重核子爆弾

宇宙戦艦ヤマトシリーズの登場兵器

重核子爆弾(じゅうかくしばくだん)は、アニメ『ヤマトよ永遠に』『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の兵器。ハイペロン爆弾とも呼ばれる[注 1]。デザイン担当は辻忠直[1]

概要 編集

暗黒星団帝国が地球侵攻に投入する超大型爆弾であり、宇宙戦艦ヤマトシリーズにおける大量殺戮兵器の1つでもある。宇宙空間航行能力を持っており、自力航行によって太陽系外から地球まで5000宇宙ノットの航行速度で飛来する[2]。タキオン吸収装置とタキオンエンジンからなる推進機関を持ち、無限大の航続距離を有する[3]

形状
表面は黒色で、だるまのような形態を持つ。先端部分の赤く輝いている部分が起爆装置になっている[3]。巨大な構造物である爆弾の内部には、人間の往来が可能な通路、エレベーター、テラスなどが設置されており[4]、多数の兵士が警備に当たっている。下部には固定用のドリルが設置されており、地面へ撃ち込まれると、再び飛び上がることは不可能である[3]
自己防衛機能として周囲に張り巡らされるバリアは外部からの侵入を防ぐ[3]が、地中までは張り巡らされないため、これが弱点の1つにもなっている[5]
起爆装置
本星と爆弾の両方に起爆装置が内蔵された二重構造となっており、爆弾側が破壊されても本星側が無事であれば、起爆が可能である[5]。また、本星側が先に破壊されると、爆弾側が自動的に起爆する構造にもなっている[5]。そのため、先に爆弾側の起爆装置を解体してから本星側を破壊しないと、無効化できない[5]
破壊プロセス
起爆から死滅までのプロセスが設定されており、任意の種を選んで死滅させることが可能である。
中間子質量を破壊する能力を持ち、外傷を与えずに生物の脳細胞を一挙に死滅させる[3]。起爆すると、内部に封入された重核子へ中性子ビームが照射され、高エネルギーのプラズマ状態となる。このプラズマ化された重核子を超高エネルギー状態で炉内に閉じ込め、二重らせん構造の定常空間を維持すると、周囲の空間に歪みが発生してベータ変調された重力波が発生する。その結果、これを浴びた生物は細胞核内部のDNAが異常活性され、自己崩壊する[5]。この影響はプログラムで指定された生物に限定される[3]

劇中での描写 編集

ヤマトよ永遠に
暗黒星団帝国が地球侵攻に使用する。赤色状の光線を爆弾表面部全体から放射することにより、惑星規模の大量殺戮が可能である。冥王星・天王星・海王星・土星・木星・火星の各基地の人間は重核子爆弾の通過時にこの殺戮光線を浴びて死滅し、暗黒星団帝国の地球奇襲成功の一翼を担う。地球へ突進する黒い重核子爆弾とその赤い光は、本作のタイトルバックとなっている。
各惑星基地を壊滅させた後、地球に着陸。暗黒星団帝国軍が地球全土を占領した後は、地球人を従えるための脅迫材料として使用された。しかし、後に暗黒星団帝国の目的が地球人の肉体であることが発覚し、重核子爆弾の爆破は前提であったことが明らかとなる。
物語終盤で藤堂平九郎に率いられるパルチザンが突入し、森雪アルフォン少尉の対決と別れの舞台となる。パルチザンに占拠された爆弾本体はアルフォン少尉に半ば手引きされる形で起爆装置を外され、続いて母星側でもサーシャが起爆システムを破壊。聖総統は起爆トリガーを押すが、無効化された後だった。その後、ヤマトが波動砲で敵母星もろとも起爆システムを完全に滅したため、重核子爆弾は完全に無力化された。
戦争終結後、爆弾の外殻は地球上に残され、平和記念公園のモニュメントとなる[6]
宇宙戦艦ヤマトIII
シャルバートの王家の谷で保管・封印されている超兵器群の一つとして登場。こちらのカラーリングは白。

リメイクシリーズ 編集

宇宙戦艦ヤマト2199
むらかわみちおによる漫画版第9巻にて、アニメにない独自要素として登場。惑星ビーメラ4でのイズモ計画派の反乱が鎮圧された後、沖田十三の口からイズモ計画の隠された真実とともに全乗組員へ明かされる。
イズモ計画は地球脱出が目的とされていたが、その実態は人間を含む地球生物の遺伝子を播種船(後のヤマト)で運び出し、他の惑星にて繁殖させるというものであり、現在生きている地球人の移住を目的とはしていない。地球に残された人々は播種船が出航した後、地球本土の占領に来たガミラス軍もろとも地下深くに秘密裏に設置されている重核子爆弾で死滅させる手筈となっていた。これは玉砕によって敵へ一矢報いると同時に、地球という存在そのものをリセットしてやり直そうという信念に基づくものだった。イズモ計画の設定は、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』における波動実験艦「銀河」によるG計画につながっている。
宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち
アルバム『「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」オリジナル・サウンドトラック』に、「迫り来る重核子爆弾」との楽曲が収録されている[7]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 「ハイペロン」の別称が「重核子」である。

出典 編集

  1. ^ 『ロマンアルバムエクセレント54 宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2』p. 67。
  2. ^ 『ファイナルデラックス版 ヤマトよ永遠に』pp. 280-281。
  3. ^ a b c d e f 『ファイナルデラックス版 ヤマトよ永遠に』p. 264。
  4. ^ 『ロマンアルバムエクセレント54 宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2』p. 180。
  5. ^ a b c d e 『ファイナルデラックス版 ヤマトよ永遠に』p. 265。
  6. ^ 『宇宙戦艦ヤマト 完結編』のメガロポリス全景の設定画[要出典]
  7. ^ オリジナル・サウンドトラック - 劇場版『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』 - 宮川彬良”. Lantis web site (2022年2月4日). 2024年1月6日閲覧。

参考文献 編集

  • 『ファイナルデラックス版 ヤマトよ永遠に』西崎音楽出版、1980年11月。
  • 『ロマンアルバムエクセレント54 宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2』徳間書店、1983年1月。
  • 『別冊アニメディア 宇宙戦艦ヤマト完結編』学習研究社、1983年。

外部リンク 編集

  • 重核子爆弾 - 宇宙戦艦ヤマト発信!(インターネットアーカイブ2009年5月12日分キャッシュ)