雨乞い源兵衛(あまごいげんべえ)は、上方落語の演目の一つ。大阪市生まれの落語作家・小佐田定雄新作落語

主な演者には、2代目 桂枝雀などがいる。

あらすじ 編集

四十日間も日照りが続き、何もかも干上がってしまった村があった。

二人の百姓が日干しとなった田畑でぼやいていると、堤の上を庄屋が通りかかる。話を聞くと、村人の一人である源兵衛の家へ向かっているのだとか。

源兵衛の家に着いた庄屋は、出てきた源兵衛に『雨乞いをしてくれ』と命令した。

何でも、百三十年ほど前に同じような日照りがあり、困った村人が日頃から村中のものに金を借りていた怠け者に金を返せと詰め寄ったらしい。

自棄になった怠け者は、「俺が雨乞いをしてやる」と言って氏神様の社にこもり…本当に雨を降らせてしまった。

「その家へ行きなはれ!」
「…だからお前の家へ来たんや」

あろうことか、その怠け者は源兵衛の四代前のご先祖様だったのだ。雨乞いができなければ四代前の借金を返せ、両方できなかったら袋叩きにする…と言われ源兵衛泣きそうに。

恐ろしい家に生まれてきた…と源兵衛が後悔していたその夜…なぜか村に雨が降った。ちょうど乾期の切れ目だったらしい。

翌日、なにもやってないのに雨が降ったと、ポカンとしている源兵衛のところへ庄屋が迎えに来て屋敷へ連れ込み下へも置かぬ大歓迎。

源兵衛もすっかり気をよくしたが…今度は雨が十日も降りやまなくなってしまった。

また庄屋が源兵衛の家に飛び込んで来て、降り止さなかったら上の池へ放り込むと脅迫する。

「もし降りやませたら、娘のお花をと祝言を上げさせ、うちの婿に取る」

――このお花と言うのが《鬼瓦》という二つ名を持つとんでもないブス。源兵衛完全に追い詰められてしまった。

そして、その夜…不意に雨がやんだ。どうやら雨季の切れ目だったらしい。

翌朝、庄屋とお花が源兵衛の家へ向かいに来ると、なぜか家はもぬけの殻になっていた。…どうやらお花怖さに夜逃げしてしまったらしい。

「お花が振られるのも無理はない、相手は雨乞いの名人じゃ」

概要 編集

偶然の出来事を、力を持った誰かのおかげと思いこんでしまうのは「御神酒徳利」などと共通している。