石田太郎

日本の俳優、男性声優,僧侶 (1944−2013)

石田 太郎(いしだ たろう、本名:石田 弦太郎(いしだ げんたろう)[1]1944年3月16日[2] - 2013年9月21日)は、日本男性俳優声優僧侶。別名義として本名のほか、石田 絃太郎(いしだ げんたろう)を1980年代の一時期に使用していた。

いしだ たろう
石田 太郎
本名 石田 弦太郎(いしだ げんたろう)
別名義 石田 絃太郎(いしだ げんたろう)
生年月日 (1944-03-16) 1944年3月16日
没年月日 (2013-09-21) 2013年9月21日(69歳没)
出身地 日本の旗 日本京都府京都市
死没地 日本の旗 日本神奈川県相模原市
身長 181cm
血液型 B型
職業 俳優
声優
僧侶
ジャンル テレビドラマ
映画
舞台
吹き替え
アニメ
活動期間 1960年代 - 2013年
配偶者 立花房子
著名な家族 石田茂樹(父)
事務所 グランパパプロダクション(最終所属)
主な作品
テレビドラマ
おしん
独眼竜政宗
葵 徳川三代
仮面ライダー555
芋たこなんきん
華麗なる一族』(2007年版)
吹き替え
新刑事コロンボ
地獄の黙示録
許されざる者
ソウ』シリーズ
RED/レッド』シリーズ
くまのプーさん』シリーズ
リトル・マーメイド』シリーズ
アニメ
ルパン三世 カリオストロの城
宇宙戦艦ヤマト 完結編
AKIRA
名探偵コナン 時計じかけの摩天楼
クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
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京都府[2]京都市出身。上智大学[2]外国語学部イスパニア語学科中退。劇団雲劇団昴[2]、野間事務所[3]オフィスPSCなどを経て、最後はグランパパプロダクションに所属していた。血液型はB型。身長181cm、体重84kg。

浄土真宗本願寺派の僧侶でもあり、石川県金沢市乗敬寺の住職も務めた。

経歴・特色 編集

父は俳優の石田茂樹。妻は女優の立花房子

劇団雲、劇団昴所属時代から舞台だけではなくテレビドラマ映画出演もこなしていた。

新刑事コロンボ』など、洋画吹き替えを中心に声優としても活躍。アニメでは悪役・権力者役が多かった。

初代コロンボの声優を務めた小池朝雄は劇団の先輩に当たり、『スーパーマンII 冒険篇』のテレビ放送版でも、前作で小池が演じていたレックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)を引き継いだ。生前から宴会の余興等でよく小池のものまねを披露し、業界では有名であった。ただし、小池の演じたコロンボの声は小池の地声よりかなり低いものであり(石田や他の役者仲間からも言われていた)、反対に石田の演ずる声は自身の地声に近く、当初は小池の声を意識して演じていたが、晩年はごく自然にコロンボを演じていたという。

ハックマンをはじめ、ジャック・ニコルソンアンソニー・ホプキンスジョン・グッドマンブライアン・デネヒーを多く担当していた(中でも『羊たちの沈黙』から始まる「レクターシリーズ」ではホプキンス演じるハンニバル・レクターをシリーズ全作品で担当し、同時にシリーズ全ての吹き替えに関わった唯一の役者でもある)。

石田によるアンソニー・ホプキンスの吹き替えは同業者間でも評価が高く、上述の『羊たちの沈黙』でクラリス・スターリング役として共演した戸田恵子は「とても印象深い太郎さんのホプキンス」と評している[4]

上記のようなシリアスな役柄を多く演じているが、『くまのプーさん』のイーヨーのようなおっとりした役柄、『リトル・マーメイド』の続編で担当したトリトン王のような厳格さと温和さを併せ持つ役柄も演じ、『コマンドー』(テレビ朝日版)や『48時間』(日本テレビ旧版)、『ハドソン・ホーク』(日本テレビ版)などではコミカルな演技も披露した。

NHK大河ドラマの常連であり、1984年に『山河燃ゆ』、1985年に『春の波涛』、1986年に『いのち』、1987年に『独眼竜政宗』と4年連続出演する(しかも『いのち』が現代劇だったために時代劇ファンのために放送された同年の『武蔵坊弁慶』にも出演している)など、生涯の中で実に15作の大河に出演した。

