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プリンスエドワード島の風景

アンの友達』(Chronicles of Avonlea、アヴォンリー年代記)は、カナダの作家L・M・モンゴメリ1911年に出版した短編集の日本語訳のタイトル。モンゴメリは短編集の出版を希望するボストンのページ社の求めに応じ[1]、短編作品のうち良作を選び、加筆・手直しして1冊の本にまとめられたのが本書である[2]。「良いものは少ないと思う」と1911年1月17日の日記では卑下していたモンゴメリだったが[2]1936年8月21日の日記には「私は今日、Chronicles of Avonlea の "Old Lady Lloyd" と "Each in his Own Tongue" を読み返して泣いてしまいました。この本が出版されたとき何人かの批評家が "Each in his Own Tongue" は英文学における最も美しいストーリーであると言ったのを思い出しました。今ではこのような作品は書けないと思います」と記している[3]

目次

収録作品編集

原題 村岡訳タイトル 掛川訳タイトル
The Hurrying of Ludovic 奮い立ったルドヴィック 申し込みはおはやく、ルードビック
テオドラは15年交際しているのに求婚してこないルドヴィックを奮い立たせるため、策を講じた。
Old Lady Lloyd ロイド老淑女 ロイド老嬢
ロイドは金持ちでケチの変わり者の老婦人と思われていたが、実は父が投資に失敗し、極貧の状態にあった。かつての婚約者の娘が音楽教師として赴任してきた事を知り、何としても彼女を喜ばせたいと思うようになる[4]
Each in His Own Tongue めいめい自分の言葉で フェリックス・ムーアのバイオリン
フェリクスはバイオリンの天才少年だった。祖父は神に仕える人生こそ最善と考え、バイオリンを禁じ、牧師の道を歩ませようとするが、祖父は音楽を通して人に語りかけ、励ませる事は理解していなかった。
Little Joscelyn 小さなジョスリン 小さなジョスリン
ナン叔母さんは死ぬ前に、かつて世話し、今は歌手として大成したジョスリンにもう一度会いたいと切望していたが、外出は無理だった。そこで雇われ少年のジョーダンは家に来てもらおうと意を決し、滞在先を訪れる。
The Winning of Lucinda ルシンダついに語る 長い婚約
ルシンダとロムニーは婚約中に些細な事で喧嘩して以来、15年間、互いに口を利こうとしなかったが、親戚の婚礼の帰りにハプニングが起きる。
Old Man Shaw's Girl ショウ老人の娘 ブロッサムが帰ってくる!
ショウ老人は娘の帰郷を待ちわびていた。しかし、ブリュエット夫人は、街の学校で3年過ごせば、垢抜けてこんな田舎町には満足できまいと言う。
Aunt Olivia's Beau オリビア叔母さんの求婚者 オリビアおばさんの恋人
オリビアは、20年前に父が結婚に反対したため、西部に行ったマルコムが島に戻り、自分と結婚する事になったと告げる。しかし、綺麗好きのオリビアは、婚約期間中にがさつなマルコムに耐えられなくなっていく[5]
The Quarantine at Alexander Abraham's 隔離された家 “かわいいアンジェリーナ”
男嫌いのピーターは、欠席の続く日曜学校の生徒の事情を聞きに女嫌いのアレキサンダーの家に向かうが、天然痘に感染した疑いが生じ、家から出られなくなってしまう[6]
Pa Sloane's Purchase 競売狂 スローン父ちゃんの買い物
スローンはオークションに夢中で、家はガラクタで一杯だった。妻から入札しないと約束させられたものの、冗談で孤児の赤ちゃんが出品される。
The Courting of Prissy Strong 縁むすび プリシー・ストロングの結婚
プリシーは20年前に姉からステファンとの結婚を反対され、独身であった。妻を亡くしたステファンは再びプリシーに思いを寄せるが、拒絶の手紙を見て、別の女性と親しくしようとする。
The Miracle at Carmody カーモディの奇蹟 カーモディーの奇跡
サロメは姉から大切にされていたが、不幸が続いた上に足が不自由になり、信仰を失った姉は養子のライオネルを日曜学校へ行かせない。いたずらばかりするライオネルに良い手本を見せねばと、反対にめげずにサロメが1人で教会へ行くと、ライオネルが天水桶に落ちるのが見えた。
The End of a Quarrel 争いの果て 夕日のあたる家
ナンシーは婚約者と口論し、島を去り、看護婦となるが、20年ぶりに帰島すると、今も独身のピーターの家は散らかり放題だった。見かねたナンシーは彼をびっくりさせようとする。

