アベビル (サウスカロライナ州)
アベビル(アビヴィルなどとも、英: Abbeville [ˈæbivɪl]) は、アメリカ合衆国サウスカロライナ州北西部のアベビル郡で最大の都市であり、同郡の郡庁所在地である[3][4]。州都コロンビアから西に86マイル (138 km)、州北西部の大都市グリーンビルの南45マイル (72 km) に位置している[5]。2010年国勢調査での人口は5,237 人だった[1]。当初フランスのユグノーが移住して来ており、郡名も市名もフランスのアブヴィルから採られた[5][6]。
アベビル | |
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City of Abbeville, South Carolina | |
アベビル・オペラハウス | |
標語: "可愛く、近く、完全" | |
北緯34度10分42.7584秒 西経82度22分39.6732秒 / 北緯34.178544000度 西経82.377687000度座標: 北緯34度10分42.7584秒 西経82度22分39.6732秒 / 北緯34.178544000度 西経82.377687000度 | |
国 | アメリカ合衆国 |
州 | サウスカロライナ州 |
郡 | アベビル郡 |
政府 | |
• 市長 | サラ・シャーウッド |
面積 | |
• 合計 | 6.13 mi2 (15.87 km2) |
• 陸地 | 6.12 mi2 (15.84 km2) |
• 水域 | 0.01 mi2 (0.03 km2) |
標高 | 591 ft (180 m) |
人口 | |
• 合計 | 5,237人 |
• 密度 | 856人/mi2 (330.6人/km2) |
等時帯 | UTC-5 (東部標準時) |
• 夏時間 | UTC-4 (東部夏時間) |
郵便番号 |
29620 |
市外局番 | 864 |
FIPS code | 45-00100[1] |
GNIS feature ID | 1244839[2] |
ウェブサイト |
www |
歴史
編集アベビルは1764年にフランスのユグノーによって設立された[4]。フランス出身のジョン・ド・ラ・ハウがフランスのアブヴィルから名前をつけた[4]。1840年に市として法人化された[5]。
南北戦争
編集ジョン・カルフーンはアベビルの郊外[4]、現在マウントカーメルと呼ばれる場所にあった農園で生まれた[7]。アベビルで法律実務を行い、後にはアメリカ合衆国陸軍長官、副大統領、国務長官を歴任した。州の権限の提唱者として有名だった。
アメリカ連合国の誕生地であり、終焉の場所であるという特異な町である。1860年11月22日、後にセセッションヒル(脱退の丘)と呼ばれるアベビル市内の場所で集会が開かれ、サウスカロライナ州のアメリカ合衆国からの脱退を要求することとなり[8][9]、その1か月後にはサウスカロライナは脱退した最初の州になった。
南北戦争の終戦時、アメリカ連合国が崩壊寸前の状態となり、大統領ジェファーソン・デイヴィスがバージニア州リッチモンドを逃げ出して南に向かい、アベビルの友人アーミステッド・バートの家で一泊した。1865年5月2日、バート・スターク邸宅と呼ばれる家の応接室で、アメリカ連合国最後の閣議を開き、デイヴィスが連合国政府の解体を公式に承認した[8][9]。
2003年通行権紛争
編集2003年12月8日、土地の測量に関する論争から発生した14時間の立てこもりが起こり、ウェストアベビル住民のスティーブン・ビクスビーが、アベビルの2人の警官を殺した。この包囲戦について、ビクスビーに同情する者も取り締まる側も、ウェイコ事件やルビー・リッジ事件に擬えることもあった[10]。2007年2月、スティーブン・ビクスビーは殺人2件を含む17件の罪状で有罪となった。その中に誘拐や謀議など軽い告発もあった。殺人で死刑2件とその他の罪で125年間の禁固を宣告された。
現代史
編集2011年、アベビル高校がサウスカロライナ州高校フットボール選手権で6度目の優勝を飾った。1Aデビジョンで2年連続のものだった[11]。
2011年、アベビル高校はサウスカロライナ州高校ソフトボール選手権でも初めて優勝した。アベビル高校の歴史で初めて女子の州選手権優勝となった。
アベビル市にあるアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されているものとして、アベビル郡庁舎、アベビル歴史地区、アベビル・オペラハウス、アーミステッド・バート邸、パトリック・カルフーン家墓地、シーダースプリングス歴史地区、ハービソン・カレッジ学長の家、トリニティ・エピスコパル教会と墓地、アッパー・ロング・ケイン墓地がある[12][13]。
建築物
編集アベビルにはサウスカロライナ州で最も高い建物であるプリズミアン銅線塔がある。2009年に建設され、高さは373フィート (114 m)、30階建てである[14]。
地理
編集アベビル市は北緯34度10分42.7584秒 西経82度22分39.6732秒 / 北緯34.178544000度 西経82.377687000度に位置している[15]。地理的地域であるピードモント台地ピードモント・アップランドの中にある[5][8]。
アメリカ合衆国国勢調査局に拠れば、市域全面積は6.1平方マイル (15.9 km2)であり、このうち陸地6.1平方マイル (15.9 km2)、水域は0.012平方マイル (0.03 km2)で水域率は0.19%である[1]。
