コシマガリモエビ

十脚目モエビ科のエビの一種

コシマガリモエビ(腰曲がり藻蝦)、学名 Heptacarpus geniculatus は、十脚目モエビ科に分類されるエビの一種。日本近海の海岸周辺にある藻場に生息し、海草によく擬態する。

コシマガリモエビ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : 抱卵亜目(エビ亜目) Pleocyemata
下目 : コエビ下目 Caridea
上科 : テッポウエビ上科 Alpheoidea
: モエビ科 Hippolytidae
: ツノモエビ属 Heptacarpus
Holmes, 1900
: コシマガリモエビ H. geniculatus
学名
Heptacarpus geniculatus
(Stimpson, 1860)

体長は30-50mmほどで、体は前後に細長い。6つの腹節のうち、中央の第3腹節以降が下に強く折れ、「」の字型の体型をしている。和名もこの「が曲がった」体つきに由来する。額角は細く、まっすぐ前方に伸び、鋸歯が下側に7-9個、上側の複眼近くに4-7個ある。体色は一様に色か茶色をしていて、特に目立つ模様はない。

樺太北海道から九州中部まで分布し、内湾のアマモ藻場やその周辺の岩場に生息する。海草のの間を移動しながら生活し、藻類デトリタス等を食べる。

緑や茶色の体色と細長い体で海草に紛れこみ、沿岸性の魚類イカなどの天敵から身を守る。同様に海草に擬態するエビは日本近海だけでも多数知られており、同じモエビ科(後述)の他にタラバエビ科ホッカイエビ Pandalus latirostrisミツクリエビ Pandalopsis pacifica 等がいる。

繁殖期は春だが、九州や四国、本州南部では冬のうちから繁殖を始める。卵はメスが腹脚に抱えて保護する[1]

小型種で人間にとっての利用価値は特にないが、シバエビ等の有用種を狙った沿岸漁業で混獲されることがある。

類似種

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ツノモエビ Heptacarpus pandaloides (Stimpson, 1860)
コシマガリモエビに似るが額角が長く、鋸歯は下側に9-13個、上側の複眼付近に7-10個がある。北海道北部から九州南部まで分布する。
クサイロモエビ H. grebnitzkii (Rathbun, 1902)
体長40mmほど。額角の鋸歯は下側2-3個、上側6-9個。樺太、中国北部、北海道から九州まで分布する。
ホソモエビ Latreutes aciculatus Ortmann, 1890
体長15-25mmで、ツノモエビよりも小型。額角の鋸歯は先端部に偏り、下側3-6個、上側0-2個。北海道南部から九州まで分布する。
アマモトゲモエビ Spirontocaris brashinikovi Kobjakova, 1936
体長30mmほど。額角は側扁し幅広く、下側5個、上側13個の鋸歯がある。ベーリング海に分布するが、北海道東部の根室市でも記録された[1]

参考文献

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  1. ^ a b 三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑 I』1982年 保育社 ISBN 4586300620