菅谷 藍(すがのや あい、1908年明治41年〉5月10日[2][1] - 2022年令和4年〉頃[3][注釈 1])は、日本の書道家作家長寿の女性(スーパーセンテナリアン)。菅谷 あいとも表記される[4][5]

すがのや あい

菅谷 藍
生誕 (1908-05-10) 1908年5月10日[1]
日本の旗 日本山形県
住居 日本の旗 日本大阪府吹田市
国籍 日本の旗 日本
別名 菅谷 李径
出身校 山形県立長井高等女学校
職業 書道家
団体 日本春秋書芸院
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2018年(平成30年)6月時点で、110歳の現役書道教師として活動していた[6]。書家としては、日本春秋書芸院の雅号「菅谷李径」の名義で活動[7]

来歴 編集

郡長を務めた父と、文学好きの母の間に、8人兄弟の四女として誕生。幼いころからの夢は「作家になること」だった。高等女学校を卒業し、1932年、24歳で結婚。わずか4年で夫が結核に倒れ、29歳で死別。

夫婦に子供はいなかった。

戦時中は女子挺身隊の隊長として大阪市内の軍需工場に勤務した。戦時中から執筆活動に従事し、1942年(昭和17年)、大阪毎日新聞社東京日日新聞社による「婦人日本女性新人賞」を受賞。終戦後の1947年(昭和22年)、神戸神港新聞(神港新聞朝刊長編小説「夕顔夫人」を掲載。1958年(昭和33年)、西田王堂に師事し、書の道に入った[8]。活動が報じられたのは2018年(平成30年)6月が最後だった。GRGは、2022年2月8日に113歳273日で菅谷を存命の世界長寿者第13位として認定したが[9]、3カ月後には「Limbo」(生存が1年以上確認できない、もしくは死亡日がはっきりしていない人物)と判断した[10][11][12]

書道 編集

もともと菅谷は乱筆であった。黄檗山機関誌編集をしていた頃、ある料亭で集まった全員が寄せ書きをする機会があったという。その際、菅谷も一筆入れたが、誘った印刷会社社長から翌日に謝られた。「あんな下手な字を書かせて、恥をかかせてしまった」という理由である。乱筆の自覚がなかった菅谷は、社長がなぜ謝っているのか、すぐに理解できなかったという。そして「でも、松岡先生だって変な字書いとったね」と、同じ場に居合わせた書道家・松岡について評価した。松岡は隷書の達人と呼ばれていた人物である(菅谷は当時、隷書を知らなかった)[13]

菅谷は文学で身を立てることを目指していたが、順調には進まなかった。そんな折、知人の女性に勧められ、気が進まないままに八卦の占いを受ける。八卦見は菅谷に対して「文学は趣味にすべき。仕事にするなら書道である」と述べた。その後数人の八卦見による占いを受けたが、やはり全員の答えが「書道をすべき」であった。ある男の八卦見は、菅谷の顔を見るなり「書道で一生を送る人でんな」と告げた[13]

100歳以降の生活 編集

食生活 編集

110歳時点で、甘いものが好物だが、辛いものも好んで食べる。「特別に好きというものはない」「何でも好き」と語っている。なら肉を好み、牛肉豚肉を特に好む。鶏肉は「あっさりしすぎている」ため、あまり好きではないという。アルコールを嗜んでおり、特に夏はビールを好む。「飲む人とお付き合いとなれば、私なんぼでも飲むよ」と語っている。「牛肉をバターで炒め、刻んだネギを少し入れて醤油をたらす」という簡単な料理を特に好んで行う[6]

日課 編集

100歳時点でのインタビューにおいて「新聞を毎日欠かさず読む」と答えている。最初に小説を読み、全部で1時間ほど書けて読むという。分からないカタカナ語などは書き出し、弟子に教えてもらうという[14]

著作 編集

出演 編集

  • 百歳バンザイ! ひとり暮らしも、また楽し(2008年10月18日、NHK)[15]
  • 情報ライブ ミヤネ屋~この国で笑顔で老いるために~102歳の女性と考える“社会”と“自分”の在り方(2010年8月10日、日本テレビ)[16]
  • Nスタ Nトク/元気の秘けつを学べ!100歳の現役さんが大集合!(2010年9月21日、TBS)[16]
  • 情報ライブ ミヤネ屋(2011年9月19日、日本テレビ)[17]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ コメント欄に114歳になる前の春に亡くなった旨が記載されている。

出典 編集

  1. ^ a b 厚生労働省発表 平成21年9月11日”. 厚生労働省 (2009年9月11日). 2021年3月20日閲覧。
  2. ^ “110歳の現役書道教師「化粧は欠かさん。1歳でも若くみられたいから」”. 女性自身 (光文社). (2018年6月9日). https://jisin.jp/domestic/1636858/ 2021年3月20日閲覧。 
  3. ^ 梅原千鶴 [@chizuruumehara] (2018年9月22日). "今日、御年110才になられた菅谷藍さんをお訪ねしました。". Instagramより2023年11月25日閲覧
  4. ^ 本年度中に百歳になられる高齢者」厚生労働省
  5. ^ 吹田市役所」吹田市役所 公式Facebookページ
  6. ^ a b “110歳の現役書道教師「甘いもの、牛肉が好き。いまでも自ら台所に立つ」”. 女性自身 (光文社). (2018年6月9日). https://jisin.jp/domestic/1636879/ 2021年3月20日閲覧。 
  7. ^ 菅谷李径先生インタビュー”. 日本春秋書芸院. 2021年3月20日閲覧。
  8. ^ 菅谷藍 プロフィール”. HMV&BOOKS. 2021年3月20日閲覧。
  9. ^ GRG World Supercentenarian Rankings List - ウェイバックマシン(2022年2月10日アーカイブ分)
  10. ^ GRG World Supercentenarian Rankings List - ウェイバックマシン(2022年5月13日アーカイブ分)
  11. ^ GRG World Supercentenarian Rankings List - ウェイバックマシン(2022年5月16日アーカイブ分)
  12. ^ 厚生労働省の2022年の人口動態統計(確定数)によると2022年4月頃に亡くなった可能性がある。死去時日本国内で4位~5位の長寿であったとみられる。
  13. ^ a b 菅谷李径先生インタビュー(1) どのようなことで日本春秋書芸院にかかわりをもたれたのですか?”. 日本春秋書芸院. 2021年3月20日閲覧。
  14. ^ “「100歳を生きる」書道家 菅谷藍 おおさかの街・70号”. おおさかの街. http://www.mmjp.or.jp/machi/70/70suganoya.html 2021年3月20日閲覧。 
  15. ^ NHK番組表ヒストリー”. NHK. 2021年3月20日閲覧。
  16. ^ a b テレビ紹介情報”. 株式会社ワイヤーアクション運営. 2021年3月20日閲覧。
  17. ^ テレビ紹介情報”. 価格.com. 2021年3月20日閲覧。

関連項目 編集