NGC 2080は、かじき座30番星の南側にある星形成領域、輝線星雲である。銀河系伴銀河である大マゼラン雲の中に位置し、約16万8000光年離れている[1]。1834年にウィリアム・ハーシェルにより発見された[2]。直径は約50光年で[3]、離れた位置に2つの白い斑点があることからこれを「おばけの目」になぞらえて[4]、英語ではGhost Head Nebulaともいう。西側のものはA1と呼ばれ、若く重い恒星を含む恒星風バブルが中心にある。東側のものはA2と呼ばれ、新しく形成された星団にいくつかの若い恒星を含むが、今はまだ起源となった塵の雲に隠されている[1][4]。どちらの塵の雲も恒星からの放射で消散しておらず、どちらも形成から1万年以内であると推測されている[4]。これらの恒星は、恒星風と呼ばれる物質を外側に吹き出し、星雲内に恒星風バブルを作っている[5]

NGC 2080
NGC 2080
星座 かじき座
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  05h 39m 44.2s
赤緯 (Dec, δ) −69° 38′ 44″
距離 160,000
他のカタログでの名称
ESO 057-EN012,
h 2950, GC 1278
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恒星の存在は、星雲の色にも大きな影響を与えている。星雲の西側は、周縁部に強力な恒星があるため、二階電離酸素輝線が支配的で、その色は緑色である[4]。星雲の残りの部分は、水素の電離のため、赤色に見える[4]。中央部では水素と酸素の両方が電離しているため、淡い黄色に見える。A1やA2の周辺領域等で、水素が第二波長の光を放出するのに十分なエネルギーを与えられると、青色に見える[1][4]

英語で似た名前の星雲にGhost Nebula (Sh2-136)やLittle Ghost Nebula (NGC 6369)があり、注意が必要である。

出典 編集

  1. ^ a b c Wilkins, Jamie; Dunn, Robert (2006). 300 Astronomical Objects: A Visual Reference to the Universe (1st ed.). Buffalo, New York: Firefly Books. ISBN 978-1-55407-175-3 
  2. ^ More LMC objects”. SEDS (2006年4月19日). 2012年5月7日閲覧。
  3. ^ Nemiroff, R.; Bonnell, J., eds. (31 October 2001). "Halloween and the Ghost Head Nebula". Astronomy Picture of the Day. NASA. 2012年5月7日閲覧
  4. ^ a b c d e f Hubble Sends Season's Greetings from the Cosmos to Earth”. HubbleSite. NASA and ESA (2001年12月19日). 2012年5月7日閲覧。
  5. ^ Painting with oxygen and hydrogen”. ESA (2001年10月18日). 2012年5月7日閲覧。

外部リンク 編集

座標:   05h 39m 44.2s, -69° 38′ 44″