1,3,5-トリアジン (1,3,5-Triazine) または、s-トリアジンは、化学式が(HCN)3有機化合物である。六員環のヘテロ芳香族環を持ち、トリアジンのいくつかの異性体のうちの1つである。S-トリアジン及びその誘導体には、様々な応用がある。

1,3,5-トリアジン
識別情報
CAS登録番号 290-87-9 チェック
PubChem 9262
ChemSpider 8905 チェック
UNII 8B5F4CM81E チェック
EC番号 206-028-1
ChEBI
ChEMBL CHEMBL15698 チェック
RTECS番号 XY2957000
特性
化学式 C3H3N3
モル質量 81.08 g/mol
外観 白色結晶固体
融点

81 - 83 °C, 271 K, -36 °F

構造
分子の形 平面
双極子モーメント ゼロ
危険性
GHSピクトグラム 腐食性物質急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H302, H314, H315, H335, H360
Pフレーズ P201, P202, P260, P261, P264, P270, P271, P280, P281, P301+312, P301+330+331, P302+352, P303+361+353, P304+340
主な危険性 水と反応しやすい
関連する物質
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

製法

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対称形の1,3,5-トリアジンは、塩化シアンシアンイミド等のニトリル三量体化によって生成される。

ベンゾグアナミン(1フェニル2アミノ置換体)は、ベンゾニトリルとジシアンジアミドから形成される[2]ピンナーのトリアジン合成では[3]、反応物はアルキルまたはアリルアミジンホスゲンであり[4][5]カルベノイドによりヒドラジドにN-H基を挿入した後、塩化アンモニウムで処理することによってもトリアジン骨格が得られる[6]

応用

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有機合成の試薬として、S-トリアジンはシアン化水素と等価に用いられる。シアン化水素が気体であるのに対して固体であるため、トリアジンはより扱いやすい。ガッターマン反応では、芳香族基質にホルミル基を付加させる[7]

トリアジン誘導体

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トリアジンのN-及びC-置換体は、産業的に用いられる。最も一般的な誘導体は、メラミンとして知られる2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジンである。他の重要な誘導体には、シアヌル酸として知られる2,4,6-トリヒドロキシ-1,3,5-トリアジンがある。シアヌル酸クロリドとして知られるトリクロロ-1,3,5-トリアジンは、シマジンアトラジン等の多くの除草剤の合成原料となる。塩化トリアジンは、セルロース系材料に共有結合する反応染料の重要な基本構造の1つである[8]

 
反応染料を繊維に付加させる方法 (Cell = セルロース; R = 発色団)

また、トリアジンは医薬品の中にも見られる[9]

出典

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  1. ^ Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 147. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ Benzoguanamine J. K. Simons and M. R. Saxton Organic Syntheses Coll. Vol. 4, p.78; Vol. 33, p.13 Article
  3. ^ A. Pinner, Ber. 23, 2919 (1890)
  4. ^ Name reactions and reagents in organic synthesis, Bradford P. Mundy, Michael G. Ellerd, Frank G. Favaloro
  5. ^ Triazines. XIV. The Extension of the Pinner Synthesis of Monohydroxy-s-triazines to the Aliphatic Series. 2,4-Dimethyl-s-triazine1-3 Hansjuergen Schroeder, Christoph Grundmann J. Am. Chem. Soc., 1956, 78 (11), pp 2447–2451 doi:10.1021/ja01592a028
  6. ^ Shi, B.; Lewis, W.; Campbell, I. B.; Moody, C. J. Org. Lett., 2009, 3686-3688 doi:10.1021/ol901502u
  7. ^ Roswitha M. Böhme, Qun Dang "1,3,5-Triazine" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis 2008 John Wiley & Sons. doi:10.1002/047084289X.rt158.pub2
  8. ^ Horst Tappe, Walter Helmling, Peter Mischke, Karl Rebsamen, Uwe Reiher, Werner Russ, Ludwig Schläfer and Petra Vermehren "Reactive Dyes"in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2000, Wiley-VCH, Weinheim. doi:10.1002/14356007.a22_651
  9. ^ Aksenov A. V., Aksenova, I. V. "Use of the ring opening reactions of 1,3,5-triazines in organic synthesis" Chemistry of Heterocyclic Cmpds. 45, pp 130-150 (2009). doi:10.1007/s10593-009-0243-5