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『NIPPON』第36号の表紙, 構成: 亀倉雄策

NIPPON(にっぽん)とは、名取洋之助を中心に1934年に設立された(第二次)日本工房(にっぽんこうぼう。1939年には国際報道工芸株式会社となり、時局により国際報道となる)により、1934年10月から1944年9月までに36冊(特別号『日本の手仕事』含む)の発刊が確認されている内閣情報部による対外宣伝(プロパガンダ)のためのグラフ誌である。

鐘紡が出資、丸善が発売元。定価1円50銭。判型は四六四倍判。
発行は英、独、仏、スペインなどの4カ国の外国語を使用する海外向け季刊雑誌という体裁をとる。これ以外には日本語版2冊と年鑑形式の日本語版2冊が確認されている。

ドイツ・ウルシュタイン社での勤務経験等を生かした名取が、グラフィカルな紙面の構想を取りまとめたもので、日本をとりまく国際情勢の悪化を背景に、写真(フォトモンタージュ)を駆使して日本を紹介するグラフ雑誌として発刊された。書体、印刷、造本、紙質等も含めて、その質は極めて高い。日本の印刷技術の優秀さを海外にアピールすることもその目的のひとつであり、印刷をした共同印刷は高い技術を有していた。写真やデザインに重点を置き、インターナショナルに発言する記事も充実した、日本で初めての「海外にも誇れるグラフ雑誌」として企画された。のちの東方社のFRONTと比較しても、単に視覚のみではなく、活字も重視した雑誌だといえる。なお、アメリカのグラフ雑誌「LIFE」は、1936年創刊であり参考にしたという事実はないが、LIFEの編集長・クルト・コルフはウルシュタイン社の出身であり、名取洋之助と同時期に働いていたことからグラフ誌制作の根は同じといえる。

制作にかかわった主な顔触れは、以下のとおり。

美術グラフィックデザイン)では、山名文夫河野鷹思亀倉雄策熊田五郎、高松甚二郎ら、写真では、土門拳藤本四八、小柳次一、沼野謙、松田正志、森堯之、相沢敬一、梅本竹馬太、門奈次郎、長井秀雄、松下正夫。ブレーンとして大宅壮一伊奈信男長谷川如是閑古谷綱武谷川徹三らがいた。

なお、日本工房には所属していないが、NIPPONには、中山岩太野島康三堀野正雄渡辺義雄小石清、岡田紅陽、岡本東洋、紅谷吉之助、福原信三金丸重嶺木村伊兵衛菊池俊吉、安河内治一郎、光墨弘、塚本閤治、大橋青湖、松山虔三、吉田潤、山川益男、濱谷浩、光吉夏弥、杉山吉良らの写真作品も掲載された。

参考文献編集

  • 名取洋之助と日本工房[1931-45]/白山眞理・堀宜雄・編/岩波書店/2006年(下記、福島県立美術館で開催された展覧会の展覧会カタログという位置付け)
  • 復刻版NIPPON(全3期)/金子隆一監修/国書刊行会/2002年-2005年
    • 第1期(1号から12号まで12冊+月報)(復刻版は2002年刊行)
    • 第2期(13号から24号まで12冊+月報)(復刻版は2002年刊行)
    • 第3期(25号から36号まで、特別号日本の手仕事、日本語版1936、日本語版1937、日本版第1巻第1号・第2号の17冊+別冊)(復刻版は2005年刊行)(註)第3期は、「別冊」があるため、「月報」はなし

主要な展覧会編集

  • 名取洋之助と日本工房展/福島県立美術館/2006年(以降、関東などに巡回する予定あり)

関連項目編集