イタカ

クトゥルフ神話の神格

イタカIthaquaイタクァ またはイトハカ)は、クトゥルフ神話などに登場する架空の神格。旧支配者

初出は1933年、オーガスト・ダーレスの『風に乗りて歩むもの』(The Thing That Walked on the Wind)。

概要編集

ハスターの眷属であり、大気を象徴する神である。吹雪を司り、星間宇宙を歩む。

人間に似た輪郭を持つ途方もない巨体、人間を戯画化したような顔、鮮紅色に燃え上がる2つの目を持ち、足には水かきがある。目撃者の中には、「眼のある紫の煙と緑の雲」と表現した者もいる。

カナダの先住民の間で、氷雪の夜に森林地帯を徘徊し、風に乗って目にも留まらぬ速さで現れ、人間をさらって行くと言われる精霊「ウェンディゴ」として知られる。異名は「風に乗りて歩むもの」「歩む死」「大いなる白き沈黙の神」「トーテムに印とてなき神」など。

運悪くイタカに遭遇した人間はイタカによって空に巻き上げられ、生贄として死ぬ事なく数ヶ月に渡って地球外の遠方の地を引き回される(その後にイタカの主人たるハスターの前に引き据えられるとする文献もある)。犠牲者はやがて地上へ戻されるが、途中で死ぬか、戻される時に地表に叩きつけられて死ぬ場合がある。また、たとえ命を落とさなかったとしても、犠牲者は高空の冷気に馴染んでしまっており、暖かい地上では長くは生きられなくなっている。犠牲者の死体は、連れ去られる以前に所持していたはずのない知識体系に属する文字や情景の描かれた銘板、奇怪な石像等の謎めいた品を身に帯びていることが多い。

ミスカトニック大学のネーデルマン教授をリーダーとするビッグ・ウッド森林地帯の調査隊は、森林の中でイタクァと遭遇している(結果としてこの時、隊員のバーナード・エプスタインが犠牲となっている)。

イタカはビルマ奥地のスン高原やマレー半島に潜むチョー・チョー人や、カナダの奥地等で(時にはウェンディゴの名で)一部の人間に崇拝されている他、イタカが生まれたともいわれるレン高原でも崇拝されているという。

ウェンディゴ編集

オジブワ族などのカナダインディアンに伝わる魔物。人間に取り憑いて人食いをさせる悪霊。

アルジャーノン・ブラックウッドは、ウェンディゴ伝説を独自にアレンジして『ウェンディゴ』という作品を書いた。ブラックウッドのウェンディゴの犠牲者は、足に焼けつくような痛みを感じながら意思とは無関係に走り続けることになる。

クトゥルフ神話では、ウェンディゴはイタカの化身、あるいは従兄弟、ないしは眷属であるとされる。

誕生と発展編集

オーガスト・ダーレスが創造して多用した神性である。ダーレスは、上述のブラックウッドの『ウェンディゴ』を参考にしてイタカを生み出した。

ダーレスはイタカをテーマとした作品を3作執筆しており、加えてイタカをテーマとしていない作品にもイタカを暗躍させている[1]。邪神ハンターの立場にとっては、本命の敵邪神と戦おうとしているときに横からイタカが介入してくるという、非常に厄介な存在となっている。旧支配者は四大霊同士の派閥がと対立があるが、ナイアーラトテップによって結託があり得、フットワークの軽い邪神の筆頭がイタカである。クトゥルフと敵対中にイタカが来そうなので、バイアクヘーを使役することで風王ハスターの権威を以て対イタカのバリヤーとする、などという事態が発生し得る[2]

ダーレスに続いて、ブライアン・ラムレイがさらなる掘り下げを行った。イタカは異世界ボレアを領土とし、同族を増やすべく人間の女性との間に子供を作る。

登場作品編集

関連事項編集

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ 闇に棲みつくもの』、『暗黒の儀式』など。このあたりは、単にプロットの混乱とも指摘される。
  2. ^ この例は『永劫の探究』第4部のシーン。