エルメス(ヘルメス)は、フランス、後に欧州宇宙機関 (ESA) がかつて計画していた再利用型の有人宇宙往還機。いわゆる欧州版スペースシャトルといわれるもの[1]

エルメス
エルメスのモックアップ
基本データ
運用機関 CNESESA
使用期間 開発中止
物理的特徴
段数 アリアン5にて打ち上げ
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1980年代よりフランスの宇宙機関フランス国立宇宙研究センターが独自に計画していたが、欧州宇宙機関の発足と、独自開発には予算がかかりすぎることから、欧州の共同開発という形をとった。全長は15メートルほど、乗組員は2~3名で、打ち上げ用に新たに開発された「アリアン5型ロケット」のペイロード(積荷部分)に連結して発射するもので、すでに様々な青写真は出来上がっており、国際宇宙ステーション (ISS) にもこれで参加することも視野に入れていた。しかし、1990年代に欧州全体に吹き荒れた不景気によってESAは資金難となり、多額の開発費がかかるこの計画を断念した[1]

打ち上げ用に開発した大型ロケット「アリアン5」は、後にその巨大な打ち上げ能力を持ってアリアンスペース社の主力ロケットとなり、大型商業衛星の打ち上げを行っている。またESAは、ISSにはアメリカ合衆国スペースシャトルのほか、欧州補給機を使用して参加した[2]

仕様

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エルメスはアリアン5の上部に搭載して2人乗りで円錐状のリソースモジュールを機体の後部に備え、再突入前に切り離す構造だった。スペースプレーンのみが地球大気に再突入して着陸する[3]

計画の終了間際ではエルメスは3人乗りで3,000 kgの与圧された貨物を運ぶ仕様になった。最終的に打ち上げ重量は21,000 kgでこれは予定されたアリアン5が離陸可能な上限だった。エルメスは全長19.00 mになる予定だった[1]

開発

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ヨーロッパの宇宙への自立的なアクセスを目的として1980年代半ばにフランス政府の宇宙機関のCNESはソビエトとアメリカのシャトルを模倣したヨーロッパ製シャトルの計画を進めた。欧州宇宙機関1987年にエルメス計画を承認した。計画は1992年に打ち切られた。

その他

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リフティングボディによる再突入の実証試験であるIXV試験計画が2014年に予定された。[4]

関連項目

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  • ホッパー (宇宙船) - 無人式再利用型衛星システム。ESAは2000年代初頭に中止した。
  • E.S.S. Mega英語版 - 1991年のMS-DOS用シミュレーションゲーム。ESAの他の宇宙船と共にエルメスシャトルが特徴だった。

関連文献

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  • 称名寺健荘; 森瀬繚 (2007). 図解宇宙船. 新紀元社. p. 97. ISBN 9784775305171. https://books.google.co.jp/books?id=c0s8DwAAQBAJ&pg=PT97#v=onepage&q&f=false 
  • 吉田力 (2014). 図解入門業界研究最新航空業界の動向とカラクリがよーくわかる本. 秀和システム. p. 201. ISBN 9784798042671. https://books.google.co.jp/books?id=BrV7BgAAQBAJ&pg=PA201#v=onepage&q&f=false 

出典

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  1. ^ a b c 称名寺健荘 & 森瀬繚 2007, p. 97.
  2. ^ 吉田力 2014, p. 201.
  3. ^ 称名寺健荘 & 森瀬繚 2007, p. 99.
  4. ^ Vega to fly ESA experimental reentry vehicle”. ESA (2011年12月16日). 2011年12月16日閲覧。 “2014年9月の打ち上げを予定のために注意深く設計された機体の製造組み立て、統合と品質確認が進行中とされる”

外部リンク

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