1989年の『春日局』と2000年の『葵 徳川三代』では、同じ大久保忠隣役を演ずるという常連俳優ならではの経験もしている。

芋たこなんきん』では、石田のために原作にない住職役が作られた[5]

2008年に発売された『ディシディア ファイナルファンタジー』では『ファイナルファンタジーV』の悪役エクスデスの声優として起用される。

特技は京都弁[2]柔道[2]

死去 編集

2013年9月21日午後1時頃、フジテレビ系で放送された連続ドラマ『独身貴族』第1話の収録において、神奈川県相模原市緑区の城山スタジオにて水着姿でプールに入っての撮影後、石田は突然に意識を失って倒れた。病院に搬送されたが、3時間半後に死亡が確認された[1]。死因は、心筋梗塞であった[6]。関係者によると、7年ほど前から心臓に異常があり、薬を服用していた時期もあったという[7]

石田は、1997年に死去した父の後を継ぎ、石川県金沢市にある浄土真宗本願寺派乗敬寺住職に就いていた。就任後は東京と金沢を行き来しながら俳優を続けていたが、「あと2年ほどで俳優業を引退し、金沢で住職に専念したい」と門徒らに話しており、2013年秋に行われる報恩講を前に、仏具や椅子を新調するなど意欲的だったという。ある門徒は、石田の読経を「映画のせりふのようにすてきだった」と述懐している[8]

代役・後任 編集

石田の死後、持ち役を引き継ぎ、出演予定だった作品を代演したのは以下の通り。

後任 役名 概要作品 代役・後任の初担当作品
津川雅彦 高倉雄二 独身貴族 (放送前の配役差し替え)
磯部勉 小河良利 軍師官兵衛[9]
菅生隆之 レックス・ルーサー スーパーマンII』旧テレビ朝日版 WOWOW版追加収録
オズワルド・コブルポット / ペンギン バットマン リターンズ』テレビ朝日版
銀河万丈[注 1] スキッパー・レイリー プレーンズ プレーンズ2/ファイアー&レスキュー
ジグソウ / ジョン・クレイマー ソウ』シリーズ ジグソウ:ソウ・レガシー
レイモンド・ホーガン 推定無罪』テレビ朝日版 WOWOW版追加収録
ニコラス・ヴァン・ヘルシング(ドクター) キャノンボール』フジテレビ版
楠見尚己 エクスデス ディシディア ファイナルファンタジー』シリーズ アーケード版
若本規夫 ベネット コマンドー』テレビ朝日版 吹替の帝王版
石塚勇 イーヨー くまのプーさん』シリーズ プーと大人になった僕[10][注 2]
石田圭祐 トリトン王 リトル・マーメイド』シリーズ キング・トリトンのコンサート

出演作品(俳優) 編集

テレビドラマ 編集

映画 編集

舞台 編集

オリジナルビデオ 編集

バラエティ 編集

トーク番組 編集

教育番組 編集

CM 編集

出演作品(声優) 編集

太字はメインキャラクター。

吹き替え 編集

俳優 編集

アンソニー・ホプキンス
オリヴァー・リード
クリストファー・プラマー
ジーン・ハックマン
ジャック・ニコルソン
ジョー・ドン・ベイカー
ショーン・コネリー
ジョン・グッドマン
ニック・ノルティ
ピーター・フォーク
ブライアン・コックス
ブライアン・デネヒー
ブレンダン・グリーソン
リップ・トーン

映画 編集

ドラマ 編集

アニメ 編集

テレビアニメ 編集

1977年
1979年
1980年
1981年
1983年
1986年
1996年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2008年
2011年
2012年

劇場アニメ 編集

1979年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1988年
1989年
1992年
1993年
1994年
1997年
1998年
2000年
2001年
2003年
2006年
2012年
2013年
2014年

OVA 編集

1990年
1992年
1994年
1995年
1999年
2008年

ゲーム 編集

1985年
1992年
1994年
  • ロードス島戦記 英雄戦争(ベルド)
1997年
2002年
2005年
2008年
2009年
  • ディシディア ファイナルファンタジー ユニバーサルチューニング(エクスデス)※戦闘ボイス日本語版限定
2011年
2014年

