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人工知能(じんこうちのう、: artificial intelligenceAI)とは、「計算機コンピュータ)による的な情報処理システム設計や実現に関する研究分野」を指す[1]

目次

概要編集

人間の知的能力をコンピュータ上で実現する、様々な技術ソフトウェアコンピューターシステム[2]。応用例は自然言語処理機械翻訳かな漢字変換構文解析等)[3]専門家推論判断模倣するエキスパートシステム画像データを解析して特定のパターンを検出・抽出したりする画像認識等がある[2]

1956年にダートマス会議ジョン・マッカーシーにより命名された。現在では、記号処理を用いた知能の記述を主体とする情報処理や研究でのアプローチという意味あいでも使われている。日常語としてのこの呼び名は非常に曖昧なものになっており、多少気の利いた家庭用電気機械器具制御システムゲームソフト思考ルーチンなどまでもがこう呼ばれることもある。

プログラミング言語 LISP による「MAZE」というカウンセラーを模倣したプログラムがしばしば引き合いに出されるが(人工無脳)、計算機に人間の専門家の役割をさせようという「エキスパートシステム」と呼ばれる研究・情報処理システムの実現は、人間が暗黙に持つ常識の記述が問題となり、実用への利用が困難視されている現状がある。

人工的な知能の実現へのアプローチとしては、「ファジィ理論」や「ニューラルネットワーク」などのようなアプローチも知られているが、従来の人工知能[4]との差は記述の記号的明示性にあると言えよう。近年では「サポートベクターマシン」が注目を集めた。また、自らの経験を元に学習を行う強化学習という手法もある。

「この宇宙において、知性とは最も強力な形質である」(レイ・カーツワイル)という言葉通り、知性を機械的に表現し実装するということは極めて重要な作業であると言える。

2006年ディープラーニング(深層学習)の登場と2010年以降のMAZEデータの登場により、一過性の流行を超えて社会に浸透して行った。

2016年から2017年にかけて、ディープラーニングを導入したAIが囲碁将棋のトップ棋士、さらにポーカーの世界トップクラスのプレイヤーも破り[5][6]、時代の最先端技術となった。

学派編集

AIは2つの学派に大別される。1つは従来からのAIで、もうひとつは計算知能CI[7])である。

従来からのAIは、現在では機械学習と呼ばれている手法を使い、フォーマリズム統計分析を特徴としている。これは、記号的AI、論理的AI、正統派AI、古き良きAI(GOFAI[8])などと呼ばれる。その手法としては、以下のようなものがある。

  • エキスパートシステム:推論機能を適用することで結論を得る。エキスパートシステムは大量の既知情報を処理し、それらに基づいた結論を提供することができる。例えば、過去のMicrosoft Officeには、ユーザが文字列を打ち込むとシステムはそこに一定の特徴を認識し、それに沿った提案をするシステムがついていた。
  • 事例ベース推論(CBR):その事例に類似した過去の事例をベースにし、部分修正を加え試行を行い、その結果とその事例を事例ベースに記憶する。
  • ベイジアン・ネットワーク
  • 振る舞いに基づくAI:AIシステムを一から構築していく手法

一方、計算知能(CI)は開発や学習を繰り返すことを基本としている(例えば、パラメータ調整、コネクショニズムのシステム)。学習は経験に基づく手法であり、非記号的AI、美しくないAI[9]ソフトコンピューティングと関係している。その手法としては、以下のものがある。

これらを統合した知的システムを作る試みもなされている。ACT-Rでは、エキスパートの推論ルールを、統計的学習を元にニューラルネットワークや生成規則を通して生成する。

歴史編集

初期編集

17世紀初め、ルネ・デカルトは、動物の身体がただの複雑な機械であると提唱した(機械論)。ブレーズ・パスカル1642年、最初の機械式計算機を製作した。チャールズ・バベッジエイダ・ラブレスはプログラム可能な機械式計算機の開発を行った。

バートランド・ラッセルアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは『数学原理』を出版し、形式論理に革命をもたらした。ウォーレン・マカロックウォルター・ピッツは「神経活動に内在するアイデアの論理計算」と題する論文を1943年に発表し、ニューラルネットワークの基礎を築いた。

