キャラメル
キャラメル、カラメル(caramel [ˈkærəˌmɛl, ˈkærəməl])は、砂糖や牛乳を煮詰めて作るキャンディ菓子や製菓材料。



概要 編集
本来同じ言葉だが、現代日本語では以下のように使い分けることが多い。
「キャラメル」:砂糖、生クリーム、バター、水飴などを加熱溶融ののちに冷やし固めて作るソフトキャンディ。
「カラメル」 :水と砂糖を加熱してキャラメル化した液状物質。
ポルトガル語の caramelo [kɐɾɐˈmɛlu]に由来する。日本では過去に
カラメル 編集
「カラメル」は水と砂糖を加熱でカラメル化したものである。濃い褐色を呈し、独特の甘く香ばしい香り、甘味と弱い苦味を有する。洋菓子やコーラなど飲料の風味付け、カラメル色素として食品の着色料、などに使われる。「カラメルソース」は加熱したカラメルを少量の湯または水で適度な濃度に調節する。
製法と特徴 編集
カラメルは砂糖を100 ℃以上まで緩やかに加熱して製造する。砂糖から生成される揮発成分により特有の色と香りを呈する。
カラメル化現象 編集
カラメル化は糖類が引き起こす酸化反応などで生じる現象で、生成機構は未だ完全に解明されていない。グルコース、ショ糖などを加熱して生じるフラン化合物が重合反応によりフラン・ポリマー構造を呈する、とする仮説が提唱されている。カラメル化と同様に加熱で褐色色素が生じる、メイラード反応はアミノ酸と還元糖の両者を必要とし、カラメル化とは異なる反応である。
カラメルは、メイラード反応のメラノイジンほどではないが抗酸化作用を有し[1]、一般に色が濃いほど抗酸化作用が強く、窒素含有量の多いものほど抗酸化作用が強くなる[2]。
キャラメル 編集
キャラメルは130 ℃前後の加熱で製造し、粘度が非常に高い。生キャラメルは100 ℃前後の加熱で製造し、粘度は一般キャラメルよりも比較的低い。
歴史 編集
キャラメルの原型となる菓子は、アラブ人がクレタ島において考案したといわれている。彼らがアジアで入手したサトウキビを領地で栽培し、そこから得られたシロップや氷砂糖を精製し、製造した砂糖菓子がその原型である。これらは11世紀に十字軍によってヨーロッパに持ち帰られ、16世紀にはカトリーヌ・ド・メディシスによってフランスにもたらされる。フランスで発展した砂糖菓子から、アンリ・ルルーは故郷ブルターニュ産の塩を用い塩バターキャラメルを作った。ブルターニュやノルマンディーは乳製品も豊富な土地柄であり、これを活かすことで現代のキャラメルは誕生することになった[4]。
製品 編集
地域の特産品を用いた地域商品や、生クリームを多量に用いる生キャラメルなどがある。
種類 編集
- 森永ミルクキャラメル(森永製菓)
- サイコロキャラメル(道南食品)・・・明治子会社
- グリコ・アーモンドグリコ(江崎グリコ)
- ドゥルセ・デ・レチェ - 中南米のキャラメル
- 生キャラメル
- 塩バターキャラメル(フランス、ブルターニュ地方の塩を用いる塩辛さと甘みを併せ持つ製品。発案者はアンリ・ルルー)
など
地域商品 編集
- さつまいもキャラメル(サツマイモ)[注釈 1]
- ジンギスカンキャラメル(ジンギスカンの味に似せたフレーバー)
- 生キャラメル(マンゴー・イチゴ・オレンジなど)
など
利用製品 編集
- キャラメルコーン(スナック菓子)
- チョコボール(チョコレート菓子)
- キャラメル・マキアート - カフェラテをキャラメル味のシロップで味付けした飲み物
- プリン・ロールケーキ
- キャラメル・ポップコーン
など
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
- ^ 下橋淳子「褐変物質のDPPHラジカル消去能」『駒沢女子大学研究紀要』第37巻、17-22頁、2004年3月3日。doi:10.18998/00000638。 NAID 110004678454 。2022年1月19日閲覧。
- ^ 市川朝子; 藤井聡; 河本正彦「各種カラメル色素のリノール酸に対する抗酸化作用」『日本食品工業学会誌』第22巻、第4号、159-163頁、1975年4月15日。doi:10.3136/nskkk1962.22.159。国立国会図書館書誌ID:1599456 。
- ^ 「産業の岡崎」岡崎市、1953年4月10日、34-35頁。
- ^ 大森由紀子 『フランス菓子図鑑 お菓子の名前と由来』 世界文化社、65頁。