アメイジング・ジャーニー 神の小屋より

アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』(アメイジングジャーニー かみのこやより、The Shack)は2017年アメリカ合衆国宗教映画。監督はスチュアート・ヘイゼルダイン英語版、出演はサム・ワーシントンオクタヴィア・スペンサーなど。ウィリアム・ポール・ヤング英語版2007年に上梓した小説『神の小屋英語版』を原作とし、殺人犯に娘を奪われた父親と、救いの手を差し伸べる3人組を描いている[4]

アメイジング・ジャーニー 神の小屋より
The Shack
監督 スチュアート・ヘイゼルダイン英語版
脚本 ジョン・フスコ英語版
アンドリュー・ランハム英語版
デスティン・ダニエル・クレットン
原作 ウィリアム・ポール・ヤング英語版
神の小屋英語版』(サンマーク出版
製作 ギル・ネッター
ブラッド・カミングス
製作総指揮 マイク・ドレイク
出演者 サム・ワーシントン
オクタヴィア・スペンサー
グラハム・グリーン
ラダ・ミッチェル
すみれ
ティム・マッグロウ
音楽 アーロン・ジグマン英語版
撮影 デクラン・クイン
編集 ウィリアム・スタインカンプ
製作会社 サミット・エンターテインメント
TIKフィルムズ
ウィンドブロウン・メディア
ギル・ネッター・プロダクションズ
配給 アメリカ合衆国の旗 ライオンズゲート
日本の旗 クロックワークス/アルバトロス・フィルム
公開 アメリカ合衆国の旗 2017年3月3日
日本の旗 2017年9月9日
上映時間 132分[1]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $20,000,000[2]
興行収入 世界の旗 $96,514,690[3]
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ストーリー 編集

子供の頃、マッケンジー・フィリップス(マック)は飲んだくれの父親から虐待を受けていた。父の暴力は母親にも向けられていた。そんな父親に憎しみを募らせていったマックは、13歳の頃、父親をストリキニーネで毒殺した[注 1]。そんな子供時代を送ったマックだったが、大人になってからは慈悲深い性格となり、妻のナン、子供のケイト、ジョシュ、ミシーの4人と幸福に暮らしていた。

しかし、マックの幸福な生活は突如として崩れ去った。キャンプ場でカヌーを楽しんでいたとき、カヌーが転覆するという事故が発生したのである。マックはケイトとジョシュを救うことができたが、目を離している隙にミシーが行方不明になってしまったのである。キャンピングカーから血の付いたミシーの衣服が発見されたため、警察はミシーの失踪を殺人と断定して捜査を進めていった。悪ふざけでカヌーを転覆させたケイトは、自分がふざけなければミシーは死なずに済んだという自責の念に駆られた。この一件によって、マックの人生は暗転し、信仰をも失ってしまった。

冬がやってきた頃、マックに差出人不明の手紙が届いた。降り続く雪が足跡を消していたため、誰が手紙を届けたのかを特定することはできなかった。不審に思いながらマックがその手紙を読むと、そこには神の署名と「もう一度キャンプ場に来なさい」というメッセージが書かれていた。

ミシーを殺した人間に復讐するチャンスかもしれないと思ったマックは、拳銃を持ってキャンプ場へと向かった。そこにはキャンピングカーがあのときのまま放置されていた。その光景を見たマックは怒りや苛立ち、虚無感を覚えたが、それらを何とか抑え込んでいた。そこへ3人の見知らぬ人間がやってきた。3人はマックを美しい小さな小屋へと招待した。不思議なことに、その小屋の周辺は夏を思わせる状態にあった。

マックはこの3人との交流の中で、自分の人生をより広い視野で見つめ直し、赦しの境地に達するのだった。

キャスト 編集

製作 編集

本作はフォレスト・ウィテカーが監督・主演を兼任する予定であった[6]

2015年6月8日、本作の主要撮影がカナダバンクーバーで始まった[7]。なお、キャンプ場のシーンと滝の近くでのシーンはオレゴン州で撮影された[8]