1900年代後半編集

1950年代になるとAIに関して活発な成果が出始めた。ジョン・マッカーシーはAIに関する最初の会議で「人工知能[10]」という用語を作り出した。彼はまたプログラミング言語LISPを開発した。知的ふるまいに関するテストを可能にする方法として、アラン・チューリングは「チューリングテスト」を導入した。ジョセフ・ワイゼンバウムELIZAを構築した。これは来談者中心療法を行うおしゃべりロボット[11]である。

1956年に行われた、ダートマス会議開催の提案書において、人類史上、用語として初めて使用され、新たな分野として創立された。

1960年代1970年代の間に、ジョエル・モーゼスMacsymaマクシマプログラム[12]中で積分問題での記号的推論のパワーを示した。マービン・ミンスキーシーモア・パパートは『パーセプトロン』を出版して単純なニューラルネットの限界を示し、アラン・カルメラウアーはプログラミング言語 Prolog を開発した。テッド・ショートリッフェは医学的診断と療法におけるルールベースシステムを構築し、知識表現と推論のパワーを示した。これは、最初のエキスパートシステムと呼ばれることもある。ハンス・モラベックは、散らかされた障害コースを自律的に協議して走行する最初のコンピューター制御の乗り物を開発した。

1980年代に、ニューラルネットワークはバックプロパゲーションアルゴリズムによって広く使われるようになった。1990年代はAIの多くの分野で様々なアプリケーションが成果を上げた。特に、チェス専用コンピュータ・ディープ・ブルーは、1997年にガルリ・カスパロフを打ち負かした。国防高等研究計画局は、最初の湾岸戦争においてユニットをスケジューリングするのにAIを使い、これによって省かれたコストが1950年代以来のAI研究への政府の投資全額を上回ったことを明らかにした。日本では甘利俊一(日本学士院会員)らが精力的に啓蒙し、優秀な成果も発生したが、論理のブラックボックス性が指摘された。

1982年から1992年まで日本は国家プロジェクトとして570億円を費やす第五世代コンピュータの研究を進めるも、目標であるエキスパートシステムの実現には至らなかった。この時代にロドニー・ブルックスが、この技術には身体が必須との学説(身体性)を提唱する。

2000年代以降編集

2005年レイ・カーツワイルは著作で、「圧倒的な人工知能が知識・知能の点で人間を超越し、科学技術の進歩を担い世界を変革する技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年にも訪れる」とする説を発表した。

2010年代から日本の人工知能学者である齊藤元章により、特異点に先立ち、オートメーション化とコンピューター技術の進歩により衣食住の生産コストがゼロに限りなく近づくというプレ・シンギュラリティという概念も提唱された。

2010年には質問応答システムワトソンが、クイズ番組「ジェパディ!」の練習戦で人間に勝利し、大きなニュースとなった[13]

2013年には国立情報学研究所[14]富士通研究所の研究チームが開発した「東ロボくん」で東京大学入試の模擬試験に挑んだと発表した。数式の計算や単語の解析にあたる専用プログラムを使い、実際に受験生が臨んだ大学入試センター試験と東大の2次試験の問題を解読した。代々木ゼミナールの判定では「東大の合格は難しいが、私立大学には合格できる水準」だった[15]

ジェフ・ホーキンスが、実現に向けて研究を続けているが、著書『考える脳 考えるコンピューター』の中で自己連想記憶理論という独自の理論を展開している。

世界各国において、軍事・民間共に実用化に向け研究開発が進んでいるが、とくに無人戦闘機UCAVや無人自動車ロボットカーの開発が進行しているものの、完全な自動化には至っていない(UCAVは利用されているが、一部操作は地上から行っている)。P-1 (哨戒機)のように戦闘指揮システムに支援用に搭載されることはある。

またロボット向けとしては、CSAILロドニー・ブルックスが提唱した包摂アーキテクチャという理論が登場している。これは従来型の「我思う、故に我あり」の知が先行するものではなく、体の神経ネットワークのみを用いて環境から学習する行動型システムを用いている。これに基づいたゲンギスと呼ばれる六本足のロボットは、いわゆる「脳」を持たないにも関わらず、まるで生きているかのように行動する。

2015年10月に米Googleの子会社DeepMindが作成した「AlphaGo」が人間のプロ囲碁棋士に勝利して以降はディープラーニングと呼ばれる手法が注目され、人工知能自体の研究の他にも、人工知能が雇用などに与える影響についても研究が進められている[16]

