トミーとタペンス

アガサ・クリスティの小説

トミーとタペンス (Tommy and Tuppence) は、アガサ・クリスティによる長編、および短編作品に登場する、夫婦の探偵あるいは諜報員。

トミーとタペンス
Tommy and Tuppence
トミーとタペンスシリーズのキャラクター
初登場秘密機関』(1922年
最後の登場 『運命の裏木戸』(1973年
作者 アガサ・クリスティー
詳細情報
国籍 イギリスの旗 イギリス
テンプレートを表示

概要

編集

幼馴染の2人は第一次世界大戦直後のロンドンで再会し、国家機密にかかわるちょっとした冒険を経て結ばれる。その後トミーは諜報機関の職員となり、『おしどり探偵』では諜報任務のカモフラージュとして夫婦で探偵事務所を開く。主にスパイ組織と対決したり、諜報部員として働いたりといったスリラー的な活躍で知られている。役割分担としてはタペンスが直感で突っ走り、トミーがそのフォローに回ることが多い。私生活では男女の双子をもうけたほか、ある事件で知り合った孤児を養女に迎えている。

アガサ・クリスティも気に入っていた主人公のようで、最初に発表された『秘密機関』はクリスティの出版第2作であり、最終作品『運命の裏木戸英語版』はクリスティの最後に執筆した作品である。主人公達も、最初は2人の歳を合わせても45にもならなかったが、最終作品ではともに75歳前後になっている。

読者からの人気も高く、新作が発表されていなかった時期は「その後トミーとタペンスはどうしていますか?」などの手紙が世界中からクリスティの元に届いたという。

人物

編集
トーマス・ベレズフォード (Thomas Beresford)
トミーは愛称。階級は中尉。
赤毛の好青年で、タペンスとは対照的に慎重に考えて行動するタイプ。『秘密機関』時には「青年冒険家商会」をタペンスとやっていたが、後に諜報機関に就職し、『おしどり探偵』と第二次世界大戦時の『NかMか』では諜報機関の命令で防諜任務を行っている。
プルーデンス・ベレズフォード(Prudence Beresford)
タペンスは愛称。旧姓はカウリー (Cowley)。
牧師の娘で、トミーとは対照的に好奇心の強い行動的なタイプ。行動するのは主にタペンスである。
アルバート(Albert)
ベレズフォード家で雇っている従僕。『おしどり探偵』の時は少年と言っていい年齢だった。
戦争下でベレズフォード家から離れていた時期(『NかMか』)でも夫婦を助け、二人が老境に入った『親指のうずき』・『運命の裏木戸』でも夫婦に仕えている。

登場作品

編集

長編

編集

短編

編集
  • 1929年おしどり探偵』(Partners in Crime
    • アパートの妖精
    • お茶をどうぞ
    • 桃色真珠紛失事件
    • 怪しい来訪者
    • キングを出し抜く
    • 婦人失踪事件
    • 眼隠しごっこ
    • 霧の中の男
    • バリパリ屋
    • サニングデールの謎
    • 死のひそむ家
    • 鉄壁のアリバイ
    • 牧師の娘
    • 大使の靴
    • 16号だった男

映像作品

編集

秘密機関』(1983年)、短編集『おしどり探偵』から10編(1983年 - 1984年)、『親指のうずき』(2006年)がテレビドラマ化されている。2015年には時代設定を1950年代に移したドラマ『Agatha Christie’s Partners in Crime』(原作は『秘密機関』・『NかMか』)が制作され、2015年10月18日からNHKで日本語吹き替え版『アガサ・クリスティー トミーとタペンス -2人で探偵を-』として放送される。また『親指のうずき』は、舞台を現代のフランス翻案したフランス映画アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』(2005年)として映像化されている。