日本語訳一覧編集

村岡花子訳も掛川恭子訳も、『アンの友達』のタイトルにて出版されている。

この本はアン・ブックスか編集

  • 1911年に出版の際は本の前書きに、赤毛のアンのアン・シャーリーが一部の役割を演じているとある。[7]
  • モンゴメリはアンの本だとは考えていない。[8]
  • 村岡花子は「第四赤毛のアン」としている。
  • 掛川恭子の完訳クラシック赤毛のアンでは9番目に位置付けられている。

アン・シリーズ一覧編集

各タイトルは村岡花子訳に準拠する(『アンの想い出の日々』のみ、その孫である村岡美枝[9]訳に準拠する)。通常、最初に上げられている9冊の本をアン・ブックスと呼ぶ。アン・ブックスをより狭い範囲に呼ぶ場合もあるが、9冊の本は、アンを主人公とするか準主人公とする「アンの物語」である。これに対し、追加の2冊は短編集で、「アンの物語」と同じ背景設定であるが、大部分の作品はアンとは直接に関係していない。アンが端役として登場したり、その名前が言及される短編もあるが、総じて、題名が示す通り、「アンの周囲の人々の物語」である。 なお、4冊目「アンの幸福」の原題はイギリス版とアメリカ版で異なり、イギリス版ではAnne of Windy Willows、アメリカ版ではAnne of Windy Poplarsで、内容も少し異なる。

書名 原題 出版年 アンの年齢 物語の年代
赤毛のアン Anne of Green Gables 1908 11~16 1877~1882
アンの青春 Anne of Avonlea 1909 16~18 1882~1884
アンの愛情 Anne of the Island 1915 18~22 1884~1888
アンの幸福 Anne of Windy Willows 1936 22~25 1888~1891
アンの夢の家 Anne's House of Dreams 1917 25~27 1891~1893
炉辺荘のアン Anne of Ingleside 1939 34~40 1900~1906
虹の谷のアン Rainbow Valley 1919 41 1907
アンの娘リラ Rilla of Ingleside 1920 48~52 1914~1918
アンの想い出の日々 The Blythes Are Quoted 2009 40〜75 1906~1941
以下はアンとの関連が薄い短編集
アンの友達 Chronicles of Avonlea 1912
アンをめぐる人々 Further Chronicles of Avonlea 1920

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 『モンゴメリ書簡集〈1〉G.B.マクミランへの手紙』 宮武潤三、宮武順子訳 篠崎書林 1992年 ISBN 9784784104963 P. 172
  2. ^ a b Mary Rubio, Elizabeth Waterston, Selected Journals of L.M. Montgomery Volume II: 1910-1921, Oxford University Press, 2000, ISBN 978-0195418019, P. 36
  3. ^ Mary Rubio, Elizabeth Waterston, Selected Journals of L.M. Montgomery Volume V: 1935-1942, Oxford University Press, 2005, ISBN 978-0195422153 , P. 85
  4. ^ アボンリーへの道の第5話「心にひびく歌声」で使われている。
  5. ^ アボンリーへの道の第7話「アビゲールの求婚者」でオリビアをアビゲールに変えて使われている。
  6. ^ アボンリーへの道の第3話「すてきな看護婦さん」で使われている。
  7. ^ "Anne Shirley of Green Gables and Avonlea plays some part" - Chronicles of Avonlea
  8. ^ Mary Rubio, Elizabeth Waterston, Selected Journals of L.M. Montgomery Volume II: 1910-1921, Oxford University Press, 2000, ISBN 978-0195418019, p. 94
  9. ^ 花子の(養女)・みどりの実娘であるため、実際は大姪に当たる。
  10. ^ 熊井明子「花子・アン・シェイクスピア」村岡恵理監修『KAWADE夢ムック 文藝別冊 総特集 村岡花子』河出書房新社、2014年ISBN 978-4-309-97824-6

外部リンク編集