サウンドトラック 編集

本作のサウンドトラックはカントリーミュージックと現代風のクリスチャン・ミュージックの楽曲で構成され、歌手には知名度の高い歌手が起用された[9][10]。2017年2月24日、アトランティック・レコードは本作のサウンドトラックをアメリカで発売した[11]

ティム・マッグロウフェイス・ヒルが歌った「Keep Your Eyes on Me」は予告編に使用され、2017年1月27日にシングルカットされた[12]。2月3日には、ダン+シェイ英語版の「When I Pray for You」がシングルカットされた[13]

#タイトル作詞・作曲Performer(s)時間
1.「When I Pray for You」 ダン+シェイ英語版
2.「Keep Your Eyes on Me」 ティム・マッグロウフェイス・ヒル
3.「Lay Our Flowers Down」 レディ・アンテベラム
4.「Heaven Knows」 ヒルソング・ユナイテッド英語版
5.「Where Were You」 フランチェスカ・バッティステッリ英語版
6.「Love Goes On」 ケリー・クラークソンアロー・ブラック英語版
7.「River of Jordan」 レクレー featuring ブレイアン・アイザック英語版
8.「Hard Love」 ニードトゥブリーズ featuring ローレン・ダイグル英語版
9.「Days of Dark」 ダークス・ベントレー英語版
10.「Phone Call to God」 ブレット・エルドリッジ英語版
11.「Honest to God」 デヴィン・ドーソン
12.「Stars (The Shack version) スキレット
13.「I'll Think About You」 ウィ・アー・メッセンジャーズ英語版
14.「Amazing Grace」 フォー・キング&カントリー英語版

興行収入 編集

本作は『LOGAN/ローガン』、『ウェディング・テーブル』、『ビフォア・アイ・フォール』と同じ週に公開され、1000万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを上回るものであった[14]。2017年3月3日、本作は全米2888館で封切られ、公開初週末に1617万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場3位となった[15]

評価 編集

批評家からの評価 編集

本作に対する批評家の評価は芳しいものではない。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには63件のレビューがあり、批評家支持率は21%、平均点は10点満点で4点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』が観客に届けようとしているメッセージは間違いなく価値のあるものである。しかし、精神的な高揚とメロドラマお決まりの展開を混同した脚本と説教臭さのために、そのメッセージが伝わってこない。」となっている[16]。また、Metacriticには18件のレビューがあり、加重平均値は32/100となっている[17]。なお、本作のシネマスコアはAとなっている[18]

神学者及び宗教家からの評価 編集

原作小説と同様に、キリスト教の独自解釈が批判されている[19]。神学者のアルバート・モーラー・ジュニアは本作における三位一体の描写が「聖書から逸脱している」と批判している[19]カトリック・ニュース・サービス英語版は「努力は評価できるが、問題点が多い」と評している[20]カトリックの司教を務めるロバート・バロンは「甘美な要素が多くある作品だ。しかし、観客は余計なものを捨象しながら鑑賞する必要がある。」と述べている[21]。新約聖書の研究者であるジェームズ・B・デヤングは本作が異端の説であるはずの普遍主義を拡散していると批判している[22]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 劇中において、マックが父親に毒を盛ったことまでは描写されているが、父親がそれで命を落としたかどうかははっきり描写されていない。しかし、父親の死を暗示するシーンがいくつかある。

