Microsoft Officeツールは、すべてのMicrosoft Office製品に含まれている(または含まれていた)ソフトウェアコンポーネントである。

Delve 編集

Office Delveを使用すると、 Office 365ユーザーは、 OneDriveまたはOffice 365のサイトに保存されているメール、会議、連絡先、ソーシャルネットワーク、ドキュメントを検索および管理できる。 Delveは、 機械学習人工知能 [1] [2] [3]を使用して、最も関連性の高い人とコンテンツを表示する。 2015年4月、Microsoftは、Office 365ユーザー向けに、App StoreおよびGoogle PlayでOffice Delveのモバイルバージョンをリリースした[4]

Graph 編集

 
Multitool Chart (Microsoft Chartの日本IBMへのOEM)

Microsoft Graph(旧Microsoft Chart)は、 ExcelAccessなどのMicrosoft Officeプログラムで、チャートやグラフを作成するOLEアプリケーションである。このプログラムは、 Visual Basicの OLEアプリケーションオブジェクトとして利用できる。 Microsoft Graphはさまざまな種類のグラフをサポートしており、Office 2003まではOfficeアプリケーション内でグラフを表示するためのコンポーネントとして使用されていた。 Office 2007 からは新しいグラフエンジンが搭載され、3Dレンダリング、透明度、影などの高度なフォーマットをサポートし、レイアウトをカスタマイズして、さまざまな傾向を強調することもできるようになった。 Microsoft Graphは互換性のために残っており、Officeプログラムの[挿入]タブの[オブジェクト]メニューで使用できる。

Microsoft Chartは、マイクロソフトが1980年代初期に出荷していたMicrosoft Multiplanとともに出荷され、当時成功していたLotus 1-2-3と競合した。 Microsoft Chartは、ボックスデザインとメニューをMultiplanと共有し、Multiplanデータをインポートできた。単純なグラフ(円、棒、線)は、グラフィックスモードで画面に描画された。当時はMS-DOSがマルチタスクオペレーティングシステムではなかったため、Multiplanを終了してからChartを読み込んでグラフを作成・描画する必要があった。 1990年代初頭、Microsoft ChartはMicrosoft Graphに名前が変更された。

Query 編集

Visual Basic for Applications 編集

WordArt 編集

ワードアートは、テキストに飾り付けを行う機能である。テクスチャ、アウトライン、標準のフォント書式で利用できない多くの飾り付けなど、さまざまな「特殊効果」を備えた定型装飾をされたテキストを作成できる。たとえば、影を作成し、テキストの形状を回転、「曲げ」、「引き伸ばし」をすることができます。ワードアートでは、 Microsoft Wordが提供する30種類のスタイルを標準で使用できるが、ワードアートツールバーと描画ツールバー、またはOffice 2007および2010のワードアートツールタブで使用できるツールを使用してカスタマイズすることもできる。加えて、Excel、 Microsoft PowerPointMicrosoft Publisher でも利用できる。 Office 2010以降は、テキストに影、面取り、光彩、ぼかし、反射などの書式効果を適用できる。

Office 2007では、ワードアートはExcelとPowerPointで再設計され、新しいスタイルと効果が追加され、通常のテキストボックスに適用できるようになった。

SmartArt 編集

PowerPoint、Word、Excel、およびOutlookのリボンの[挿入]タブにあるSmartArtは、新しいダイアグラムオブジェクトである。リスト、プロセス、サイクル、階層などのカテゴリに、115個のSmartArtテンプレートが用意されている。 SmartArtが挿入されると、その横にテキスト作業ウィンドウが表示され、階層レベルでテキストを入力するようユーザーをガイドする。デザインに基づいて、テキストのアウトラインがダイアグラムにマップされ、図形やテキストは最適なサイズに自動的に変更される。 「クイックスタイル」 を使うと、色、フォント、 3Dなどの様々な効果を変更でき、各効果は個別にも変更できる。 SmartArtは2006年からOfficeに含まれている。

廃止された機能 編集

Binder 編集

Microsoft Binderは 、もともとMicrosoft Office 95、97、2000に含まれていたアプリケーションで、異なる種類の OLE 2.0オブジェクト(例えば、文書、スプレッドシート、プレゼンテーション、プロジェクト)を1つのファイルにまとめることができた。Office 2000で廃止された。

