MMWTModern Medium Weight Tank)は、トルコのメーカー FNSS英語版とインドネシアのメーカー ピンダッドとの戦車の共同開発プログラムである。別称として、カプランMT(トルコ)、ハリマウ/タイガー(インドネシア)などがある。

MMWT
種類 装甲戦闘車両中戦車軽戦車
原開発国 トルコの旗 トルコ
インドネシアの旗 インドネシア
開発史
開発者 FNSS
ピンダッド
開発期間 2015
製造期間 2017-現在
製造数 2 (プロトタイプ)+ 1 テスト
諸元
重量 32-35 トン
全長 6.952 m (22.8 ft)、砲を含めて9.105 m (29.9 ft)
全幅 3.360 m (11 ft)
全高 2.456 m (8.06 ft) 砲塔上部
要員数 3 (車長、操縦士、砲手)

装甲

STANAG 4569 レベル4[1] 弾道保護 [2]
STANAG 4569 レベル 5 モジュラー増加装甲[1]

V字型車体 底部[3]
主兵装 コッカリル 105mmライフル砲 [4][5]
副兵装 7.62mm 同軸機関銃
エンジン キャタピラー C13 ディーゼルエンジン
出力重量比 22.2 hp/t
変速機 アリソン/キャタピラー X300 フルオート[3]
懸架・駆動 トーションバー
速度 70 km/h (制御速度)、78 km/h (試験走行速度)[6]
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歴史 編集

インドネシア政府とトルコ政府は2015年5月、3000万ドルと報道されている費用でインドネシア軍用のMMWTの共同開発に初めて合意した[7]。プログラムの開発段階では最大37カ月の開発期間が見込まれて、最初のプロトタイプはトルコで、2番目はインドネシアで製造される予定であった[8]。設計に関する知的財産は両国政府間で共有されることで合意された。

2016年11月1日、2016年Indo Defence展示会の期間中に、いくつかの技術仕様とともに、本戦車の最初のモデルが発表された[9]。最も注目すべき点は、車両総重量が約35トンとの報告で、主兵装はCMI Defence英語版が開発した105mmのライフルバレルを特徴とするベルギー製の砲塔で、様々な投射物を発射することが可能である。

2017年5月9日、IDEF 2017 展示会にて、この戦車の初のプロトタイプが公開された。この戦車は、コッカリル XC-8 105mmコンセプト砲塔またはコッカリル3105モジュラー砲塔のいずれかを装着することができる。さらに、この戦車はモジュラー装甲を採用しており、損傷を受けた際に素早く交換が可能である[10]

2018年9月5日、FNSSの本部長はトルコのアナドル通信社に対し、この戦車はインドネシア軍の数ヶ月間の認定試験に合格し、大量生産の準備が整ったと語った。彼は、20から25台の最初のバッチは早ければ2018年後半にも発注可能であり、生産される戦車の総数は200から400台の間になる可能性が高いと述べた[11]

2020年2月7日、MMWTの量産開始が発表された[12]

設計 編集

武装 編集

MMWTにはCMI製のコッカリルCT-CV 105HP(高圧)105mmライフル砲を搭載しており、砲身には排煙器と被筒を装着している。砲塔は自動装填装置を装備し、電子的にも機械的にも360度回転可能で、最大42度から-6度までの昇降が可能で、ジャイロスタビライザー射撃統制システムを装備する。また、IFFシステム、目標選択のためのハンターキラーシステム、射手を支援する目標自動追尾システムを装備している。

この銃はTPCSDS-T、HEP-T、HE4 TP2砲弾でテスト発射され、NATO標準の105mm砲弾の発射が可能。

  • M1060CV | 弾速1620 m/s、貫徹力560mm相当(RHA換算、60度・距離2000mから)
  • M1061 HEAT(対戦車榴弾) | 弾速1173 m/s、RHA貫通 >400mm(60度・1500mから)
  • M393 A3 HESH(粘着榴弾)| 弾速732 m/s
  • M416 Smoke | 弾速731 m/s
  • M1204 Smoke | 弾速1173 m/s

装甲 編集

MMWTの車体装甲はモジュラー装甲を採用している。STANAG 4569レベル4防弾能力に分類されており、すなわち距離200m、弾速911m/sの14.5×114mm徹甲弾に耐えることができる。戦車の底部はV字型車体を採用し、履帯部と車両下部中央が10kgのAT地雷に耐えられる。モジュール式のため、装甲はタンクの体積を増やさずにレベル5の防弾能力(距離500m、弾速1258m/sの25mm APDS-Tに耐える)に増強が可能で、正面弧面は30mm弾に耐えられる。

機動力 編集

設計仕様を証明するため、2018年8月7日から16日に動的・機動試験が実施された。戦車はアリソン/キャタピラー X300トランスミッション付の711馬力を発生するキャタピラー C13ディーゼルエンジンを使用している。試験中、戦車は路上速度78km/hまでに達する。プロトタイプは2mの溝と0.9mの垂直障害物を横断可能。

