ウィキペディアには様々な方針やガイドラインがあります。これらの文書は、ウィキペディアが対象としている多様な分野に適用できる様に一般的な言葉でかかれており、たとえば鉄道分野での執筆の際に方針やガイドラインが具体的に何を意味するかは必ずしも自明ではありません。この文書では、鉄道関連記事の執筆の際しばしば問題とされる事柄を中心に、方針やガイドラインを鉄道分野向けに解説します。


速報的な記述 編集

いわゆる「速報的な記述」は、鉄道関連記事ではしばしば問題とされます。たとえば、車両目撃情報の記述が典型例です。これが問題視されるのには、いくつかの側面があります。順次みてゆきましょう。

検証可能性 編集

ウィキペディアの記述は検証可能性を満たしていなければなりません。目撃情報の検証は著しく困難ですから、単なる目撃情報の記載はしないでください。記載しても他の編集者によって除去されるだけですが、そうしたことが繰り返されると、編集が制限されることもあり得ます。検証可能性を満たす資料については、一次資料と二次資料の区別にも注意する必要があります。

ウィキペディアはニュース速報ではない 編集

検証可能性を満足しているからといって、何でも記述してよいわけではありません。ウィキペディアはフリーな百科事典ですから、その内容はフリーな百科事典にふさわしいものである必要があります。ウィキペディアは何ではないかに、どの様なものがウィキペディアにふさわしくないかが列挙されています。その中に、ウィキペディアはニュース速報の場ではない、ということが挙げられています。車両の目撃情報はこれに該当する場合があるでしょう。何が速報で何が速報でないのか、その線引きは厳密にはできません。鉄道というのは日々運用されてゆくものですから、多かれ少なかれ進行中の事象を記述することになり、速報的なものを一切排除しようとすると廃止された鉄道についてしか記事を書けないことになってしまいます。ひとつの考え方として、

  • 速報とは、変化が起こったときに、それまでの記述を除去したり、記述のすべてを書き換えたりするもの。
  • 史実とは、変化が起こっても、それまでの記述は残り、新たな記述を書き足すもの。

というのがあります。別の見方をすれば、同じ変化であっても、記述のしかた次第で速報にも史実にもなり得るということです。

ウィキペディアは知識ベースではない 編集

例として新型車両の甲種輸送について考えてみましょう。検証可能性を満足した史実として、次の様な記述は可能です。

  • ○○系電車の第×編成の甲種輸送がいついつに行われることが発表され<ref>ナントカ情報 2009 年 7 月号</ref>、スケジュールの遅延もなく△△工場から××車両基地への輸送が行われた<ref>なんとかジャーナル 2009 年 11 月号</ref>。この際牽引にあたったのは EF□□-□□であった <ref>なんとかファン 2009 年 12 月号</ref>。

こうした記述が百科事典にふさわしいかどうかは議論のわかれるところです。○○系電車が一編成しかないなら構わないかもしれませんが、規模の大きい鉄道会社の量産編成についていちいちこの手の記述をするとなると、瑣末だとして除去されるかもしれません。○○系電車の記事というのは、○○系電車に関する検証可能な史実であれば何でも記載すべきものでもありません。読みやすい記事とするために、知識ベース的にならない様、断片的記述の集積にならない様、注意が必要です。

ウィキペディアはガイドブックではない 編集

ウィキペディアは何ではないかには観光案内ではないとあります。これは、鉄道分野でいえばガイドブック的なものではない、ということになるでしょう。これは「路線記事や駅記事は路線や駅の利用ガイドではない」といった意味で使われることが普通ですが、ここでとりあげる意味は違います。たとえば車両ガイドブックを考えてみてください。車両ガイドブックにはその車両についてある程度詳しいスペックが必要です。少なくとも主要諸元は必須でしょう。しかし、車両記事にはかならずしも必要ではありません。そうした詳細が検証可能な資料で公表されていなくとも、その車両が開発された背景といった事柄で記事を書くことも可能です。逆に、そうした背景の全くない、それこそガイドブック的な記事は、どちらかといえば知識ベース的であり、百科事典にはふさわしくないかもしれません。同様の事は駅記事にも路線記事についても言えます。

疑問に思ったら 編集

鉄道分野向けに解説してきましたが、これでもまだ一般的でわかりにくいかもしれません。もし疑問に思うことがあったら、個別記事のノートページや、Wikipedia‐ノート:ウィキプロジェクト 鉄道で相談してみてください。具体的にどういうことがしたいのかがわかる方が良い場合もあります。その場合、記事を直接編集してかまいませんが、もし不安なら、自分の利用者ページにサブページを作成し、そこに記事案を書いてみるのもよいでしょう。利用者ページはログインユーザにしかありませんから、まだアカウントを作成していないなら、そうした必要が生じた時こそアカウントを作成するべき時かもしれません。