幾何学において、イフ合同心(いふごうどうしん[1]: Yff center of congruence)は三角形の中心の一つである。1087年ピーター・イフ三角形の中心に関する研究で発見された[2]

二等辺化線

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Aの二等辺化線(isoscelizer)とは、それぞれAB,AC上の点P1, Q1について、AP1Q1二等辺三角形となるとき直線P1 Q1のことを指す。A内角の二等分線垂直である。1963年、ピーター・イフによって導入された[3]

Yff central triangle

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  基準三角形ABC
  A'P2Q3   Q1B'P3   P1Q2C'
  A'B'C' (Yff central triangle)

ABCについて 、A,B,Cの二等辺化線をそれぞれP1Q1,P2Q2,P3Q3 とする。また、P1Q1,P2Q2,P3Q3からなる三角形をA'B'C' とする。4つの三角形A'P2Q3, △Q1B'P3, △P1Q2C',A'B'C' は常に相似である。

A'P2Q3, △Q1B'P3, △P1Q2C',A'B'C' 合同 であるとき、A'B'C' Yff central triangleと呼ばれる[4]。Yff central triangleの外接円Yff central circleと呼ばれる。

イフ合同心

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Yff central triangleのアニメーション。イフ合同心はYff central triangleが一点に退化したものである。

ABCについて P1Q1, P2Q2, P3Q3 がYff central triangleA'B'C' を成すようにとる。二等辺化線 P1Q1, P2Q2, P3Q3を、A'P2Q3, △Q1B'P3, △P1Q2C'が合同を保つように、平行に動かすと、A'B'C' が点に退化するときがある。この点をABCのイフ合同心という。

性質

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ABC はYff central triangleの傍接円共通外接線が成す三角形となる。
  • イフ合同心はEncyclopedia of Triangle CentersでX(174)として紹介されており、三線座標は以下の式で与えられる[5] 
  • ABCの辺はYff central triangleの傍接円共通外接線である。
  • ABC内心Iとする。また、BID = ∠DICを満たすBC上の点をDCA,ABにも同様にしてE,Fを定義する。AD, BE, CFはイフ合同心で交わる[5]。これは下記の一般化に使用されている。
  • 接触三角形の外接線三角形(extangents triangle)と基準三角形の相似中心である。
  • コンピュータの補助によってYff central triangleはいくつかの性質が判明している[6]

一般化

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イフ合同心の一般化

ABCと任意の点Pについて、BC, CA, AB上に以下を満たす点D, E, Fをとる。 AD, BE, CF共点である[5]Pを三線座標でp:q:rとすると、その点の三線座標は、

 

である。PPを外接円で反転した点の、この一般化された点は一致する。

関連

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出典

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  1. ^ 三角形の心”. taurus.ics.nara-wu.ac.jp. 2024年6月1日閲覧。
  2. ^ Kimberling. “Yff Center of Congruence”. 2012年5月30日閲覧。
  3. ^ Weisstein. “Isoscelizer”. MathWorld--A Wolfram Web Resource.. 2012年5月30日閲覧。
  4. ^ Weisstein. “Yff central triangle”. MathWorld--A Wolfram Web Resource.. 2012年5月30日閲覧。
  5. ^ a b c Kimberling. “X(174) = Yff Center of Congruence”. 2012年6月2日閲覧。
  6. ^ Dekov, Deko (2007). “Yff Center of Congruence”. Journal of Computer-Generated Euclidean Geometry 37: 1–5. http://www.docstoc.com/docs/70786195/Yff-Center-of-Conguence 2012年5月30日閲覧。.