ゴルフ場殺人事件

ゴルフ場殺人事件』(原題:The Murder on the Links)は、1923年に発表されたイギリス小説家アガサ・クリスティの長編推理小説

ゴルフ場殺人事件
The Murder on the Links
著者 アガサ・クリスティー
訳者 田村隆一ほか
発行日 イギリスの旗1923年
日本の旗
発行元 イギリスの旗
日本の旗早川書房ほか
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 秘密機関
次作 ポアロ登場
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名探偵エルキュール・ポアロが登場するシリーズの第2作である。

あらすじ編集

大富豪からの依頼を受けて、ヘイスティングズと共に、フランスの別荘地を訪れたポアロ。
だが、彼らを出迎えたのは、依頼人が殺害されたという報せだった。
夫人は、二人組の暴漢が夫を拉致したと証言するが、犯人たちは、わざわざ拉致した被害者を屋敷のすぐ隣にあるゴルフ場予定地で殺し、墓穴まで掘りながら死体を埋めずに放置するという、不可解な行動をしていた。
夫人の証言が真っ赤なウソだと見抜いたポアロは、同時に「彼女は、夫殺しの下手人ではない」とも結論付ける。
一方のヘイスティングズは、事件の翌日、以前カレー行きの列車で同乗したアクロバット女優の少女と、思わぬ再会を果たす。
物見高い彼女に請われるまま死体の安置場所を案内したヘイスティングズだが、後でその場に保管されていた凶器の短剣が紛失していることが発覚。
さらにその翌日、紛失したはずの短剣を胸に突き立てられた浮浪者の死体が、敷地内の物置小屋から見つかった。

登場人物編集

エルキュール・ポアロ
主人公。私立探偵。自らの依頼人を殺害した犯人を突き止めるべく、捜査に乗り出す。
アーサー・ヘイスティングズ
ポアロの友人であり、物語の語り手。今作では、とある女性と恋に落ち、後に伴侶となる。
ポール・ルノー
ジュヌヴィエーヴ荘の主人。南米で富を築いた大富豪。ポアロに身辺警護の依頼を出すが、彼の到着直前に何者かに殺害される。
エロイーズ・ルノー
ポールの妻。控えめながら芯の強い性格。夫の死にショックを受けながらも、警察にも気丈に対応する。
ジャック・ルノー
ポールの息子。やや横柄で、感情的になりやすい。第一次世界大戦への従軍経験がある。凶器に使用された短剣は、彼が特注して母親に贈ったもの。
ガブリエル・ストーナー
ポールの秘書。精悍で理知的な青年。事務的な態度ながら、ルノー家の人間には尊敬と友情を示す。
ドーブルーユ夫人
ジュヌヴィエーヴ荘の隣家であるマルグリット荘の主人。年齢は中年に入っているが、それでも類稀な美貌の持ち主。
マルト・ドーブルーユ
ドーブルーユ夫人の娘。目の覚めるような美貌の女性。ジャックの恋人であり、彼の身の上を心配する。
ベラ・デュヴィーン
事件の日の夜、ルノーを訪ねたと思しき謎の女性。
シンデレラ
アクロバット芸人の少女。物語の冒頭で、偶然ヘイスティングズと同じ車両に乗り合わせた。その翌々日、唐突に事件現場に姿を現す。
リュシアン・ベー
警察署長。ポアロに捜査での便宜を図る。
オート
予審判事。事件関係者の尋問を担当している。
ジロー
パリ警察刑事。名刑事の呼び声高い自信家。高慢な態度で、度々ポアロと衝突する。

出版編集

  • 博文館『新青年』1928年(昭和3年)新年特別号から5月号まで「リンクスの殺人事件」(延原謙=訳)を連載。
題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
世界探偵小説全集11 クリステイ集[1] 博文館 世界探偵小説全集11 延原謙 クリステイに就いて(延原謙) 1929年 464 絶版
リンクスの殺人事件 博文館 博文館文庫70 延原謙 1939年 307 絶版
ゴルフ場の殺人事件 大日本雄弁会講談社 クリスチー探偵小説集:ポワロ探偵シリーズ10 松本恵子[2] 1956年 238 絶版
ゴルフ場殺人事件 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ471 田村隆一 1959年 絶版
ゴルフ場の殺人 東京創元社 創元推理文庫105-25 中村能三 解説 数藤康雄「クリスチィ訪問記 1976年1月23日 345 4-488-10525-9
ゴルフ場殺人事件 講談社 講談社文庫 久万嘉寿恵     1977年4月 309 978-4061370289 絶版
ゴルフ場殺人事件[3] 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫1-66 田村隆一 アガサ・クリスティー
長篇著作リスト
真鍋博 1982年4月 334 4-15-070066-4 絶版
ゴルフ場殺人事件 新潮社 新潮文庫クー3-9 蕗沢忠枝   野中昇 1984年5月 359 978-4102135105 絶版
エルキュル・ポアロ[4] 講談社 久万嘉寿恵 解説:「ポアロとクリスティーの横顔」数藤康雄
「アガサ・クリスティー著作リスト」各務三郎
1984年5月 493 4-06-203404-2 絶版
ゴルフ場殺人事件 早川書房 クリスティー文庫2 田村隆一 「ポアロとわたし」
熊倉一雄
Hayakawa Design 2004年 411 4-15-130002-3 絶版
ゴルフ場殺人事件 早川書房 クリスティー文庫2 田村義進 「ポアロとわたし」
熊倉一雄
Hayakawa Design[5] 改訳2011年7月9日 411 4-15-131002-7

児童書

題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
ゴルフ場の殺人 講談社 講談社青い鳥文庫 花上かつみ 高松啓二 2004年1月15日 358 4-06-148638-1 新書判

翻案作品編集

ラジオドラマ

TV作品

  • 名探偵ポワロ「Murder on the Links(邦題 ゴルフ場殺人事件)」(イギリス 1996年
    • ポワロ - デヴィッド・スーシェ
    • ヘイスティングズ - ヒュー・フレイザー
    • 劇中の表示では事件発生は1936年。事件の発生が実在のリゾート地ドーソンである、ヘイスティングズのロマンスの相手に姉妹がいないなど、設定も一部改変されている。
  • 名探偵赤冨士鷹「愛しのサンドリヨン」(日本 2005年
    • 「サンドリヨン」はシンデレラのフランス語読み。

脚注編集

  1. ^ 「リンクスの殺人事件」「總理大臣の失踪」「メンタルテスト」「潜水艦事件」「智慧の戰ひ」「古墳の呪」「クラブのキング」「覆面の貴女」「安い貸家」「チヨコレエトの函」「赤坊の腕」「海邊の出來事」「別莊の悲劇」収録。
  2. ^ 現在、グーテンベルク21が電子書籍化している。
  3. ^ 本刊は、『ミステリハンドブック アガサ・クリスティー』(原書房)の巻末書誌リストによれば、創元推理文庫の『ゴルフ場の殺人』(中村能三訳)に比べて全体の9割ほどしかない抄訳となっている。
  4. ^ 数藤康雄=編、従来講談社文庫で発行されていたものの合本。「スタイルズ荘の怪事件」、「ゴルフ場殺人事件」、「アクロイド殺害事件」、「青列車の謎」、「オリエント急行殺人事件」、「ABC殺人事件」(アクロイドのみ原百代、それ以外は久万嘉寿恵の翻訳)を収録。
  5. ^ クリスティ文庫新訳シリーズ/期間限定カバー:安西水丸もある。