特撮 編集

ラジオドラマ 編集

  • 文芸劇場(NHK-FM
    • ヴィーナスの狩人(1977年1月14日)
    • 聖(1977年2月18日)
    • 螢川(1978年4月7日)
  • FMラジオ劇場(NHK-FM)
    • ジャズ大名(1982年1月9日、NHK-FM)
    • 家族の問題(1983年4月16日、NHK-FM)
    • 海外ラジオ・ドラマ特集1 かもめを食う人(1984年2月4日、NHK-FM)
    • お山参詣・東京懺悔(1984年12月15日、NHK-FM)
  • FMシアター(NHK-FM)
    • 海外ラジオドラマ特集1『スコット・希望への旅』(1986年2月1日)
    • 中国現代文学シリーズ『古井戸(前編)』(1997年8月23日)
    • 中国現代文学シリーズ『古井戸(後編)』(1997年8月30日)
    • 豆腐と花束(1998年10月24日) - 島田店長
    • シリーズ・ラテンアメリカの文学1【ペルー】『誰がパロミノ・モレーロを殺したか』(2001年9月1日) - マンドゥロー大佐
    • 赤いバス(2002年4月20日) - 柴田医師
    • 査察機長(2006年4月15日) - 大隅
    • シリーズ・カリブの現代文学『カリブの女・ユーマ』(2007年9月29日) - ガブリエル老人
    • サバイバーズ・ギルト わたしのいない街で(2011年10月1日) - 未来の父
  • 青春アドベンチャー(NHK-FM)
    • 今夜は眠れない(1996年12月2日 - 12月23日) - 田村警部
    • 夢にも思わない(1997年10月6日 - 10月17日) - 田村警部
    • 鬼の橋(1999年8月30日 - 9月10日) - 坂上田村麻呂
    • エンジェル(2000年5月15日 - 5月26日) - 城戸崎監督
    • プラハの春(2006年4月) - ペリカン総裁
    • ドラマ 古事記(第一部)〜神代編〜(2006年11月6日 - 11月17日) - ツブラオミ
    • 有頂天家族(2008年11月18日 - 11月25日) - 赤玉先生
    • ごくらくちんみ(第2期)(2011年5月2日 - 5月6日) - コヤマ先生
    • 家電の極意(2011年10月31日 - 11月11日)
    • 三匹のおっさん(2011年11月28日 - 12月9日) - シゲ
    • 1985年のクラッシュ・ギャルズ(2013年1月7日 - 1月18日) - 大川一成
  • 特集オーディオドラマ(NHK-FM)
    • 大黒屋光太夫(2003年8月23日)
    • ドラマ 古事記(第二部) 〜まほろば篇〜(2006年11月18日 - 11月25日) - ツブラオミ
    • ドラマ 古事記(第三部) 〜愛憎篇〜(2007年11月17日 - 11月24日) - ツブラオミ
    • 女歌夢の道行(2009年1月3日) - 陣八
    • 瑞穂のくに(2013年8月17日) - 鎌田幸吉
  • 連続ラジオ小説 火の鳥 鳳凰編(1978年1月4日 - 1月15日、NHKラジオ第1放送) - 我王
  • FMステレオドラマ 子午線の祀り(1979年3月23日 - 3月24日、NHK-FM)
  • FMワイドドラマスペシャル モーツァルトの暗殺(1981年3月21日、NHK-FM) - ハンス
  • R1ワイドドラマスペシャル 超音速漂流(1982年11月23日、NHKラジオ第1放送)
  • 特別番組 わが友、フロイス(1983年11月3日、NHK-FM)
  • FMスペースファンタジー アディオス・ケンタウルス!(1986年1月4日 - 1月5日、NHK-FM)
  • アドベンチャー・ロード 西遊妖猿伝(1989年10月30日 - 11月2日、NHK-FM) - 無支奇
  • アドベンチャー・ロード 続・西遊妖猿伝(1990年3月26日 - 3月30日、NHK-FM) - 無支奇
  • 天と地と(1990年、TBS)
  • ラジオ深夜便 “耳で楽しむ”藤子・F・不二雄の世界(2013年8月9日、12月23日、NHKラジオ第1放送) - 朗読[注 5]

カセットブック 編集

CD 編集

CM 編集

その他のコンテンツ 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 石田の存命中から『刑事コロンボ』のコロンボ警部役を旧シリーズ追加収録部分や新シリーズWOWOW版で並行して担当していた。
  2. ^ 石田がイーヨーの声を担当している間も歌唱のみ担当していたが、死去後の本作では声・歌唱共に担当することになった。
  3. ^ a b 死去後の放送
  4. ^ これがテレビドラマの遺作となった。
  5. ^ 収録は6月29日(公開録音)。