アバビルの近くにはサムター国立の森がある[4]。
気候
編集ディープサウスの多くの地域と同様に、アベビルは温暖湿潤気候(ケッペンの気候区分Cfa)にある。冬は冷涼であり、時として寒くなるが、期間は短い。夏は暑く湿気ている。春と秋の移行時期は温度の変化が大きいが、概して温かい。通常夏の最高気温は90°F (32 ℃)台半ばまで上がるが、100°F (37.8 ℃)以上になることもあり、最近では2012年夏の熱波のときに起こった。同年7月1日に過去最高気温である109°F (42.8 ℃)を記録した[16]。冬の最高気温は50°F (10 ℃)台半ばまで下がり、最低気温は氷点に近くなる。25°F (-3.9 ℃)まで下がることもある。降水量は年間を通じて平均的にある。夏の日の午後は雷雨が多く、強風や雷をもたらす。降雪は稀である。数年に1回程度である。1973年3月31日、藤田スケールF4の竜巻がアベビルを襲い、7人が死亡し、1973年の竜巻としては最悪のものになった[17]。2009年4月10日には2つの竜巻が発生した。死者は出なかったが、市内の多くで停電し、多くの建物に損傷が出た[17][18]。
アベビルの気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °F (°C) | 82 (28) |
80 (27) |
89 (32) |
92 (33) |
97 (36) |
105 (41) |
109 (43) |
107 (42) |
104 (40) |
100 (38) |
89 (32) |
78 (26) |
109 (43) |
平均最高気温 °F (°C) | 53 (12) |
58 (14) |
66 (19) |
74 (23) |
82 (28) |
88 (31) |
91 (33) |
90 (32) |
84 (29) |
74 (23) |
65 (18) |
55 (13) |
73 (23) |
平均最低気温 °F (°C) | 31 (−1) |
34 (1) |
40 (4) |
48 (9) |
57 (14) |
66 (19) |
70 (21) |
69 (21) |
62 (17) |
50 (10) |
41 (5) |
33 (1) |
50 (10) |
最低気温記録 °F (°C) | −2 (−19) |
2 (−17) |
3 (−16) |
24 (−4) |
32 (0) |
41 (5) |
53 (12) |
50 (10) |
35 (2) |
25 (−4) |
13 (−11) |
1 (−17) |
−2 (−19) |
降水量 inch (mm) | 4.16 (105.7) |
4.60 (116.8) |
4.68 (118.9) |
2.85 (72.4) |
3.40 (86.4) |
3.45 (87.6) |
4.01 (101.9) |
3.68 (93.5) |
3.11 (79) |
3.45 (87.6) |
3.62 (91.9) |
3.76 (95.5) |
44.77 (1,137.2) |
出典:[19][出典無効] |
人口動態
編集人口推移 | |||
---|---|---|---|
年 | 人口 | %± | |
1850 | 1,251 | — | |
1860 | 592 | −52.7% | |
1880 | 1,543 | — | |
1890 | 1,696 | 9.9% | |
1900 | 3,766 | 122.1% | |
1910 | 4,459 | 18.4% | |
1920 | 4,570 | 2.5% | |
1930 | 4,414 | −3.4% | |
1940 | 4,930 | 11.7% | |
1950 | 5,395 | 9.4% | |
1960 | 5,436 | 0.8% | |
1970 | 5,515 | 1.5% | |
1980 | 5,833 | 5.8% | |
1990 | 5,778 | −0.9% | |
2000 | 5,840 | 1.1% | |
2010 | 5,237 | −10.3% | |
2014(推計) | 5,191 | [20] | −0.9% |
U.S. Decennial Census |
2000年国勢調査
編集以下は2000年の国勢調査による人口統計データである[1]。
基礎データ
人種別人口構成
|
年齢別人口構成
世帯と家族(対世帯数)
|
収入編集収入と家計 |
アベビルは小さな都会化された群落の中心にあり、その人口は2000年国勢調査時点で6,038人だった。
2010年国勢調査
編集2010年国勢調査では、人口5,237人となっており、2000年と比べて約10%減っていた。人種別人口構成では、白人: 2,458人、46.94%、アフリカン・アメリカン: 2,645人、50.51%、ネイティブ・アメリカン: 10人、0.19%、アジア人: 23人、0.43%、その他の人種: 22人、0.42%、混血: 79人、1.51%、ヒスパニック・ラテン系: 48人、0.92%だった[21]。白人と黒人の比率が逆転し、黒人が最多となった。
経済