出典 編集

  1. ^ アメイジング・ジャーニー 神の小屋より”. 映画.com. 2017年9月11日閲覧。
  2. ^ Lang, Brent (2017年3月1日). “Box Office: ‘Logan’ Slicing and Dicing Toward Year’s Biggest Debut” (英語). Variety. https://variety.com/2017/film/news/logan-box-office-2017-biggest-debut-1202000089/ 2017年9月11日閲覧。 
  3. ^ The Shack” (英語). Box Office Mojo. 2017年9月11日閲覧。
  4. ^ アメイジング・ジャーニー 神の小屋より”. よる8銀座シネマ. BS松竹東急. 2023年3月10日閲覧。
  5. ^ 猪飼なつみ (2017年9月7日). “すみれ、ハリウッドデビュー 映画「アメイジング・ジャーニー 神の小屋より」”. 東京新聞. オリジナルの2017年9月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170912102642/http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2017090702000190.html 2017年9月12日閲覧。 
  6. ^ Kroll, Justin (2014年1月30日). “Forest Whitaker Set to Write, Direct, Star in Adaptation of ‘The Shack’” (英語). Variety. https://variety.com/2014/film/news/forest-whitaker-lionsgates-the-shack-1201078223/ 2017年9月11日閲覧。 
  7. ^ Soldani, Bianca (2015年6月24日). “First look: Sam Worthington debuts fluffy new haircut as he cracks a smile on the set of upcoming thriller The Shack” (英語). Daily Mail. https://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-3137262/Sam-Worthington-debuts-fluffy-new-haircut-cracks-smile-set-upcoming-thriller-Shack.html 2017年9月11日閲覧。 
  8. ^ Moon, Ra (2017年2月27日). “Where was The Shack filmed? Filming Locations Guide” (英語). Filming Locations. Atlas of Wonders. 2017年9月11日閲覧。
  9. ^ Brickey, Kelly (2017年1月27日). “Dierks Bentley, Brett Eldredge Among Artists Featured on ‘The Shack’ Soundtrack” (英語). Sounds Like Nashville. https://www.soundslikenashville.com/music/dierks-bentley-brett-eldredge-among-artists-featured-on-the-shack-soundtrack/ 2017年9月11日閲覧。 
  10. ^ Newman, Melinda (2017年1月27日). “Tim McGraw, Kelly Clarkson, Lady Antebellum, Skillet and More Contribute New Songs to 'The Shack' Soundtrack: Listen” (英語). Billboard. https://www.billboard.com/music/music-news/tim-mcgraw-kelly-clarkson-lady-antebellum-skillet-the-shack-7669833/ 2017年9月11日閲覧。 
  11. ^ The Shack: Music From and Inspired By the Original Motion Picture” (英語). amazon music. 2017年9月11日閲覧。
  12. ^ Keep Your Eyes on Me” (英語). AllMusic. 2017年9月11日閲覧。
  13. ^ When I Pray for You” (英語). AllMusic. 2017年9月11日閲覧。
  14. ^ D'Alessandro, Anthony; Tartaglione, Nancy (2017年2月28日). “‘Logan’ Looks To Roar $170M+ Around The World In First Weekend – Box Office Preview” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2017/02/logan-wolverine-box-office-opening-1201913947/ 2017年9月11日閲覧。 
  15. ^ Domestic 2017 Weekend 9/March 3-5, 2017” (英語). Box Office Mojo. 2017年9月11日閲覧。
  16. ^ "The Shack". Rotten Tomatoes (英語). 2017年9月11日閲覧
  17. ^ "The Shack" (英語). Metacritic. 2017年9月11日閲覧。
  18. ^ McClintock, Pamela; Ford, Rebecca (2017年3月3日). “Weekend Box Office: 'Logan' Scores $33M Friday for Huge $80M Bow” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/box-office-logan-rakes-a-huge-95m-thursday-982909 2017年9月11日閲覧。 
  19. ^ a b Chandler, Diana (2017年2月27日). “'The Shack' film stirs debate as did preceding book” (英語). Baptist Press. https://www.baptistpress.com/resource-library/news/the-shack-film-stirs-debate-as-did-preceding-book/ 2017年9月11日閲覧。 
  20. ^ Mulderig, John (2017年3月2日). “The Shack” (英語). Catholic News Service. オリジナルの2020年1月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200103215133/https://www.catholicnews.com/services/englishnews/2017/the-shack.cfm 2017年9月11日閲覧。 
  21. ^ Schiffer, Kathy (2017年2月25日). “‘The Shack’ Movie Opens to Controversy” (英語). National Catholic Register. https://www.ncregister.com/blog/kschiffer/the-shack-movie-opens-to-controversy 2017年9月11日閲覧。 
  22. ^ Mettler, Katie (2016年12月22日). “Why God is a curvy, black woman in 'The Shack' and some Christian critics say it's 'heresy'” (英語). Chicago Tribune. https://www.chicagotribune.com/entertainment/movies/ct-god-black-woman-shack-20161221-story.html 2017年9月11日閲覧。 

外部リンク 編集