Futura

ラテン文字の書体のひとつ

Futura(フトゥーラ)は、1923年ドイツバウハウスにおいて非常勤講師として勤めたパウル・レナー英語版1878年 - 1956年)によって発表されたラテン文字サンセリフ書体。いわゆるジオメトリック・サンセリフの一種で、幾何学的な造形が特徴的である。現在でもよく用いられているサンセリフのひとつで、ルイ・ヴィトンラウンドワンのロゴにも使用されている。

Futura
様式 サンセリフ
分類 ジオメトリック・サンセリフ
デザイナー パウル・レナー
制作会社 Bauer Type Foundry

名称の「Futura」とは「未来」を意味するラテン語であり、英語の「futureフューチャー)」に相当する。片仮名表記には「フトゥーラ」「フツーラ」「フツラ」「フーツラ」などいくつかの表記が見られるが、ラテン語の発音は [fuˈtuːra] であり「フトゥーラ」が最も近い。正式なものではないが、日本では「フーツラ」の表記が幅広く浸透している。

「ナチスを連想させる書体」との誤解 編集

 
Futuraで書かれたボーイング747のオートパイロットコントロール。Futuraは航空宇宙産業において、飛行計器および制御マーキングのために広く普及している。

一時期、「Futuraはナチス・ドイツを連想させる書体であり、使う文化圏には注意を払った方がよい」と日本で言われたことがあった(朗文堂片塩二朗が書籍等でこのように主張していた[1][2])。

しかし小林章立野竜一の調査によれば、この「ナチスを連想させる書体」という話は、日本の中だけで流布していた誤解である[1][3][4]。Futuraは欧米諸国やイスラエル[3][4]など、世界中で広く使用されている書体で、「特定の政治的意味を持ち、使用には注意の必要な書体」だと見なすのは全くの誤りである[1][2][3][4][5]

むしろFuturaの製作者レナーは反ナチとして著名な人物であり[4]、レナーの勤めていたバウハウスは、ナチ党によって退廃的だと見なされ弾圧された側に当たる。

脚注および出典 編集

  1. ^ a b c 立野竜一「Futura の噂話を検証する」『d/SIGN』第16号、太田出版、2008年、2018年5月20日閲覧 
  2. ^ a b 麥倉聖子 (2013年11月13日). “ナチスと書体について その1”. 2018年3月12日閲覧。
  3. ^ a b c 小林章タイプディレクターが答える欧文書体Q&A」『デザインの現場』第136巻、美術出版社、2004年、98-101頁、2018年5月20日閲覧 
  4. ^ a b c d 小林章『欧文書体 その背景と使い方』美術出版社、2005年、74頁。ISBN 4-568-50277-2 
  5. ^ 小林章 (2007年6月22日). “このブログを始めるきっかけ”. ここにも Futura. 2018年5月20日閲覧。