編集アベビルの地域では農業と林業が重要な産業である。多量に栽培される作物は、綿花、大豆、トウモロコシ、オート麦、小麦、桃である。家畜、酪農用牛、鶏も飼育されている。繊維、特に衣料が主要な工業製品だった。北アメリカ自由貿易協定が締結された後、衣料は生産されなくなった。他にプラスティック製品や金属製品もある[8][5]。
著名な出身者
編集- ジョン・カルフーン(1782年-1850年)、第7代アメリカ合衆国副大統領、第16代国務長官、アベビルの近くで生まれ、アベビルで法律実務を行った[22][7]
脚注
編集- ^ a b c d Anon 2014
- ^ Anon 2015
- ^ Anon 2014a
- ^ a b c d e Hoiberg 2010, p. 11
- ^ a b c d e Johnston 1997, p. 8
- ^ Gannett 1905, p. 22
- ^ a b Ragsdale, Jacob & Nystrom 1989, p. 729
- ^ a b c d Cohen 1998, p. 3
- ^ a b Canby 1984, p. 2
- ^ Anon 2003, p. 2
- ^ Anon 2011
- ^ Anon 2011a
- ^ The Historic American Buildings Survey & Historic American Engineering Record 1995, p. 899
- ^ Anon 2015a
- ^ Anon 2015b
- ^ Anon 2012
- ^ a b Lietz 2015
- ^ Anon 2009
- ^ Anon 2014b
- ^ “Annual Estimates of the Resident Population for Incorporated Places: April 1, 2010 to July 1, 2014”. June 4, 2015閲覧。
- ^ Anon 2010
- ^ Galgoul, Wilson & Konya 1967, p. 160
参考文献
編集- Anon (2015年). “Feature Detail Report for: Abbeville”. Geographic Names Information System (GNIS). United States Geological Survey. May 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。May 10, 2015閲覧。
- Anon (2015年10月21日). “Prysmian Unveils Nation's First Extra-high Voltage Cable Plant, State's Tallest Building in Abbeville”. GSA Business. SC Biz News. May 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。May 10, 2015閲覧。
- Anon (2015年3月24日). “National Places Gazetteer Files (2014)” (Text). United States Census Bureau. May 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。May 10, 2015閲覧。
- Anon (2014年). “Abbeville City, South Carolina”. American FactFinder. United States Census Bureau. May 10, 2015閲覧。
- Anon (2014a). “Find a County: Abbeville County, SC”. National Association of Counties. Washington, DC: National Association of Counties. May 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。May 10, 2015閲覧。
- Anon (2014b). “Average Weather for Abbeville, SC – Temperature and Precipitation”. Weather.com. May 10, 2015閲覧。[出典無効]
- Anon (2012年). “Record Temperature”. National Weather Service. May 10, 2015閲覧。[出典無効]
- Anon (November 25, 2011). “Abbeville vs Hemingway Radio Broadcast Live Online – South Carolina 1A-DI State Championship Football Game on November 25”. Oliver Stream Sports. May 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。May 10, 2015閲覧。
