からファミ通文庫で刊行が始まった。書籍化後も『小説家になろう』での連載は継続している。以後、特に断りがない場合は書籍版について記載し、『小説家になろう』版はWeb版と記載する。
2020年2月時点でWeb版の更新が途絶え、原作者である伊藤暖彦による今後の展開も不明(2023年11月時点)だが、漫画版は原作を離れ2023年11月24日からオリジナルの展開を進めている。
2019年には『ラノベ好き書店員大賞2019』単行本部門1位を獲得した[2]。
あらすじ
編集- 邂逅編
- 帝国航宙軍兵士アラン・コリントの乗艦する航宙艦イーリスは、超空間航行中に未知の攻撃を受けて航行不能となり、アランはただ一人、脱出ポッドで目前の惑星に不時着した。降り立った惑星には驚くことに、アランの遺伝子の系譜に連なる人類が繁栄し、さらにはこの惑星の人類は"魔法"なるものを使っていたのだった。アランと、彼に共生するナノマシン[ナノム]は、科学技術を駆使して"剣と魔法の世界"を調査しつつ、サバイバル生活を送ることになる。[3]
- アラン・コリントは、グレイハウンドの群れに襲われていたクレリア・スターヴァインを救助する。その返礼として、クレリアから、言語や魔法を習得することになる。治療が終わったクレリアとともに旅をすることになり、タラス村に立ち寄る。そこで護衛の仕事を請けてゴタニアに向かうのだった。
- 冒険者編
- ゴタニアに向かう途中で盗賊から救出したタルスは、ゴタニアの有力商人だった。タルスからの支援と盗賊捕縛の報奨金をもとに冒険者としての体裁を整えていった。そんな中、臣下のエルナと再会したクレリアから自身が亡国スターヴァインの王女であったと説明され、アランは助力する事を決める。
- 冒険者として過ごすアランのもとにセリーナ/シャロンの姉妹が訪れる。航宙艦イーリスが無事であると知ったアランは、現在の艦の状況、バグスによりこの惑星が襲われるリスク、帝国軍との合流の可能性について艦のAI であるイーリスから説明を受ける。アランは、この惑星を人類銀河帝国に編入し、バグスの襲来に備える決意をする。
- 一方で、クレリアはスターヴァインの残党と合流しつつあった。スターヴァイン王家の再興を願う彼らは、指導者としてアランを仰ぎ、冒険者としてクランを結成、ゆくゆくは国を取り戻さんと決意を新たにする。その舞台として、城塞都市ガンツに居を移すことになる。
- 城塞都市ガンツに到着した一行は、希少な魔物の討伐や、盗賊の討伐で名を上げ、クランハウスを手に入れた。後続の仲間とも合流しクランの規模は拡大する。スタンビードに備えた冒険者ギルドによる討伐依頼に対応している頃、ドラゴンが表れる。アランが単独でドラゴンの確認に向かい戦闘となるが、そこに別のドラゴンが現れ敵対、二頭の戦闘となる。アランはドローンで最初のドラゴンを倒し、衰弱したもう一方のドラゴンを助けた。ドラゴンを調べると、他の惑星の知的生物サティロンと遺伝的に近いことが判明する。アランの治療により意識を取り戻したドラゴンはグローリアと名乗り、戦闘用ドローンを率いるアランに恭順の意を示すのだった。
- ドラゴンを討伐したことで名を上げたアランは、男爵に列せられ、『魔の大樹海』を得ることとなった。
- 貴族編
- アランは、王都に蔓延る賊を討伐するために護国卿に任じられる。500人を超える賊を討伐する一方で、『魔の大樹海』に開発している都市への移民を募るのであった。
主な登場人物
編集- アラン・コリント
- 銀河航宙軍宙兵隊の士官。他の乗組員が全員死亡したため、航宙艦イーリスの艦長に就任し、その直後に未知の惑星に脱出した[3]。
- イーリス・コンラート
- 航宙艦イーリス・コンラートのAI。アバターは戦死したイーリス・コンラート准将の生前の姿を模している[3]。
- クレリア・スターヴァイン
- スターヴェーク王国の王女。謀反によって国を追われた。火魔法を得意とし、剣の腕も立つ[3]。
- エルナ・ノリアン
- 若くしてクレリアの近衛騎士に抜擢された剣と魔法の使い手。趣味は裁縫で、一人でドレスを作れるほどの腕前[3]。
- セリーナ・コンラート/シャロン・コンラート
- イーリス・コンラート准将のクローンである姉妹。セリーナとシャロンの名前は、イーリス・コンラート准将の娘の名前を由来としている。航宙艦イーリス・コンラートのAIが、艦に保存されていたイーリス・コンラート准将の体組織から「航宙軍の戦力維持」のため育成した。帝国新国教会のお触れで帝国航宙軍艦には艦の名の由来となった亡き士官の体組織が保存されている。セリーナとシャロンにはアランに対する特定の感情を刷り込まれている節がある。
- 謎の存在
- 漫画版において、クレリアの姿でアランの前に姿を見せた謎の存在。人類種の存続を目的とする神に類する存在で物語の黒幕である可能性が示唆されている。惑星アレスに存在しているオーパーツの存在にも深くかかわっていると推定される。