Microsoft Binderのファイル名拡張子は.OBD、Office Binderテンプレート形式は.OBTだった。 Microsoft Office Binder Wizardは、拡張子.OBZであった。

Binderファイルは、アドインをインストールすることでOffice 2003までは開くことができた。 Office 97 Unbindは、Microsoft Webサイトからダウンロードすることができる[5]

Data Analyzer 編集

Microsoft Data Analyzer 2002は、 Microsoft Office XPに同梱された。マイクロソフトは当初、Maximal Innovative Intelligenceのソフトウェアを購入した。Maximalの「Max」製品は、Microsoft Data Analyzerとしてブランド変更された。スタンドアロンアプリケーションであり、Office XPスイートに同梱された。最後のバージョンは3.5である[6]

Microsoft Data Analyzerでは、データとデータの傾向を分析・視覚化でき、 SQL Server Analysis Servicesと統合されていた 。生成されたレポートとグラフは、HTML、Microsoft Excel、またはMicrosoft PowerPointファイルとして保存できた。

Document ScanningとDocument Imaging 編集

Microsoft Office Document ScanningMODS)は、Office XPで最初に導入されたスキャンおよび光学式文字認識 (OCR)アプリケーションである。 OCRエンジンは、 ニュアンス社のOmniPageを利用していた[7]。 MODSは、紙文書のアーカイブコピーの作成に適しており、OCRデータをMDIファイルとTIFFファイルの両方に埋め込むことができた。これにより、ファイルのテキスト検索が可能になり、 Windows Searchで紙文書の検索が可能となった。

Microsoft Office Document ImagingMODI)を使用すると、Microsoft Office Document Scanningによってスキャンされた紙文書の編集および注釈の追加ができる。 Office XPで最初に導入され、 Office 2003およびOffice 2007に搭載された。 Office 2010以降では使用できなくなったが、以前のバージョンのMicrosoft OfficeからインストールしておくとOffice 2010でも使用できる[8] 。(Office 2010のインターネットファックス機能は、MODIの代わりにWindowsファックスプリンタドライバを使用してTIFFを生成するようになった[9]。)マイクロソフトは、ユーザーが1つ以上のMDIファイルをTIFFに変換できるコマンドラインツールであるMDI to TIFF File Converterを提供している[10]

MODIは、 タグ付き画像ファイル形式 (TIFF)と、MDIと呼ばれる独自形式をサポートしている。 OCRプロセスから生成されたテキストを元のTIFFファイルに保存することができる。ただし、MODIはTIFF標準仕様[11]とは異なるTIFFファイルを生成するため、他のTIFF互換プログラムで利用できないことがある[12]

デフォルトモードでは、OCRエンジンは必要に応じてページのスキューを調整し、ページの向きを変更する。

Office 2003 Service Pack 3以降、MODIは、Service Packのセキュリティ変更の一部として、 タグ付き画像ファイル形式 (TIFF)ファイルとの関連付けが行われなくなった。また、TIFFファイルでのJPEG圧縮をサポートしなくなった[13]

MODSとMODIはOffice 2010以降使用できなくなったが、マイクロソフトはSharePoint Designer 2007または古いOfficeメディアからMODIコンポーネントをインストールすることで回避策を推奨している[14]

プログラマビリティ 編集

MODIは、 コンポーネントオブジェクトモデル (COM)を介してdocumentimage オブジェクトを公開している。OCRエンジンを使用して、スキャン画像をテキストに変換できる。

MODIオブジェクトモデルには、Microsoft Office Document Imaging 11.0タイプライブラリへの参照を使用して、コンポーネントオブジェクトモデル(COM)をサポートする開発ツールからアクセスできます。 MODI Viewerコントロールは、Microsoft Office Document Imaging Viewer Control 11.0または12.0(MDIVWCTL.DLL)をアプリケーションプロジェクトに追加することにより、 ActiveXコントロールをサポートする開発ツールからアクセスできる。MODI関連のコンポーネントは、 C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\MODIにインストールされている。

