AN/UPS-3 TDAR英語: Tactical Defense Alert Radar)は、イスラエルエルタ・システムズ社が開発したEL/M-2106Hアメリカ合衆国のリア・アストロニクス社がライセンス生産[1][2]アメリカ軍が運用する2次元レーダー

AN/UPS-3
発展型のEL/M-2106NG
開発・運用史
開発国 イスラエルの旗 イスラエル
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
送信機
周波数 Lバンド
送信尖頭電力 230W
アンテナ
アンテナ利得 22デシベル
走査速度 60 or 90度/秒
探知性能
探知距離 20 km (11 nmi)
探知高度 10,000フィート (3,000 m)
精度 測距:200m, 測角:2度
その他諸元
重量 107.5kg
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概要 編集

FIM-92 スティンガー携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)の運用チームやアベンジャーシステムに対して、チーム固有の対空捜索手段を提供するために配備されている[1]

システムは、センサー部、情報処理部、情報表示部の3つのサブシステムによって構成されており、センサー部は通常は四脚上に架されるが、ペダスタルへの設置も可能である[1]

4つの可搬式ケースに収容して輸送でき、2名の人員により、最短10分間で展開可能とされている。多彩な環境に対応可能であり、風速60ノットまで抗堪でき、また、60~-3.9℃という幅広い温度において動作可能である。電源も様々な方式に対応しており、ハンヴィーからの24ボルト電源やアメリカの一般家庭用120ボルト電源も使用できる[1]。信頼性にも優れており、平均故障間隔(MTBF)は2,180時間である[2]

ヘリコプターに対しては8–10 km (4.3–5.4 nmi)、固定翼機に対しては20 km (11 nmi)の探知距離を発揮できる。探知可能な目標速度は、50ノットからマッハ1.6とされている[1]。また、移動目標表示(MTI)技術も導入されている[2]

1990年よりアメリカ海兵隊への配備が開始され、後にはアメリカ陸軍歩兵師団および空挺師団にも配備された。また、アメリカ海軍でも、支援艦船などに警乗するスティンガー部隊のために配備されている[2]

なお、エルタ社ではEL/M-2106の改良を進めており、最新のNG型ではアンテナ部をアクティブ・フェーズドアレイ(AESA)化した3次元レーダーとなっており、戦闘機に対して最大110kmの探知距離を発揮できる[3]

参考文献 編集

  1. ^ a b c d e グローバルセキュリティー (2011年7月7日). “AN/UPS-3 Tactical Defense Alert Radar (TDAR)” (英語). 2014年7月23日閲覧。
  2. ^ a b c d Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681. https://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC 
  3. ^ IAI Elta (2011年). “ELM-2106 ATAR” (PDF) (英語). 2014年10月25日閲覧。

関連項目 編集