キャンディ・セッズ」(原題:Candy Says)は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド1969年に発表した楽曲。サード・アルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』の1曲目。タイトルの「Candy」は、アンディ・ウォーホルの「ファクトリー」で女優として活躍したトランスジェンダーのキャンディ・ダーリングからとられた[2]

キャンディ・セッズ
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド楽曲
収録アルバムヴェルヴェット・アンダーグラウンド
リリース1969年3月
録音ロサンゼルスTTGスタジオ(1968年11月 - 12月)
ジャンルロック
時間4分05秒
レーベルMGMレコード
作詞者ルー・リード
作曲者ルー・リード
プロデュースヴェルヴェット・アンダーグラウンド[1]
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド 収録曲
Side 1
  1. キャンディ・セッズ
  2. 「ホワット・ゴーズ・オン」
  3. 「サム・カインダ・ラブ」
  4. 「ペイル・ブルー・アイズ」
  5. 「ジーザス」
Side 2
  1. 「ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト」
  2. 「アイム・セット・フリー」
  3. 「ザッツ・ザ・ストーリー・オブ・マイ・ライフ」
  4. 「殺人ミステリー」
  5. アフター・アワーズ
ミュージックビデオ
「Candy Says」 - YouTube

概要 編集

キャンディ・ダーリング(Candy Darling)は1961年、ロングアイランドのデヴァーン美容学校のクラスを受講し[3]、それからますます女装に傾斜していった。マンハッタンへ電車で通い、5番街ホルモン療法を受けながら、憧れのジョーン・ベネットキム・ノヴァクのような女優になることを夢見た。1963年/64年ころから Hope Slattery と名乗り(Slatteryは本名)、のちに「キャンディ・ダーリング」に改名した。

転機は1967年に訪れた。ダーリングは、アンディ・ウォーホールの「スーパースターズ」の一人であるジャッキー・カーティスが書いた舞台『Glamour, Glory and Gold』に出演していたが[4]、ある深夜営業のクラブでカーティスといるときにウォーホールを紹介された。

ダーリングはすぐに彼の「スーパースターズ」に仲間入りし、彼女とトランスジェンダーの友人の Taffy Tits Terrifik(クライド・メルツァー)は、この年の11月に発売されたローリング・ストーンズのアルバム『サタニック・マジェスティーズ』に登場した。二人はアルバム2曲目の「魔王のお城」で「Candy and Taffy, hope you both are well」と歌われている。1968年にはウォーホールが制作した映画『フレッシュ』に出演した。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは3枚目のアルバム制作のために、1968年11月から12月にかけてロサンゼルスTTGスタジオでレコ―ディングを行った。「キャンディ・セッズ」についてルー・リードは後年のインタビューでこう語っている。

そうだ。あれはキャンディ・ダーリングについての曲だ。彼女の視点から見た物事を俺は書こうとした。でももっと深くて普遍的なものが描かれているはずだと思うよ。ある意味俺たちの誰もが持っている普遍的な感情が。鏡を見れば俺たちはそこに映るものを好きになれない。「自分が違った奴だったら」とか「カーリーヘアだったら」とか、あるいは「真っ直ぐだったら」だとか俺たちはのべつ言っている。ともかく俺はそういう気持ちを抱かない人間にはまだお目にかかったことがない[2]

リードの意向により、「キャンディ・セッズ」はダグ・ユールがリード・ボーカルを務めた[5]。1969年3月発売のアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』の1曲目に収録された。

ライブ・アルバム『Live at Max's Kansas City』(1972年5月発売)の2004年再発盤にライブ・バージョンが収録された。また、リードは2007年に公開されたコンサート映画『Berlin: Live at St. Ann's Warehouse』で、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズとともに歌唱、演奏している。

脚注 編集

  1. ^ The Velvet Underground - The Velvet Underground (Vinyl, LP, Album) at Discogs
  2. ^ a b DeCurtis, Anthony (2017). Lou Reed: A Life. New York: Little Brown. p. 121. ISBN 978-0-316-37654-9 
  3. ^ Moynihan, Colin (2009年2月24日). “From the Archives, a Portrait of a Pop-Art Muse”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2009/02/25/arts/design/25cand.html 2010年11月8日閲覧。 
  4. ^ What is the Robert DeNiro Connection?”. For Members Only: The Story of the Mob's Secret Judge. 2016年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月4日閲覧。
  5. ^ Lapointe, Andrew. “Interview with Doug Yule”. PopMatters. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月3日閲覧。