Office XPにMODI自体は含まれていたがプログラミングは可能ではなかった。MODIコントロールは、Office 2003で初めて利用可能になった。

Dim inputFile As String = "C:\test\multipage.tif"
Dim strRecText As String = "" 
Dim Doc1 As MODI.Document 

Doc1 = New MODI.Document
Doc1.Create(inputFile)
Doc1.OCR() ' this will ocr all pages of a multi-page tiff file
Doc1.Save() ' this will save the deskewed reoriented images, and the OCR text, back to the inputFile

For imageCounter As Integer = 0 To (Doc1.Images.Count - 1) ' work your way through each page of results
  strRecText &= Doc1.Images(imageCounter).Layout.Text  ' this puts the ocr results into a string
Next

File.AppendAllText("C:\test\testmodi.txt", strRecText)   ' write the OCR file out to disk

Doc1.Close() ' clean up
Doc1 = Nothing

MDIファイル形式 編集

Microsoft Document Imaging (MDI)
拡張子.mdi
MIMEタイプimage/vnd.ms-modi
マジック
ナンバー
0x5045
種別画像ファイル形式
派生元TIFF

MODIは、独自形式である.mdi ファイル名拡張子を使い、OCRプロセスで生成されたテキスト、注釈、メタデータをスキャンされた紙文書に保存する。 MDIはTIFFの派生形である[15] [16] 。 TIFFとの主な違いは次のとおりである。

  • マジックナンバー0x5045であり、TIFFの 0x4D4D (ASCII MM )や0x4949 (ASCII II )とは異なる。
  • 3つの独自の画像圧縮形式が使用されている。
  • 多数の独自のタグ値が使用されている。

Officeアシスタント 編集

PhotoDraw 編集

Photo Editor 編集

Office Webコンポーネント 編集

Office Web Components (OWC)は、Office 2000、XP、および2003で利用可能な一連のOLE コンポーネントである。 これらのActiveXコントロールは、Webページ、 Visual BasicVisual Basic for Applications (VBA)フォーム、およびWindows Formsに追加できた。 OWCは、COM準拠のコンポーネントオブジェクトモデルプログラミング言語で使用できた。 Microsoft Excel、 Microsoft AccessMicrosoft ProjectMicrosoft FrontPageなどのアプリケーションでは、Office Webコンポーネントを使用してインタラクティブなWebページを作成できた。

OWCには次のコンポーネントが含まれていた。

  • Spreadsheet
  • Chartspace
  • Pivot table
  • Data source component

Office Web Serverは、Office Project Server 2007の一部を除き、Office 2007で廃止された[17]が、引き続きMicrosoftのWebサイトからダウンロードできた。 OWCの完全な代替品は現在も提供されていないが、サードパーティ製品、 Excel Services 、またはVisual Studio Tools for Officeを組み合わせることで、同様の機能を提供できる。

Pivot Table Webコンポーネントは、Windows 7で問題が発生する場合がある[18] 。  多くの場合、問題はIEの新しいセキュリティ設定に関連しており、関連するインターネットゾーンの制限を緩和し、ActiveXコントロールとドメイン間アクセスを許可することで解決できる。 ページがコンピューター上でローカルホストされている場合、ゾーンの設定はIEインターフェイスからアクセスできず、レジストリを編集して変更する(キー[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings\Zones\0])。


クリップオーガナイザ 編集

Microsoft Clip Organizerは、ユーザーがプレゼンテーション、文書やその他のOfficeドキュメントに含める画像、写真、音声、ビデオなどのメディアクリップを検索できるクリップアート整理のためのソフトウェアです。 さまざまなメディアクリップが付属しており、 Microsoft Office Online Webサイトでより多くの選択肢を提供していた。

Picture Manager 編集

スクリプトエディタ 編集

数式エディタ 編集

Design Scienceにより開発された数式エディタWYSIWYG環境で数式を作成することができ、Microsoft Officeやいくつかの商用アプリケーションに同梱された。 これは、Design ScienceのMathTypeの簡易バージョンであり、有料バージョンへのアップグレードを促すダイアログボックスが表示された [19] 。 スタンドアロンプログラムとして、またはOLE埋め込みオブジェクトとして使用できた。 Word for Windowsバージョン2.0で導入されて以来、その機能セットは大幅に変更されていなかった。