武器システム 編集

MMWTの生存性がさらに強化された。アセルサンとトルコ科学技術研究会議(TÜBİTAK)の防衛研究開発研究所(SAGE)が共同開発したモジュール式のPULATアクティブ防護システムを統合することができる。これにより、全方位からの投射物に対する防御能力を確保している[13]

仕様[14] 編集

一般 編集

  • 乗員:3
  • エンジン:ディーゼル
  • トランスミッション:全自動

武装 編集

  • 口径 :105mmライフル砲
  • 弾薬:互換性のある105mm NATO標準弾薬
  • 副砲:7.62mmまたは12.7mmマシンガン

装甲 編集

  • 弾道保護 :STANAG 4569 +モジュール設計
  • 地雷保護 :STANAG 4569(試験済)
  • アクティブ防護システム :ASELSAN Pulat(オプション)

運動性 編集

  • 最高速度:78 km/h
  • エンジン出力:711 馬力
  • 総重量:32 トン
  • 出力重量比:22.2 馬力/トン
  • 航続距離:450 km
  • 傾斜:60 %
  • 側面傾斜:30 %
  • 超堤能力:0.9 m
  • 溝の横断:2 m

運用 編集

運用予定 編集

潜在的な運用国 編集

参照 編集

  1. ^ a b Kable Intelligence Limited (2018年). “Kaplan MT Modern Medium-Weight Tank”. www.army-technology.com. 2018年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月29日閲覧。
  2. ^ Technical Specifications - FNSS Savunma Sistemleri A.Ş.”. FNSS Savunma Sistemleri A.Ş.. 2018年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月29日閲覧。
  3. ^ a b antaranews.com. “Medium Tank Buatan Anak Negeri - ANTARA News” (インドネシア語). Antara News. オリジナルの2018年9月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180902084417/https://www.antaranews.com/infografis/743964/743964 2018年9月2日閲覧。 
  4. ^ KAPLAN MT - FNSS Savunma Sistemleri A.Ş.”. FNSS Savunma Sistemleri A.Ş.. 2018年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月29日閲覧。
  5. ^ John Cockerill Defense’s C3105 turret”. 2020年7月18日閲覧。
  6. ^ Indomiliter.com Official Channel (2018-08-10), Hadapi Medan Berat, Medium Tank Pindad Jalani Uji Dinamis, https://www.youtube.com/watch?v=zigDAm7Z1KM 2018年9月2日閲覧。 
  7. ^ Gumilang (2016年11月2日). “Industri Pertahanan Akan Teken Kerja Sama di Indo Defence” (Indonesian). CNN Indonesia. 2016年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月2日閲覧。
  8. ^ Turkey, Indonesia agree to develop medium-weight tank” (2016年5月7日). 2016年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月2日閲覧。
  9. ^ Light weight, low profile [INDODEF16-D1]”. IHS Jane's 360 (2016年11月1日). 2016年11月2日閲覧。
  10. ^ FNSS Resmi Perlihatkan Kaplan MT, Prototipe Medium Tank Garapan Bersama PT Pindad – Indomiliter.com” (英語). www.indomiliter.com. 2017年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月4日閲覧。
  11. ^ Dominguez (2018年9月6日). “Kaplan MT ready for mass production, says report”. IHS Jane's 360. 2018年9月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月7日閲覧。
  12. ^ https://www.armyrecognition.com/february_2020_global_defense_security_army_news_industry/tukish-indonesian_kaplan-harimau_medium_tank_now_in_mass_production.html
  13. ^ FNSS Displays PULAT APS for the Kaplan Tank”. IDEF 2019: FNSS displays for the first time Kaplan medium tank fitted with PULAT APS (2019年5月2日). 2019年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月18日閲覧。
  14. ^ “Kaplan MT, Medium Tank FNSS-Pindad (foto) Part 2” (英語). LANCER CELL. (2017年5月10日). オリジナルの2017年10月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171004085604/https://lancercell.com/2017/05/10/kaplan-mt-medium-tank-fnss-pindad-foto-part-2/ 2017年10月4日閲覧。 
  15. ^ https://bisnis.tempo.co/read/1195158/kemenhan-pesan-tank-dan-panser-cobra-ke-pt-pindad
  16. ^ Archived copy”. 2019年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月1日閲覧。
  17. ^ https://www.aa.com.tr/tr/ekonomi/turk-kaplaninin-taliplileri-artiyor/1726200
  18. ^ Dominguez (2018年9月10日). “Philippines, Bangladesh interested in Kaplan MT”. IHS Jane's 360. 2018年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月10日閲覧。
  19. ^ Grevatt (2018年11月8日). “Indo Defence 2018: PT Pindad pursues medium tank exports”. IHS Jane's 360. 2018年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月10日閲覧。
  20. ^ Ghanaian military interested in equipment from Indonesia’s PT Pindad”. defenceWeb (2019年12月2日). 2020年7月18日閲覧。

関連項目 編集