鱒 (歌曲)
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『鱒』(ます、ドイツ語:Die Forelle)作品32、D550は、1817年にシューベルトが作曲したドイツ・リートの1つ。シューベルトのピアノ伴奏独唱曲としては、きわめて人気の高い楽曲の1つ。3節からなるシュトローフェンリート(Strophenlied)であるが、第3節がシューベルトおなじみの技法によって大幅な変化を付けられている。
シューバルトの歌詞に曲付けされており、歌詞はずる賢い漁師が術策を用いて魚を釣り上げるさまを歌ったもの。しかし実際には、「男はこのようにして女をたぶらかすものだから、若いお嬢さんは気をつけなさい」という意味の寓意となっている。
アレグレット、4分の2拍子。変ニ長調。冒頭はピアノの6連符による滑らかな味付け。As-Des-Des-F-F-Des-Asの歌声は非常に有名で日本では電話機の保留音にも使われている。なお、この歌曲の有名な前奏はシューベルトによる「鱒」の5度にもまたがる書き直しの中で、第5稿に初めて登場したものである。現在一般に歌われている「鱒」は第4稿を基に他の稿を部分的にに挿入しているペータース版が大半であり、その前奏は第5稿によっている。
シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」D667は、第4楽章がこの歌曲を主題とした変奏曲であることで有名であるが、作品全体の主要な主題も素材的に『鱒』の旋律と関連付けられている。
原詩と日本語大意編集
ドイツ語原詩 | 日本語大意 |
---|---|
Die Forelle |
鱒 |
備考編集
シュトローフェンリートの詩の最後の連を、シューベルトは省略している。
ドイツ語原詩 | 日本語大意 |
---|---|
Die ihr am goldenen Quelle |
確かな青春の |
日本語訳編集
脚注編集
- ^ 最終行の>die Betrog'ne<は「欺かれた鱒」を意味するのか、「欺かれた女」を意味するのか、この疑問について末永豊は「ネッカー川」において考察している〔柏木貴久子 ・ 松尾誠之・ 末永豊『南ドイツの川と町』三修社 2009 (ISBN 978-4-384-04187-3)、269-271頁〕。