Office 2007以降、数式エディタは数式を作成する既定の方法ではなくなり、古いドキュメントとの互換性のためだけに残されている[20] 。代わりに、再設計された数式ツールが含まれている。これは、OLEオブジェクトではなく、Office プログラムに組み込まれ、リボンから編集できる [21] 。 2018年1月、マイクロソフトは数式エディターの脆弱性に関するセキュリティ更新プログラムを公開し、これにより古い数式エディターは削除されるようになった [22]

脚注 編集

  1. ^ Microsoft Finally Rolls Out 'Delve,' One Of Its Most Important Products You've Never Heard Of”. 2018年1月14日閲覧。
  2. ^ Foley. “Microsoft starts rolling out Delve, its 'Flipboard for Office 365' - ZDNet”. 2018年1月14日閲覧。
  3. ^ Microsoft CEO Is Betting On A New Product You've Probably Never Heard Of: Delve”. 2018年1月14日閲覧。
  4. ^ Foley, Mary Jo (2015年4月14日). “Microsoft delivers iOS, Android versions of Delve.”. ZDNet. http://www.zdnet.com/article/microsoft-delivers-ios-android-versions-of-delve/ 2018年1月14日閲覧。 
  5. ^ Office 97 Unbind”. 2018年1月14日閲覧。
  6. ^ Data Analyzer 3.5 - Downloads - Office.com”. Office.microsoft.com. 2010年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月1日閲覧。
  7. ^ Microsoft Announces New Office Document Imaging Tool Included in Office XP”. microsoft.com (2001年5月31日). 2021年3月6日閲覧。
  8. ^ Install MODI for use with Microsoft Office 2010, Microsoft Support
  9. ^ Changes in Word 2010 (for ITPros)”. TechNet. Microsoft (2010年12月9日). 2012年12月13日閲覧。
  10. ^ MDI to TIFF File Converter”. Microsoft Download Center. Microsoft. 2014年8月22日閲覧。
  11. ^ TIFF Revision 6.0 Final — June 3, 1992” (PDF). Adobe Systems (1995年9月15日). 2012年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月13日閲覧。
  12. ^ Head (2008年3月13日). “Handling Microsoft Office Document Scanning TNEF and TIFFs in Linux”. Suppressingfire.org. 2013年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月13日閲覧。
  13. ^ You may experience issues when you run the Microsoft Office Document Imaging program after you install Office 2003 Service Pack 3 (Revision 3.0)”. Microsoft Support. Microsoft (2009年8月11日). 2012年12月13日閲覧。
  14. ^ Install MODI for use with Microsoft Office 2010”. Microsoft Support. 2019年2月7日閲覧。
  15. ^ LibTiff Mailing List Archive, "Notes on Microsoft Office Document Imaging file format", by Brad Hards”. www.asmail.be. 2018年1月14日閲覧。
  16. ^ LibTiff Mailing List Archive, "Microsoft Document Imaging status / snapshot", by Brad Hards”. www.asmail.be. 2018年1月14日閲覧。
  17. ^ David Gainer (2006年7月17日). “Office Web Components "Roadmap"”. Microsoft Excel 2007 (nee Excel 12). MSDN Blogs. 2006年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年9月10日閲覧。
  18. ^ Webpage on Windows 7 does not render the OWC Pivot Table
  19. ^ Equation Editor Tips”. MathType. Design Science. 2015年2月22日閲覧。
  20. ^ Where is Equation Editor? - Word - Office.com”. Office.microsoft.com. 2012年3月1日閲覧。
  21. ^ Murray Sargent (2006年9月13日). “High-Quality Editing and Display of Mathematical Text in Office 2007”. blogs.msdn.com. 2018年1月14日閲覧。
  22. ^ CVE-2018-0802: Microsoft Office Memory Corruption Vulnerability”. Microsoft (2018年1月9日). 2018年1月14日閲覧。

外部リンク 編集

数式エディター
WordArt
Microsoft Data Analyzer
Office Webコンポーネント