- Anon (2011a). “Listed Properties as of October 1, 2011” (XLS). National Register of Historic Places. National Park Service. May 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。May 10, 2015閲覧。
- Anon (2014年). “Race and Hispanic or Latino Origin: 2010: Abbeville City, South Carolina”. American FactFinder. United States Census Bureau. May 10, 2015閲覧。
- Anon (April 13, 2009). “Abbeville, SC Hit Hard by Friday Night's Storms”. WJBF. Augusta, GA: Media General Communications Holdings. May 10, 2015閲覧。
- Anon (December 10, 2003). “Tragedy in Abbeville”. The Index-Journal (Greenwood, SC) May 11, 2015閲覧。
- Anon (February 17, 1900). “William Washington Vance”. The Daily Advocate (Baton Rouge, LA). オリジナルのMay 10, 2015時点におけるアーカイブ。
- Canby, Courtlandt, ed. (1984年). "Abbeville". Encyclopedia of Historic Places. Vol. I: A-L. New York, NY: Facts on File Publications. ISBN 0-87196-397-3. LCCN 80025121。
- Cohen, Saul B., ed. (1998年). "Abbeville". The Columbia Gazetteer of the World. Vol. 1: A to G. New York, NY: Columbia University Press. ISBN 0-231-11040-5. LCCN 98071262。
- Galgoul, Barbara Wardell; Wilson, Juanita; Konya, Rose, eds. (1967年). Who Was Who in America: Historic Volume 1607-1896 (Revised ed.). Chicago, IL: A. N. Marquis Company. LCCN 43003789。
- Gannett, Henry (1905年). The Origin of Certain Place Names in the United States (PDF) (2nd ed.). Washington, DC: Government Printing Office. LCCN 05000751。
- Hoiberg, Dale H., ed. (2010年). "Abbeville". Encyclopædia Britannica. Vol. 1: A-ak Bayes (15th ed.). Chicago, IL: Encyclopædia Britannica, Inc. ISBN 978-1-5933-9837-8. LCCN 2008934270。
- Johnston, Bernard, ed. (1997年). "Abbeville". Collier's Encyclopedia. Vol. I: A to Ameland (1st ed.). New York, NY: P. F. Collier. LCCN 96084127。
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- Ragsdale, Bruce A.; Jacob, Kathryn Allamong; Nystrom, Duane, eds. (1989年). Biographical Directory of the United States Congress: 1774-1989 (Bicentennial ed.). Washington, DC: United States Government Printing Office. LCCN 88600335。
- The Historic American Buildings Survey; Historic American Engineering Record (1995年). America Preserved: A Checklist of Historic Buildings, Structures, and Sites. Washington, DC: Library of Congress, Cataloging Distribution Service. ISBN 0-16-045255-4. LCCN 94019453。
外部リンク
編集- ウィキメディア・コモンズには、アベビル (サウスカロライナ州)に関するカテゴリがあります。
- City of Abbeville official website - 公式サイト
- Abbeville Opera House