用語・世界観
編集- ナノム
- ナノムとは、航宙軍兵士であれば誰でも体内で共生・培養している、軍用のナノマシンの略称。
- 電子顕微鏡でしか見えないほどの極小の機械で、単体ではなんの機能も持たず、最低でも1千億単位以上の集合体を形成して機能するシステム。
- AI機能、体内のモニター、医療・修復機能、五感への完全なアクセス、短距離の通信機能などを備え、一種のマルチシステムといえるものである。
- 人間の通常の食事の成分から作製することはできず、作製には、特殊なレアメタルが必要[3]。
- バグス
- 昆虫を大きくしたように見える知的生命体で、様々な種類が確認されている。
- 一番ベーシックなタイプが、8本足の、ゴキブリを少し細長くして上半身を反らせて身を起こしたようなタイプ。
- ゴワゴワとした体毛と外殻に被われており、これだけでも人類が怖気を震うには十分だが、それに加えて極めて不潔でギトギトに脂ぎっているうえに、数種類の寄生虫をその身に宿している。
- 人類よりも遥かに高い戦闘能力を持ち、素手での戦闘であれば全く敵わない。
- しかし、千年にわたる戦いの中で人類はその差を改善すべく努力し続けており、現在では航宙軍宙兵であれば素手での戦闘で互角の戦いができるところまで戦闘能力を上げることに成功していた。
- バグスも超空間航行を行うことのできるテクノロジーは持っているが、テクノロジーでは人類のほうが数段進んでいる。
- バグスの恐ろしいところは、圧倒的なその物量にある。バグスに狙われた植民惑星は、次々と出現するバグスの艦隊に襲われることになる。
- 専門家の分析では人類とバグスの生産性、物量の比は1対6だった。しかし、発見されるバグスの植民惑星に特別な生産力はなく、植民惑星の数も人類と大差ないと思われた。
- そのため、専門家の間ではどこかにバグスの母星系と思われる大規模な繁殖・生産拠点があるという説が有力で、そこさえ発見し、殲滅することができれば、この長きにわたる戦争を終わらせることができると考えられていた[3]。
既刊一覧
編集小説
編集巻数 | タイトル | 発売日 | ISBN |
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1 | 航宙軍士官、冒険者になる | 2018年11月30日[3] | 978-4-04-735386-2 |
2 | 航宙軍士官、冒険者になる2 | 2019年3月30日[4] | 978-4-04-735545-3 |
3 | 航宙軍士官、冒険者になる3 | 2019年8月30日[5] | 978-4-04-735727-3 |
4 | 航宙軍士官、冒険者になる4 | 2019年12月27日[6] | 978-4-04-735870-6 |
漫画
編集たくま朋正の作画で漫画化され、『WEBデンプレコミック』で2018年12月20日から配信開始されている。
巻数 | タイトル | 発売日 | ISBN |
---|---|---|---|
1 | 航宙軍士官、冒険者になる | 2019年6月26日 | 978-4-04-912596-2 |
2 | 航宙軍士官、冒険者になる2 | 2020年3月26日 | 978-4-04-913050-8 |
3 | 航宙軍士官、冒険者になる3 | 2020年11月27日 | 978-4-04-913407-0 |
4 | 航宙軍士官、冒険者になる4 | 2021年8月27日 | 978-4-04-913916-7 |
5 | 航宙軍士官、冒険者になる5 | 2022年6月27日 | 978-4-04-914480-2 |
6 | 航宙軍士官、冒険者になる6 | 2023年1月27日 | 978-4-04-914857-2 |
7 | 航宙軍士官、冒険者になる7 | 2024年2月26日 | 978-4-04-915584-6 |
脚注
編集- ^ a_itoh(伊藤 暖彦), 航宙軍士官、冒険者になる, 小説家になろう 2019年2月17日閲覧。
- ^ “ラノベ好き書店員大賞2019:文庫部門『七つの魔剣が支配する』、単行本部門『航宙軍士官、冒険者になる』が第1位に輝く”. ラノベニュースオンライン (2019年4月14日). 2020年5月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “航宙軍士官、冒険者になる”. KADOKAWA. 2019年2月17日閲覧。
- ^ “航宙軍士官、冒険者になる2”. KADOKAWA. 2019年3月3日閲覧。
- ^ “航宙軍士官、冒険者になる3”. KADOKAWA. 2019年8月31日閲覧。
- ^ “航宙軍士官、冒険者になる4”. KADOKAWA. 2023年2月9日閲覧。