選挙権

選挙権(せんきょけん)とは参政権のうちの1つであり、選挙人の資格すなわち選挙に参加できる資格もしくは地位を指す。これは選挙において投票する権利(投票権)のみならず、選挙人名簿への登録や選挙の公示を受ける権利などを含み、広義では被選挙権(選挙の候補者となる権利)を含める場合がある。また、選挙における議員定数に著しい不均衡が生じた場合に、選挙人がその是正のための立法措置を求める権利も含まれるとされている。

選挙権と年齢

日本においては、1889年大日本帝国憲法及び衆議院議員選挙法が公布され、一定以上の財産を持つ25歳以上の男子に選挙権が与えられ、数度の改正を経て、1925年に25歳以上の男子全員に選挙権が与えられた[1]。その後、1946年日本国憲法が公布され、20歳以上の男女と定められており、現在まで改正がなされていない。

2007年に公布された国民投票法では、投票権は18歳以上の者と規定されているが、公職選挙法上の選挙権が改正されるまでは20歳以上の者しか投票できないこととなっている。

高齢者が急激に増加したため、世代ごとの数のバランスを取るため選挙権の年齢の引き下げの必要性が指摘されている。また、選挙権の年齢の引き下げが、若い世代が政治に興味をもつきっかけになることが期待されている。

日本の法令上の選挙権の規定

選挙の種類と選挙権

国政選挙衆議院議員総選挙参議院議員通常選挙
日本国民年齢満20歳以上の者(公職選挙法9条1項)
都道府県知事・都道府県議会議員選挙
日本国民で満20歳以上であり、引き続き3カ月以上その都道府県内に住所のある者
市区町村長・市区町村議会議員の選挙
日本国民で満20歳以上であり、引き続き3カ月以上その市区町村に住所のある者

選挙権を有しない者

例外的に選挙権を有しない者については、公職選挙法第11条1項・第252条、政治資金規正法第28条、電磁記録投票法第17条に規定がある。

なお、1880年以前は女性、第二次世界大戦前は、破産者、貧困により扶助を受けている者(例外として、軍事扶助法による扶助がある)、住居のない者、6年以上の懲役・禁錮に処せられた者、華族当主、現役軍人、応召軍人にも選挙権が与えられなかった[1]

選挙権に関する資格

「衆議院議員の選挙権を有する者」であることを要件にしているもの

「当該市町村の議会の議員の選挙権を有する者(または住民)」であることを要件にしているもの

世界各国・地域の選挙権年齢

世界各国・地域の現状

選挙権年齢のデータがある192の国・地域のうち、170の国・地域が選挙権年齢が18歳(16歳・17歳も含む)となっている。[9]

世界各国・地域の選挙権年齢

世界・地域における選挙権年齢[11][12](2008年8月5日現在)

のあるものはサミット参加国、太字はOECD参加国)

近年の注目すべき動き

2007年6月にオーストリアが国政レベルの選挙権年齢を18歳から16歳に引き下げており、ドイツのように一部の州が地方選挙の選挙権年齢を先行的に16歳としている例もある。イギリスやドイツでは16歳への引下げが議論されている。 また韓国は選挙年齢を20歳から18歳に引き下げる段階的措置として2005年6月に19歳に引き下げた。[10]

学説

選挙権の本質
今日では国民主権の原則から、国民は主権者としての主権行使の一環として選挙に参加できるとする選挙権権利説(せんきょけんけんりせつ)が有力であるが、古くは選挙人団(選挙人の集団)の一員としての公務の一環として選挙に参加する選挙権公務説(せんきょけんこうむせつ)も有力であった。

前者の解釈をとった場合には、全ての国民は主権者としてそれぞれが平等の権利を有するために普通選挙が原則となるが、後者の解釈をとった場合には公務を執行するに相応しいと認定された者にのみ選挙権の付与を限定してもよいとする制限選挙の肯定を導き出す事も可能であった。[20]

脚注

  1. ^ a b 百瀬孝 『事典 昭和戦前期の日本…制度と実態』 伊藤隆監修、吉川弘文館(原著1990年2月10日)、初版、p. 40。ISBN 97846420361912009年9月1日閲覧。
  2. ^ a b 選挙人名簿の抄本等の閲覧に係る報告義務違反・選挙事務所、休憩所等の制限違反・選挙事務所の設置届出及び表示違反・選挙気勢を張る行為の禁止違反・自動車、船舶及び拡声機の使用表示違反・ポスター掲示違反・文書図画の撤去処分拒否・街頭演説の標旗提示拒否・夜間街頭演説禁止違反・選挙運動のための通常葉書等の返還拒否及び譲渡禁止違反人名簿の抄本等の閲覧に係る報告義務違反・選挙事務所、休憩所等の制限違反・選挙事務所の設置届出及び表示違反・選挙期日後のあいさつ行為の制限違反・推薦団体の選挙運動の規制違反・政党その他の政治活動を行う団体の政治活動の規制の違反・選挙人等の偽証罪を除く。
  3. ^ a b 政治資金監査報告書の虚偽記載・政治資金監査の業務等で知りえた秘密保持義務違反や除く
  4. ^ a b 裁判所によって情状により選挙権停止を適用しなかったり、停止期間を短縮したりすることもできる。
  5. ^ [[検察審査会法]]第4条
  6. ^ [[裁判員の参加する刑事裁判に関する法律|裁判員法]]第13条
  7. ^ [[民生委員法]]第6条
  8. ^ [[人権擁護委員法]]第6条第3項
  9. ^ 国連人権高等弁務官事務所サイト(同サイト掲載の成人年齢、国により調査年が異なる。)及び在日各国大使館への聞き取り調査等
  10. ^ a b c 国立国会図書館調査及び立法考査局「主要国の各種法定年齢」2008年12月
  11. ^ 世界各国・地域の選挙権年齢及び成人年齢(法務省HP)
  12. ^ 二院制の国は下院の選挙権年齢。各国において選挙権年齢と成年年齢は必ずしも一致していない。
  13. ^ アメリカは1971年7月より選挙権年齢は連邦だけでなく州及び地方選挙も一律に18歳となった(合衆国憲法修正第26条の成立による)。ベトナム戦争の際に、18 歳以上21 歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当である、と主張されたのをきっかけとされている。
  14. ^ イギリスは1969年4月より選挙権年齢は18歳に引き下げられた。同じく1969年7月に成人年齢も18歳に引き下げられた(それぞれ国民代表法、家族法改正法の成立による)。
  15. ^ 選挙権年齢と成人年齢は、ともに1975 年に18 歳に引き下げられている。なお、上院の選挙権年齢は25 歳である。
  16. ^ 選挙権年齢は、1970 年に18 歳に引き下げられている。
  17. ^ 兵役義務が18 歳からなのに対して、選挙権年齢が21 歳なのは不公平であるという主張をきっかけにして、1970 年に選挙権年齢が18 歳に引き下げられている。
  18. ^ 選挙権年齢と成人年齢は、ともに1974 年に18 歳に引き下げられている。
  19. ^ 選挙権年齢、成人年齢及び婚姻適齢は、第二次世界大戦前から18 歳となっている。
  20. ^ 日本においては憲法学者清宮四郎が唱えた「権利・公務両方の側面を有する」とする選挙権二元説(せんきょけんにげんせつ)も有力学説として存在している。

関連項目