Apache Subversion

プログラムのソースコードなどを管理する集中型バージョン管理システム
Subversionから転送)

Apache Subversion(アパッチ・サブバージョン; SVN)はプログラムのソースコードなどを管理する集中型バージョン管理システムの一つ。元々は、CollabNetが開発していたが、2009年11月7日にApache Incubatorプロジェクトのひとつとなり、2010年2月17日よりApacheのトッププロジェクトとなった。ライセンスはApache Licenseに準じたものとなっている。

Subversion
作者 CollabNet
開発元 Apacheソフトウェア財団
初版 2000年10月20日 (23年前) (2000-10-20)
最新版
1.14.1 / 2021年2月10日 (3年前) (2021-02-10)[1]
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
C
対応OS クロスプラットフォーム
サポート状況 開発中
種別 バージョン管理ソフトウェア
ライセンス Apache License
公式サイト subversion.apache.org
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概要 編集

歴史的には広く使われているバージョン管理システムの一つにCVSがあった。CVSにはディレクトリの移動の管理やネットワーク対応の点、不可分な更新などの点で難があった。これらCVSの問題点を解決すべく開発されたのがSubversionである。

Subversionは集中型(クライアント・サーバ型)であるが、その後、GitMercurialBazaarなどの分散型のバージョン管理システムが登場するようになった。例えば、Linuxカーネルの管理にはGit、Mozilla Firefoxの管理にはMercurial、MySQLの管理にはBazaarが使われている。

特徴 編集

Subversionの使い方はCVSによく似ている。コマンドラインで使用する際の主要なコマンド名はCVSと一致するように作られているため、クライアントはCVSからの移行がきわめて容易である。

  1. ディレクトリの移動や削除をサポートしている。このため、ファイル名やソースツリーの構造がはっきりと決まらないうちからバージョン管理をすることができる。
  2. バージョン番号(リビジョン番号)はソースツリー全体に対して振られるため、原則としては誰かがソースツリーのどこかのファイルを更新する度に番号が増えてゆく。(CVSではファイル毎にリビジョン番号がつけられている。)
  3. 作業ディレクトリ内に、最後にソースリポジトリと同期をとったときのファイルのコピーを持っているため、改編中のファイルの変更部の確認などがソースリポジトリにアクセスする事無く高速に実行できる[要出典]。また、ファイルの差分送信が効率よく行なわれるため、プアなネットワーク環境で利用したときに快適である。
  4. SSHによるソースリポジトリとの通信を標準でサポートしている。インターネット経由で利用してもセキュリティを容易に保つ事ができる。
  5. WebDAVをバックエンドとして使うことができる。つまり、Apache HTTP ServerなどのWebDAVをサポートするHTTPサーバを経由して、WebDAVプロトコルを用いてSubversionサーバとSubversionクライアントが通信するという形態が使える。

一方で CVS における module, branch, tag といった概念が Subversion では全てサブディレクトリとして設計されているので、これらの扱いは CVS とはまったく違う考え方を要する。

  1. CVS では <モジュール名>/<サブディレクトリ名>/.../<ファイル名> だが、Subversion では <サブディレクトリ名>/.../<ファイル名> となる。下記の2つのコマンドはほぼ同等の処理を行う。
    • cvs -d:some_repository checkout -d aSubdir aModule/aDir/aSubdir
    • svn co some_repository/aModuleDir/aDir/aSubdir
  2. CVS では tag や branch が各ファイル毎に管理されるが、Subversion では「別ディレクトリ/ファイルへのコピー」で管理される。
    • cvs tag aTagName aSubdir
    • svn copy aSubdir aSubdir_aTagName
  3. CVS の merge はタグ名が使えるのに対し、Subversion の merge はリビジョン番号や日付などで指定する。
  4. Subversion の svn コマンドは同じ表記でリポジトリの直接操作とローカルマシンのワーキングコピーの操作を実現するので注意を要する。
    • svn copy aSubdir anotherDir はワーキングコピーでの操作で, 次に svn commit を実行することでリポジトリに反映される。
    • svn copy some_repository/.../aSubdir some_repository/.../anotherDir では直接リポジトリが変更される。

一般的なリポジトリ構成 編集

一般に Subversion ではリポジトリの構成を以下のようにするのがよい、と提案されている。

  • <project>/trunk/<subdir>/...
  • <project>/branches/<branch>/<subdir>/...
  • <project>/tags/<tag>/<subdir>/...

この場合 branch/tag を作成するのは以下のように、コピーするだけでよい。

svn copy some_repository/aProject/trunk some_repository/aProject/branches/aBranchName

クライアント 編集

クライアントとしては、コマンドラインツールのsvnの他、以下のものがある。


使用例 編集

コマンドラインから使うクライアントsvnの使用例

インポート

$ svn import project_name svn+ssh://dev.example.com/repos/svn/trunk

チェックアウト

$ svn checkout http://svn.collab.net/repos/svn/trunk

作業コピーの更新

$ svn update

作業コピーの状態の表示

$ svn status

変更点の差分を表示

$ svn diff

ファイル README への変更を破棄して元に戻す

$ svn revert README

foo を bar に移動

$ svn move foo bar

コミット

$ svn commit

脚注 編集

  1. ^ Apache Subversion News Archives”. 2021年2月12日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集