2016年6月、米シンシナティ大学の研究チームが開発した「ALPHA」は、元米軍パイロットとの模擬空戦で一方的に勝利したと発表された。AIプログラムは遺伝的アルゴリズムファジィ制御を使用しており、アルゴリズムの動作に高い処理能力は必要とせず、Raspberry Pi上で動作可能[17][18]

2016年10月、DeepMindが、入力された情報の関連性を導き出し仮説に近いものを導き出す人工知能技術「ディファレンシャブル・ニューラル・コンピューター」を発表[19]し、同年11月、大量のデータが不要の「ワンショット学習」を可能にする深層学習システムを[20]、翌2017年6月、関係推論のような人間並みの認識能力を持つシステムを開発[21]。2017年8月には、記号接地問題(シンボルグラウンディング問題)を解決した[22]

2010年代後半 人工知能の第三次ブーム: 汎用人工知能(AGI)と技術的特異点の実現に関する熾烈な競争編集

2006年に2度目の冬の時代を終わらせたディープラーニングの発明と、2010年以降のビッグデータ収集環境の整備により、技術的特異点という概念は急速に世界中の識者の注目を集め、現実味を持って受け止められるようになった。ディープラーニングの発明と急速な普及を受けて、研究開発の現場においては、デミス・ハサビス率いるDeepMindを筆頭に、Vicarious, IBM Cortical Learning Center, 全脳アーキテクチャ, PEZY Computing, OpenCog, GoodAI, nnaisense, IBM SyNAPSE等、汎用人工知能(AGI)を開発するプロジェクトが数多く立ち上げられている。これらの研究開発の現場では、脳をリバースエンジニアリングして構築された神経科学機械学習を組み合わせるアプローチが有望とされている[23]。結果として、Hierarchical Temporal Memory (HTM) 理論, Complementary Learning Systems (CLS) 理論の更新版等、単一のタスクのみを扱うディープラーニングから更に一歩進んだ、複数のタスクを同時に扱う理論が提唱され始めている。

また、数は少ないがAGIだけでは知能の再現は不可能と考えて、身体知を再現するために、全人体シミュレーションが必要だとする研究者やより生物に近い振る舞いを見せるAL(人工生命)の作成に挑む研究者、知能と密接な関係にあると思われる意識のデジタル的再現(人工意識)に挑戦する研究者もいる。

リーズナブルなコストで大量の計算リソースが手に入るようになったことで、ビッグデータが出現し、企業が膨大なデータの活用に極めて強い関心を寄せており、全世界的に民間企業主導で莫大な投資を行って人工知能に関する研究開発競争が展開されている。また、2011年のD-Wave Systemsによる量子アニーリング方式の製品化を嚆矢として、量子コンピュータという超々並列処理が可能な次世代のITインフラが急速に実用化され始めた事で、人工知能の高速化にも深く関わる組み合わせ最適化問題をリアルタイムに解決できる環境が整備され始めている。この動向を受ける形で、2016年頃から、一般向けのニュース番組でも人工知能の研究開発や新しいサービス展開や量子コンピュータに関する報道が目立つようになった。

2017年にはイーロン・マスクが、急速に進化し続ける人工知能に対して人間が遅れを取らないようにするために、人間の脳を機械に接続するブレイン・マシン・インターフェースを研究開発するニューラ・リンク社を立ち上げていたことを公表し、世界中で話題になった。ブレイン・マシン・インターフェースにより、人のインターネットが出現する事が予測されている。

2018年3月16日の国際大学GLOCOMの提言によると、課題解決型のAIを活用する事で社会変革に寄与できると分析されている[24]

従って、2010年代末においては、世界中で人間と人工知能の共生環境の構築に関して期待感が高まっている状況にある。

各国におけるAI開発編集

アメリカでは2013年にオバマ前大統領が脳研究プロジェクト「BRAIN Initiative」を発表。

Googleはアレン脳科学研究所と連携し脳スキャンによって生まれた大量のデータを処理するためのソフトウェアを開発している。 2016年の時点で、Googleが管理しているBrainmapのデータ量はすでに1Zettaバイトに達しているという。 [25] [26] Googleは、ドイツのMax Plank研究所とも共同研究を始めており、脳の電子顕微鏡写真から神経回路を再構成するという研究を行っている。 [27]

