ウミケムシ(海毛虫、学名:Chloeia flava)は環形動物門ウミケムシ科に属する動物の一種。多毛綱に広く認められる剛毛を有し、そこに毒液がたまっている[1]。本邦ではこの他に、ハナオレウミケムシEurythoe complanataセスジウミケムシ[要出典]セナジリウミケムシNotopygos gigasなどが知られている。

ウミケムシ科
Chloeia flava
分類
: 動物界 Animalia
: 環形動物門 Annelida
: 多毛綱 Polychaeta
: ウミケムシ目 Amphinomida
: ウミケムシ科 Amphinomidae
Savigny1818
: ウミケムシ Chloea flava
学名
Chloeia flava Pallas
英名
Fireworm

形態 編集

体長は13cmに達し、背面の正中線には暗紫色の円斑が並んでいる。

体の側部に剛毛を持ち、警戒した時に立たせる。この剛毛は中空で毒液がたまる毒針となっており、人でも素手で触れると刺されることがある。刺さると毒が注入される構造なので、毒針を抜いても毒は残る[2]

刺された際にはセロハンテープ等で毒針をそっと取り除き、流水で洗い流す[3]

生態 編集

本州中部以南、太平洋南西部、インド洋に分布する[4]。比較的暖かい海を好み、京都府の宮津湾辺りにも多い。山形県で発見された例もある[5]

海底の砂の中に潜っていることが多く、頭部のみを砂上にのぞかせていることもある[6]

夜は海中を泳ぐ[3]。泳ぐ速度は比較的速い。

肉食であり、動物プランクトンを捕食する。オキアミ程度の大きさであれば丸飲みすることもできる[7]

投げ釣りの際に外道としてかかることがある[8]。ただし捕食のために積極的に行動することは少なく、餌を時々動かせば掛からないことが多い。

その他 編集

海中生物の飼育下では本種が偶然混入し、水槽内で大繁殖することがある。増殖速度が比較的速いため、完全駆除には手間がかかる[9]

種属 編集

ウミケムシ科はかつて遊在目に分類されていた[4]が、今では見直しが行われている。研究者によっても異なり、ウミケムシ目とされることが多い。ウミケムシ科の生物は、100種以上が判明している。

  • Amphinome
    • A. rostrata Pallas ササラウミケムシ
  • Bathychloeia
  • Benthoscolex
  • Chloiea
    • C. flava Pallas ウミケムシ
    • C. fusca McIntosh フタスジウミケムシ 
  • Chloenopsis
  • Eurythoe (it
    • E. complanata ハナオレウミケムシ
  • HermodiceVermocane
    • H. carunculata (it
  • Hipponoe
  • Linopherus
  • Notopygos
    • N. gigas Horst セナジリウミケムシ
    • N. sibogae Horst カノコウミケムシ
  • Paramphinome
  • Pareurythoe
    • P. japonica Gustafson ニホンウミケムシ
  • Pherecardia
    • P. striata Kinberg タテジマウミケムシ
  • Pseudoeurythoe

ギャラリー 編集

注釈、出典 編集

  1. ^ 西村三郎・編著(1992):原色検索日本海岸動物図鑑[Ⅰ].保育者、425 pp.
  2. ^ 串本海中公園のホームページ危険な生き物解説-ウミケムシ
  3. ^ a b 自然体験活動QQレスキュー隊ウミケムシ
  4. ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版(c)2006, Britannica Japan Co.,Ltd.
  5. ^ 庄内ニュースフラッシュ 南の海から北上か 「ウミケムシ」 釣れる
  6. ^ 下関海洋科学アカデミー ウミケムシ
  7. ^ 動物行動の映像データベース 冷凍のオキアミを飲み込むウミケムシ
  8. ^ 京都府 丹後の海の生き物(ウミケムシ)
  9. ^ 海水魚のコトとほかのコト ウミケムシの罠

外部リンク 編集