視床下部
間脳(視床の前下方で、第三脳室下側壁)に位置し、自律機能の調節を行う総合中枢
視床下部(ししょうかぶ、羅: hypothalamus)は、間脳(視床の前下方で、第三脳室下側壁)に位置し、自律機能の調節を行う総合中枢である。中脳以下の自律機能を司る中枢がそれぞれ呼吸運動や血管運動などの個々の自律機能を調節するのに対して、視床下部は交感神経・副交感神経機能及び内分泌機能を全体として総合的に調節している。
脳: 視床下部 | |
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脳内での視床下部の位置。赤色で示す領域が視床下部。 ヒト脳の矢状断面における視床下部の位置。 | |
名称 | |
日本語 | 視床下部 |
ラテン語 | hypothalamus |
略号 | Hy |
関連構造 | |
上位構造 | 間脳、前脳、広義の脳幹 |
構成要素 | 漏斗核、室傍核、視索上核、視索前核、背内側核、腹内側核、後核、乳頭体核、外側核、視床下核 |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
Digital Anatomist |
内側 下方 下方 下方 冠状断(視床) 水平断(視床下部) 傍矢状断 |
関連情報 | |
IBVD | 体積(面積) |
Brede Database | 階層関係、座標情報 |
NeuroNames | 関連情報一覧 |
MeSH | Hypothalamus |
グレイ解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
構造
編集分泌するホルモン
編集- 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH)
- 成長ホルモン放出ホルモン (GHRH)
- ソマトスタチン(成長ホルモン抑制ホルモン)(SS)
- 性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH)
- プロラクチン放出因子 (PRF)
- プロラクチン抑制因子 (PIF)
- 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH)
摂食行動
編集視床下部外側野を破壊すると動物は餌を摂らなくなり、刺激するとさらに摂る現象が確認されている。視床下部外側野は摂食行動を促進するので摂食中枢(英: feeding center、独: Appetitzentrum)と呼ばれる。
一方、視床下部腹内側野を破壊すると動物は餌をさらに摂り、刺激すると摂らなくなる。視床下部腹内側野は摂食行動を抑制するので満腹中枢(英: satiety center)と呼ばれる。
摂食行動に対し、摂食中枢、満腹中枢は拮抗的に働く神経性調節を行い、いずれの中枢にもグルコース、遊離脂肪酸、インスリンなどに感受性を示す神経細胞が存在する。
飲水行動
編集バソプレッシン分泌による腎臓の集合管での水の再吸収が行われるのと同時に、視床下部にある渇中枢が刺激されて口渇を感じて、飲水行動を取る。
性行動
編集視床下部からのホルモン放出により性ホルモンの分泌を促して、性行動に向かわせると共に視床下部にある性中枢が刺激されて性行動が発動される。
その他
編集画像
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視床下部の位置を様々な角度から眺めた動画。赤色で示す領域が視床下部。(画像出典:Anatomography)
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妊娠三か月のヒト胎児脳の矢状断面図。視床下部(Hypothalamus)は中央部付近に見える。
関連項目
編集外部リンク
編集- 視床下部の内景 - 慶應医学部 船戸和弥
- Hypothalamus - スカラーペディア百科事典「視床下部」の項目。
- Models of Hypothalamus - 同「視床下部のモデル」の項目。