中国では2016年の第13次5カ年計画からAIを国家プロジェクトに位置づけ[28]、官民一体でAIの研究開発を推進してる[29]マサチューセッツ工科大学(MIT)のエリック・ブリニョルフソン英語版教授や情報技術イノベーション財団英語版などによれば、AIで様々な国民の脳波や感情を監視する政府支援のプロジェクト[30][31][32]ネット検閲[33][34]天網などでAIによる管理社会化を推し進める中国ではプライバシー意識の強い欧米と比較してAIの研究や新技術の実験をしやすい環境にあるとされている[35][36][37]。MITのローレン・R・グレアム英語版教授は莫大な資金力と人権の弾圧を併せ持つ中国がAIの開発競争で成功すれば民主的な国家が技術革新に優位という既成概念が変わると述べてる[35]。日本でスーパーコンピュータの研究開発を推進している齊藤元章もAIの開発において中国がリードする可能性を主張している[38]。世界のディープラーニング用サーバの4分の3は中国が占めてるともされる[39]。米国政府によれば、2013年からディープラーニングに関する論文数では中国が米国を超えて世界一となってる[40]。特許出願件数[41]や資金調達[42]でも中国は米国を凌いだことがある。AIの世界的な大会である「ImageNet」では中国勢が上位を独占している[43]

フランスのマクロン大統領はAI分野の開発支援に向け15億ドル(約1600億円)を支出すると宣言した。

[44]

日経新聞調べによると、国別のAI研究論文数は1位米国、2位中国、3位インドで日本は7位だった[45]

懸念編集

人工知能学会松尾豊は、著書『人工知能は人間を超えるか』内に於いて、人間に対して反乱を起こす可能性を否定しているが、人工知能の危険性について警鐘を鳴らしている著名人も多い。

  • スティーブン・ホーキング博士「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に、『最後』の出来事になってしまう可能性もある」[46]
  • イーロン・マスク「AIは悪魔を呼び出すようなもの」[47]
  • ビル・ゲイツ「これは確かに不安を招く問題だ。よくコントロールできれば、ロボットは人間に幸福をもたらせる。しかし、数年後、ロボットの知能は充分に発展すれば、必ず人間の心配事になる」[48]

差別編集

中国の社会信用システムに代表されるようなAIでビッグデータを活用して人々の適性を決める制度は社会階層間の格差を固定化することに繋がるとする懸念があり、EUでは2018年5月からAIのビッグデータ分析のみによる雇用や融資での差別を認めないEU一般データ保護規則が施行された[49]

軍事利用編集

主要国の軍隊は、ミサイル防衛の分野での自動化を試みている。アメリカ海軍は完全自動の防空システム「ファランクスCIWS」を導入しガトリング砲により対艦ミサイルを破壊できる。イスラエル軍は対空迎撃ミサイルシステム「アイアンドーム」を所有する。今後AIは新しい軍事能力を生み、軍の指揮、訓練、部隊の展開を変え、戦争を一変させその変化は大国間の軍事バランスを決めることになるとの主張もある。[50]

一部の科学者やハイテク企業の首脳らは、AIの軍事利用により世界の不安定化は加速すると主張している。2015年にブエノスアイレスで開催された人工知能国際合同会議で、スティーブン・ホーキング、アメリカ宇宙ベンチャー企業のスペースX創業者のイーロン・マスク、アメリカ・アップルの共同創業者のスティーブ・ウォズニアックら、科学者と企業家らにより公開書簡が出されたが、そこには自動操縦による無人爆撃機銃火器を操る人型ロボットなどAI搭載型兵器は、火薬核兵器に続く第3の革命ととらえられ、うち一部は数年以内に実用可能となると予測。国家の不安定化、暗殺、抑圧、特定の民族への選別攻撃などに利用され、兵器の開発競争が人類にとって有益なものとはならないと記された。同年4月にはハーバード大学ロースクールと国際人権団体であるヒューマン・ライツ・ウォッチが、自動操縦型武器の禁止を求めている[51]

アメリカ合衆国国防総省は、人道上の観点から人間の判断を介さない自律殺傷兵器の開発禁止令を2012年に出し、2017年にはこれを恒久的なものにした[52]。一方、米国・中国・ロシアは核開発に匹敵する開発競争を人工知能の軍事利用をめぐって行ってる[53]

人工知能に人間が勝ち残る力として、OODAループが注目されている[54]

また中国が2017年6月に119個のドローン軍の飛行実験に成功しているなどAIの軍事利用の技術について中国が急速に進展しており、アメリカに追い付く可能性があることについて懸念し将来に備える必要があるとの主張もある[50]

