アンジュアン島

コモロの島
アンジュアンから転送)

アンジュアン島(アンジュアンとう、Anjouan、別名ヌズワニ島ンズワニ島-Nzwani、又はジョハンナ島-Johanna)はモザンビーク海峡にあるコモロ諸島の島のひとつ。コモロ連合に属する3つの島のうちの一つである。人口は約30万人(2012年)。首府は北岸に位置するムツァムドゥである。

アンジュアン島

Anjouan

ンズワニ島(Nzwani)
アンジュアン島の旗
アンジュアン島の位置
アンジュアン島の位置
コモロの旗 コモロ連合
首府 ムツァムドゥ
面積
 • 合計 424 km2
人口
(2012年)
 • 合計 306,800人
 • 密度 720人/km2
等時帯 UTC+3 (EAT)
ISO 3166コード KM-A
アンジュアン島
Anjouan

アンジュアン島の地図
所在地 コモロの旗 コモロ連合
所在海域 インド洋
所属諸島 コモロ諸島
座標 南緯12度15分 東経44度25分 / 南緯12.250度 東経44.417度 / -12.250; 44.417
面積 424 km²
最高標高 1595 m
最高峰 ンティグイ山
最大都市 ムツァムドゥ
プロジェクト 地形
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地理 編集

アンジュアン島は火山島で、起伏の激しい地形をしており、ンチングイ山英語版(Mont Ntringui、アンジュアン山とも言う)(1595m)が島で一番高い山である。火山灰に由来する肥沃な土壌を持ち、降水量は多く数多くの河川が存在するものの、高い人口圧によって高地の森林伐採と耕地化が進み、土壌浸食と水量減少が深刻な状態となっている[1]。コモロでは主島であるグランドコモロ島に次ぐ人口・経済力を持つ島であるが、人口密度は3島で最も高く、さらに地形の険しさや土壌流出などにより人口圧は高まる一方であるため、人口の少ないモヘリ島や[2]、フランス統治下にあり経済状況のよいマヨット島への移民が多く発生している。

ンチングイ山の山頂には火口湖のジアランゼ湖があり、コモロオオコウモリ英語版マングースキツネザルなどが生息している。2006年にラムサール条約登録地となった[3]

 
首府ムツァムドゥ。

歴史 編集

アンジュアン島はかつて一つの王国として統一されていたが、19世紀末にフランスの支配下に入った。1974年に行われた独立に対する国民投票では独立賛成派が多数を占め[4]、これを受けてアンジュアン島は1975年グランドコモロ島モヘリ島と共にコモロ共和国(現在のコモロ連合)として独立した。しかし独立後、首都モロニのあるグランドコモロ島の支配に対する不満が蓄積していき、コモロ政府の失政や経済停滞もあって、1996年にモヘリ島と共に独立を宣言し、フランスに再植民地化を嘆願する状況となった[5]。2001年には国号変更とともに3島から輪番制で大統領が選出されることとなり、これを受けて2006年の大統領選挙ではアンジュアン島からムツァムドゥ出身のアフメド・アブドラ・モハメド・サンビが当選した[6]

政治 編集

高度な自治権を有しており、島議会、島の大統領職を有する。2007年、コモロ連合が島の大統領の任期が切れた際に島議会議長を島の大統領に指名したところ軍部(憲兵隊)が反発。コモロ連合関係者を島外追放して、独自の選挙を実施するなどコモロ連合と一線を画する行動を行った。2008年3月、コモロ連合は、アフリカ連合の支援による軍事作戦を展開。タンザニア軍スーダン軍がアンジュアン島へ上陸、憲兵隊の武装解除を進め、同年3月25日までに島の全域を制圧した[7]。サンビは2011年まで大統領職を務めた。

交通 編集

アンジュアン島北部のワニに空港が存在し[8]、またムツァムドゥ港は1985年に改修されて大型船の入港が可能となった[9]

住民 編集

住民はコモロ人、日常語はコモロ語、宗教はイスラム教スンニ派がほとんどを占める。

 
2012年以前のアンジュアン島旗。

出典 編集

  1. ^ エルヴェ・シャニュー、アリ・ハリブ著 花渕馨也訳「コモロ諸島」白水社 2001年8月10日 ISBN 978-4560058428 p24-26
  2. ^ エルヴェ・シャニュー、アリ・ハリブ著 花渕馨也訳「コモロ諸島」白水社 2001年8月10日 ISBN 978-4560058428 p121-122
  3. ^ Le Mont Ntringui | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2006年11月12日). 2023年4月12日閲覧。
  4. ^ エルヴェ・シャニュー、アリ・ハリブ著、花渕馨也訳「コモロ諸島」白水社、2001年8月10日、ISBN 978-4560058428 p62
  5. ^ エルヴェ・シャニュー、アリ・ハリブ著 花渕馨也訳「コモロ諸島」白水社 2001年8月10日 ISBN 978-4560058428 p177-178
  6. ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/comoros/data.html 「コモロ基礎データ」日本国外務省 令和元年9月9日 2019年10月13日閲覧
  7. ^ AUのコモロ・アンジュアン島軍事制圧作戦の背景-地域安全保障機構としての威信を賭けて-アフリカレポート#47.高林敏之(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員)2013年12月15日閲覧
  8. ^ エルヴェ・シャニュー、アリ・ハリブ著 花渕馨也訳「コモロ諸島」白水社 2001年8月10日 ISBN 978-4560058428 p24
  9. ^ 田辺裕、島田周平、柴田匡平、1998、『世界地理大百科事典2 アフリカ』p.197、朝倉書店 ISBN 4254166621

関連項目 編集

外部リンク 編集