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CURE』(キュア)は、1997年公開の日本映画。監督は黒沢清。1997年日本インターネット映画大賞日本映画作品賞受賞作[1]

CURE
キュア
監督 黒沢清
脚本 黒沢清
製作 加藤博之(大映
出演者 役所広司
音楽 ゲイリー芦屋
撮影 喜久村徳章
編集 鈴木歓
配給 松竹富士
公開 日本の旗 1997年12月27日
上映時間 111分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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概要編集

連続猟奇殺人事件を追及する刑事と、事件に関わる謎の男を描いたサイコサスペンススリラー作品である本作は、凄惨な題材を扱い、緊張感・緊迫感に満ちた話運びでありながら「CURE(癒し)」というタイトルとテーマを持つ[注釈 1]

タイトルは初め「伝道師」だったが、撮影当時に起きていたオウム真理教事件との兼ね合いから、宗教的な犯罪ものだと誤解を受ける可能性を案じ、大映プロデューサーの提案で現在のタイトルに変更している[2][3]

本作は、黒沢にとって世界市場での出世作であり、特にフランスで人気がある[4]ル・モンド紙の映画評論家ジャン=ミシェル・フロドンは本作を高く評価し、黒沢がフランスで『ダゲレオタイプの女』を撮影する切っ掛けになっている[4]

主演の役所広司は、この作品で第10回東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞し、以後、黒沢清監督映画の常連となっている[2]

ストーリー編集

娼婦が惨殺される事件が発生。被害者は鈍器で殴打後、首から胸にかけてX字型に切り裂かれていた。犯人は現場で逮捕されたが、動機を覚えておらず、その手口さえ認識していない。刑事の高部は、同様の事件が相次いでいることを訝しがり、友人の心理学者・佐久間に精神分析を依頼する。しかし何故、無関係なはずの犯人たちが同じ手口で犯行を行うのか、そしてそれを認識していないのか、その手がかりは掴めない。高部は、精神を病んでいる妻との生活と、進展しない捜査に翻弄されて疲弊してゆく。やがて、加害者たちが犯行直前に出会ったとされる男の存在が判明する。男の名は間宮邦彦。記憶障害を患っており、人に問いかけ続けるその言動は謎めいていた。そんな間宮の態度が高部をさらに追いつめていく。しかし、間宮と関わっていく中で高部の心は密かに癒されていく。

間宮を警察署に拘留している間、高部は間宮の身元調査のため、失踪前に間宮が住んでいたアパートを訪れる。そこで、3年前まで武蔵野医科大学精神科に学生として在籍していたことを突き止める。部屋の中から、首から胸にかけてX字型に切り裂かれた猿のはく製、メスマーの学術書、動物磁気(催眠暗示)の研究論文を見つける。

高部が警察署へ戻ると、佐久間の意向によって間宮は病院に移送されていた。建前上は間宮の症状を診るためだが、佐久間は高部が間宮に深入りすることを危惧していた。

高部は間宮と面会するために病院へ向かう。高部は間宮へ研究内容について問い詰め、これまでの加害者は間宮が行った催眠暗示によるものと指摘し、殺人教唆で送検する旨を伝える。しかし、高部には催眠暗示の方法が分からないため、逆に催眠暗示を試みられる。 高部は間宮との面会後、佐久間からメスマーの人物像と、間宮の症状についての説明を聞く。異常なしとの診断から、間宮は再び警察署へ拘留される。

高部は妻、文江の症状が悪化していると判断し、精神病院へ入所させる。 佐久間から連絡を受けた高部は、佐久間宅を訪れる。佐久間は高部に催眠療法のビデオを見せ、その背景を説明する。高部は佐久間の部屋の壁に描かれた大きなX字型の落書きについて佐久間に問うが、行動のおかしさを認めつつも記憶にはないと言う。高部は佐久間が間宮に会っていたと推測する。

高部は佐久間の自殺現場検証のため、佐久間宅を訪れた後、拘留が解かれた間宮と催眠療法のビデオの撮影元である旧精神病院の廃屋で待ち合わせ、間宮を拳銃で殺害した。間宮は死ぬ間際、高部に向かって指でX字型を示した。

高部は一人、レストランで食事をしていた。ウェイトレスは高部に食後のコーヒーを届け、食べ終えた食器を片付けた後、ナイフのみを掴んで歩きだした。

キャスト編集

高部賢一:役所広司
間宮邦彦:萩原聖人
佐久間真:うじきつよし
高部文江:中川安奈
宮島明子:洞口依子
花岡徹:戸田昌宏
花岡とも子:春木みさよ
大井田巡査:でんでん
桑野一郎:螢雪次朗
安川刑事:大鷹明良
藤原本部長:大杉漣
精神科医:河東燈士

関連商品編集

黒沢清『キュア』徳間書店、1997年、ISBN 4198907684 : 監督自ら書き下ろしたノベライズ作品。

関連事項編集

メスマー-道具立てのひとつとして。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 近藤康太郎はこの作品が夢野久作の『ドグラ・マグラ』と似ていると指摘している(朝日新聞2014年7月19日be)。

出典編集

  1. ^ 日本インターネット映画大賞 過去の受賞結果”. 日本インターネット映画大賞運営委員会 (2018年10月27日). 2019年6月2日閲覧。
  2. ^ a b 役所広司の魅力を『CURE』の黒沢清監督が語る「未知の領域を作り出すスター」 - 映画 Movie Walker”. 株式会社ムービーウォーカー (2018年10月27日). 2019年6月2日閲覧。
  3. ^ 2018年10月27日に行われた第31回東京国際映画祭のインタビューより[1]
  4. ^ a b 黒沢清の映画がフランスで爆発的人気があるワケ - シネマトゥデイ”. 株式会社シネマトゥデイ (2016年10月11日). 2019年6月2日閲覧。

外部リンク編集