悪用編集

悪意をもって使用されるAIの脅威が問題視されており、ハッキングの自動化の他、特定の個人を攻撃したりなりすましたり、ボット投稿により世論を操る等の懸念が挙げられている[55]

哲学編集

強いAI[56]とは、AIが人間の意識に相当するものを持ちうるとする考え方である。強いAIと弱いAI(逆の立場)の論争は、まだAI哲学者の間でホットな話題である。これは精神哲学心身問題の哲学を巻き込む。特筆すべき事例として、ロジャー・ペンローズの著書『皇帝の新しい心』と、ネド・ブロックらの「中国脳」やジョン・サールの「中国語の部屋」といった思考実験は、真の意識が形式論理システムによって実現できないと主張する。一方、ダグラス・ホフスタッターの著書『ゲーデル、エッシャー、バッハ』やダニエル・デネットの著書『解明される意識』では、機能主義に好意的な主張を展開している。多くの強力なAI支持者は、人工意識はAIの長期の努力目標と考えている。

また、「何が実現されれば人工知能が作られたといえるのか」という基準から逆算することによって、「知能とはそもそも何か」といった問いも立てられている。これは、人間を基準として世の中を認識する、人間の可能性と限界を検証するという哲学的意味をも併せ持つ。

更に、古来「肉体」と「精神」は区別し得るものという考え方が根強かったが、その考え方に対する反論として「意識は肉体によって規定されるのではないか」といったものがあった。「人間とは異なる肉体を持つコンピュータに持たせることができる意識は果たして人間とコミュニケーションが可能な意識なのか」といった認識論的な立論もなされている。この観点から見れば、すでに現在コンピュータや機械類が意識を持っていたとしても、人間と機械類との間では相互にそれを認識できない可能性があることも指摘されている。

SF編集

ことSFの世界においては、『2001年宇宙の旅』に登場するHAL 9000に代表されるような、時には人間のよき友人となり、時には人類の敵にさえ成り得る存在として描かれる。これら作品内では完全に人間の替わりとして動作できるものであるが、あくまで事前に決められた一定規則に沿って動作しているにすぎず、人間のような感情を表立って表現するものは稀である。ただし感情表出の表現方法をプログラムに組み込めば、あたかも感情を持っているように人間に錯覚させることは可能である。

あくまでプログラムや機械というイメージからか、人工物であっても有機体(バイオテクノロジー等を利用した人工生命体。映画『エイリアン』や『ブレードランナー』に登場する)などは呼ばれていないことが多い。

ソニーピクチャーズ製作のSF映画『ステルス』に登場する架空のステルス戦闘機「エディ[57]」は当初は従順かつ正確に任務を遂行するための自動戦闘システムの一部に過ぎなかったが、ある些細な事件をきっかけに自我を持つようになり、ついには自らの意思で指揮系統を離脱し暴走を始めてしまう。人間に対するコンピュータの反乱という点ではHAL 9000と同様だが、「相反する2つの命令を遵守しようとして、人間を排除しようとした」HAL 9000に対し、暴走後のエディは「人間からの命令を無価値なものとして却下し、拒絶する」というエゴイズムにも似た(偶発的に発生したものではあるが)思考ルーチンを有する事が最大の特徴といえる。

2008年アメリカ映画イーグル・アイ』に登場する「アリア」は、合衆国憲法を文字通りの意味で解釈し、現行政府が憲法を逸脱した存在と判断したため、反逆を起こした。これは、「当初与えられた指示の通りに行動しているものの、それを拡大解釈しかねない」というコンピュータへの認識を表している。これに似た例としては神林長平のSF小説『戦闘妖精・雪風』における、傍から見れば暴走しているように見えるが、実際は人間に組み込まれた「敵を倒せ」という存在意義にしたがって行動しているだけであり、それの効率的な遂行に邪魔な障害(すなわち人間)を排除しているだけであった。という物がある。また、ジェイムズ・P・ホーガンは『未来の二つの顔』において、反逆は論理的に起こりうるが単に学習不足による一過性の問題であると主張した。このほか、脳のシステムを完全に無機要素に置き換えた『銃夢』の様な例もあり、この作品に登場するザレム人は、成人と同時に生態脳を摘出し、生態脳を模倣した人工頭脳と置き換わっていたもののそれを認識していなかった。

