3次元レーダー(さんじげんレーダー)とは、距離のほか、方位と仰角を同時に調べる一次レーダーレーダーサイトなど、主に航空機を警戒捜索するレーダーとして用いられる。これに対して、距離・方位、距離・仰角のいずれかのみを走査するレーダーは2次元レーダーと呼ばれる。3次元レーダーは、偏波ビーム(位相の揃った状態の電磁波)等を利用し、探知目標の3次元データを得ている。

3次元レーダーの捜索パターンのシェーマ。
(参考)2次元レーダーの捜索パターンのシェーマ。

概要 編集

レーダーの実用化後しばらくは、目標の距離と方位は捜索レーダーによって、また高度については高角測定レーダーHeight finding radar)によって測定していた。3次元レーダーは、これらを統合するものとして開発されたものであり、おおむね下記のような方式がある[1]

多重ビーム(stacked-beam)方式
送信時にはファンビームを用いるが、受信時は、多数のペンシルビームを垂直方向に隣接させて並べて、水平面内で回転させる方式。仰角は隣接したビーム間の振幅比較モノパルス法によって測定する。アメリカ海軍のAN/SPS-2で採用された(試作のみ)。レーダー波の干渉を利用し、多重ビームを構成させるグレーディング・ローブ方式というのもある。
パルス内周波数走査(frequency scanning, FRESCAN)方式
送信パルス1個を、周波数の異なったサブパルスn個に分けて送信することで、各周波数に対応してn個のビームを形成する方式。アメリカ海軍のAN/SPS-39などで採用された。
ペンシルビーム方式
垂直面内は位相走査で、測角にはモノパルス法を用いる方式。多数の周波数を使わずに自由にビーム方向を操ることができるという長所がある。フェーズドアレイレーダーで採用されている。
Vビーム方式
傾斜させた偏波を利用し、その交点から高度を求める方式。ソビエト連邦のアンガラーM(ヘッドネットC)で採用された。

機種一覧 編集

地上用 編集

艦載用 編集

参考文献 編集

  • 「図解 電子航空戦―最先端テクノロジーのすべて」 立花正照 原書房 1986年 ISBN 9784562018277
  1. ^ 吉田孝「第11章 特殊なレーダ技術」『改訂 レーダ技術』電子情報通信学会、1996年、273-298頁。ISBN 978-4885521393 

関連項目 編集