酒屋看板(さかやかんばん)は、酒屋の屋根上や店内などに掲げられた看板日本酒を中心とする醸造品の広告宣伝に用いられる。

酒屋看板を掲げた酒屋
酒屋看板を掲げた酒屋

概要 編集

設置場所による分類としては、屋根上などに掲げられた外看板、店内などに掲げられた内看板の二種類がある[1]。外看板は銅製が多く、内看板は木製(主に造り)が多い。内看板は半畳ほどの大きさである[1]

土台には銅板や欅板などを用いており、装飾には金箔などを用いている[1]。一般的には大きく金文字で商標(商品名)などが書かれ、その他には屋号などが書かれている[1]

酒屋の開店時や改装時などに酒造メーカーや醸造メーカーから寄贈されたものが多く、売上の多い酒屋ほど多数の看板を有している傾向がある[1]

歴史 編集

江戸時代には江戸を中心として、酒屋両替屋将棋駒屋、煙管屋、印判屋など様々な店に商品の吊り看板が設置されるようになった[2]。当初は木板に墨で文字を書いていたが、その後は刻字が用いられるようになり、やがて絵看板なども登場した[2]

明治初期には新聞という新たなメディアが登場し、商品の多色刷り広告が一般的になったこともあって、明治中期には木板にブリキを貼った豪勢な酒屋看板が登場した[2]。屋号よりも銘柄(商標)が重視されるようになったのもこの頃である[2]。明治末期には博報堂電通といった広告代理店が創業し、複雑な図案の看板も制作されるようになった[2]

右横書きの看板は戦前に製作されたものである[1]。酒屋看板の製作費は高額であり、職人も少なくなっていったことから、昭和40年代頃には看板の贈呈が行われなくなったとされる[1]

商品の種類 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g 町田忍『町田忍の昭和遺産100』天夢人、2021年、52-53頁。 
  2. ^ a b c d e 西原礼之助「酒屋の看板」『日本醸造協会雑誌』第75巻第8号、日本醸造協会、1980年、653-658頁。 

参考文献 編集

  • 西原礼之助「酒屋の看板」『日本醸造協会雑誌』第75巻第8号、日本醸造協会、1980年、653-658頁。 
  • 町田忍『町田忍の昭和遺産100』天夢人、2021年、52-53頁。