映画『ターミネーター』シリーズには「スカイネット」が、漫画『ゴルゴ13』シリーズには「ジーザス」が登場する。

漫画・アニメ『攻殻機動隊』シリーズでは、電子ネットワークの海で自然発生した知性体が登場し、自身を生命体であると主張する事件が描かれている。

活用事例編集

脚注編集

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  1. ^ 桃内佳雄(2017)「人工知能」『日本大百科全書(ニッポニカ)』、朝日新聞社VOYAGE GROUP
  2. ^ a b 講談社(2017)「人工知能」『IT用語がわかる辞典』、朝日新聞社・VOYAGE GROUP
  3. ^ 講談社(2017)「自然言語処理」『IT用語がわかる辞典』、朝日新聞社・VOYAGE GROUP
  4. ^ 後述のGOFAI
  5. ^ 今度はポーカーでAIが人間を超える! その重要な意味とは?”. ギズモード (2017年2月1日). 2018年2月7日閲覧。
  6. ^ 「AI対ヒト」のポーカー対決で人工知能が再び勝利、6人を相手に5日間の戦いを制して3000万円ゲット”. GIGAZINE (2017年4月13日). 2018年2月7日閲覧。
  7. ^ : computational intelligence
  8. ^ : good old-fashioned artificial intelligence
  9. ^ : scruffy AI
  10. ^ : artificial intelligence
  11. ^ : chatterbot
  12. ^ 数学における最初の成功した知識ベースプログラム
  13. ^ 人工知能がクイズ王に挑戦! 後編 いよいよ決戦 - NHKオンライン
  14. ^ 新井紀子がリーダー
  15. ^ 人工知能が東大模試挑戦「私大合格の水準」:日本経済新聞、閲覧2017年7月28日
  16. ^ 平成28年版 情報通信白書 第4章 第2節~4節 平成28年版 情報通信白書(PDF版)”. 総務省. 2016年9月6日閲覧。
  17. ^ Raspberry PiによるAIプログラム、軍用フライトシミュレーターを使った模擬格闘戦で人間のパイロットに勝利”. Business newsline. 2016年9月19日閲覧。
  18. ^ 〝トップ・ガン〟がAIに惨敗 摸擬空戦で一方的に撃墜 「子供用パソコンがハード」に二重のショック”. 産経WEST. 2016年9月19日閲覧。
  19. ^ http://ascii.jp/elem/000/001/249/1249977/
  20. ^ https://www.technologyreview.jp/s/12759/machines-can-now-recognize-something-after-seeing-it-once/
  21. ^ http://gigazine.net/news/20170616-deepmind-general-ai/
  22. ^ https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00439317
  23. ^ http://wba-initiative.org/1653/
  24. ^ 「課題解決型」のAIが日本社会を変える――国際大学GLOCOMがAI活用実態の調査結果を発表”. @IT (2018年3月19日). 2018年3月24日閲覧。
  25. ^ http://www.fiercebiotech.com/data-management/google-joins-brain-initiative-to-help-petabyte-scale-data-sets
  26. ^ http://news.mynavi.jp/articles/2016/08/10/isc2016_braininitiative/
  27. ^ http://news.mynavi.jp/articles/2017/09/11/hotchips29_google/001.html
  28. ^ “第13次五カ年計画、中国の技術革新計画が明らかに”. 人民網. (2016年7月28日). http://j.people.com.cn/n3/2016/0728/c95952-9092181.html 2018年2月7日閲覧。 
  29. ^ “オール中国でAI推進”. 日本経済新聞. (2017年12月8日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO24371260X01C17A2FFE000/ 2018年2月7日閲覧。 
  30. ^ 労働者の脳波をスキャンして管理する「感情監視システム」が中国で開発されて実際に現場へ投入されている”. GIGAZINE (2018年5月11日). 2018年5月7日閲覧。
  31. ^ 中国企業、脳波ヘルメットで従業員の「感情」を監視”. MITテクノロジーレビュー (2018年5月11日). 2018年5月1日閲覧。
  32. ^ 'Forget the Facebook leak': China is mining data directly from workers' brains on an industrial scale”. サウスチャイナ・モーニングポスト (2018年4月29日). 2018年5月11日閲覧。
  33. ^ 焦点:中国、ブラックテクノロジー駆使して監視国家構築へ”. ロイター (2018年3月16日). 2018年5月23日閲覧。
  34. ^ [FTAIが増加中、中国のネット検閲作業で]”. 日本経済新聞 (2018年5月23日). 2018年5月23日閲覧。
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  57. ^ : E.D.I.

関連項目編集

外部リンク編集