出典 編集

  1. ^ a b “石田太郎さん急死…草なぎ剛ショック!ドラマ収録中に急変”. Sponichi Annex. (2013年9月22日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/09/22/kiji/K20130922006664420.html 2013年9月22日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f 日本タレント名鑑'82』VIPタイムズ社、1981年、24頁。 
  3. ^ 『日本タレント名鑑'83』VIPタイムズ社、1982年、25頁。 
  4. ^ “戸田恵子 石田太郎さん偲んで吹き替え”. デイリースポーツ. (2013年9月27日). https://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2013/09/27/0006373232.shtml?pg=2 2023年11月25日閲覧。 
  5. ^ 住職が住職を演じて”. みんなの法話. 本願寺 (2007年3月10日). 2009年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月18日閲覧。
  6. ^ 舞台制作PLUS+|制作ニュース|【訃報】俳優、声優の石田太郎さん死去”. 舞台制作PLUS|制作ニュース. 2022年3月29日閲覧。
  7. ^ “急死から一夜、石田太郎さん心臓に持病の証言も”. MSN産経ニュース. (2013年9月23日). オリジナルの2013年9月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130923045615/http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130923/ent13092310190002-n1.htm 2013年9月30日閲覧。 
  8. ^ “名優住職に花の供養 急逝の石田太郎さん”. 北國新聞. (2013年10月5日). オリジナルの2013年10月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131006061012/http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20131005102.htm 2013年10月13日閲覧。 
  9. ^ “石田さん 来年大河「軍師官兵衛」にも出演…前半の出演多く”. Sponichi Annex. (2013年9月22日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/09/22/kiji/K20130922006665500.html 2017年1月10日閲覧。 
  10. ^ “堺雅人さんが実写映画の吹替声優に初挑戦! 『プーと大人になった僕』プーさんの大親友“クリストファー・ロビン”役に決定!”. ディズニー. https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku/news/20180807_01.html 2018年8月7日閲覧。 
  11. ^ エネミー・ライン”. 日曜洋画劇場. 2016年7月22日閲覧。
  12. ^ ドミノ・ターゲット”. 洋画専門チャンネル ザ・シネマ. 2023年8月15日閲覧。
  13. ^ RED/レッド〜RED”. 日曜洋画劇場. 2016年7月17日閲覧。
  14. ^ キャノンボール エクストリーム・エディション”. paramount pictures. 2024年2月21日閲覧。
  15. ^ 地獄のバスターズ”. Zeque Productions, LLC.. 2024年3月27日閲覧。
  16. ^ プロジェクトA”. paramount pictures. 2024年2月22日閲覧。
  17. ^ “ルパン三世 アルカトラズコネクション”. トムス・エンタテインメント. https://www.tms-e.co.jp/alltitles/lupin/010213.html 2016年5月2日閲覧。 
  18. ^ へうげもの”. メディア芸術データベース. 2016年8月4日閲覧。
  19. ^ ルパン三世 カリオストロの城”. 金曜ロードSHOW!. 2016年6月2日閲覧。
  20. ^ わが青春のアルカディア|キャラクター/キャスト”. 東映アニメーション. 2022年11月30日閲覧。
  21. ^ 宇宙戦艦ヤマト 完結編”. バンダイビジュアル. 2016年6月13日閲覧。
  22. ^ カムイの剣”. マッドハウス. 2016年6月13日閲覧。
  23. ^ AKIRA”. トムス・エンタテイメント. 2016年5月19日閲覧。
  24. ^ リトル・ニモ”. トムス・エンタテインメント. 2024年3月20日閲覧。
  25. ^ 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼”. 金曜ロードSHOW!. 2016年6月5日閲覧。
  26. ^ 風を見た少年”. メディア芸術データベース. 2016年8月16日閲覧。
  27. ^ “スタッフ・キャスト”. メトロポリス 公式サイト. https://www.bandaivisual.co.jp/metropolis/staff.html 2016年5月5日閲覧。 
  28. ^ ブレイブ ストーリー”. GONZO公式サイト. 2016年6月28日閲覧。

外部リンク 編集