コヤブミョウガ Pollia miranda (H. Lév.) H. Hara はツユクサ科の植物の1つ。ヤブミョウガに似てずっと小型である。

コヤブミョウガ
コヤブミョウガ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: ツユクサ目 Commelinales
: ツユクサ科 Commelinaceae
: ヤブミョウガ属 Pollia
: コヤブミョウガ P. miranda
学名
Pollia miranda (H. Lév.) H. Hara
和名
コヤブミョウガ
果実

特徴 編集

多年生の草本[1][2]。茎は直立して高さ7.5-40cmまで。葉は線状楕円形~楕円形で長さ5-18cm、葉は1.5-4cm。葉の先端は少し突き出して伸びており、基部は次第に狭まって葉柄に連続するが、ある程度は葉柄が区別できることが多い。花期は5-10月で、花序は長さ4.5-15cmで毛がある。花柄は長さ約4mm、3枚ある萼片は長さ4-5mm、その内側に3枚ある花弁は萼片より少し大きい。雄しべは6個で、完全なものが6個そろっている場合もあるが、3個まで仮雄蕊になる例もある。果実は径5mm。

分布と生育環境 編集

日本では九州南部から沖縄島にあり、国外では台湾と中国南部から知られる[3]

分類など 編集

本種の所属するヤブミョウガ属は大型になる草本が多く、直立する茎から集散花序を出し、放射相称の花をつける、あまりツユクサとは似ていない植物で、東アジアからアフリカに17種があり、日本には本種以外に以下の2種がある。

いずれも背丈が少なくとも50cmにはなるもので、判別はごく容易である。ちなみに前者は本州から九州で普通に見られ、後者は日本では石垣島のみから知られ、分布域もほとんど重ならない。

ちなみに本種はその大きさ以外はヤブミョウガによく似ており、かつてはこの種の変種とされていた。佐竹他(1982)ではコヤブミョウガはヤブミョウガの記事内で var. minor Walker の学名で記述があり、それによるとその分布は九州は甑島と屋久島、それに琉球列島は沖縄島、石垣島、西表島、となっている[4]

保護の状況 編集

環境省のレッドデータブックには取り上げられていない[5]。県別では鹿児島県で分布特性上重要な種に挙げられている。

出典 編集

  1. ^ 以下、主として大橋他編(2015),p.267
  2. ^ なお、初島(1975)にも当然ながら本種の記事があるが、草丈が20-80cmと大橋他編(2015)とは大きな乖離があり、分布にも奄美から西表までが入っている。後述の他種が混じっているのかもしれない。
  3. ^ 大橋他編(2015),p.267
  4. ^ 佐竹他(1982),p.73。しかしこれが本種の記録であるなら、大橋他編(2015)では石垣、西表はどうして消えたのかが不思議である。
  5. ^ 日本のレッドデータ検索システム[1]2019/08/30閲覧

参考文献 編集

  • 大橋広好他編、『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』、(2015)、平凡社
  • 佐竹義輔他、『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』、(1982)、 平凡社
  • 初島住彦 『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会