サミュエル・ダニシェフスキー
サミュエル・J・ダニシェフスキー(Samuel J. Danishefsky, 1936年3月10日 - )は、アメリカ合衆国の有機化学者。コロンビア大学[1]とメモリアル・スローン・ケタリング癌センター(ニューヨーク、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)との教授を兼任している。
Samuel J. Danishefsky サミュエル・J・ダニシェフスキー | |
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生誕 |
1936年3月10日(87歳)![]() |
国籍 |
![]() |
研究機関 |
ピッツバーグ大学 イェール大学 コロンビア大学 |
出身校 |
イェシーバー大学 ハーバード大学 |
主な業績 |
ダニシェフスキージエン タキソール全合成 |
主な受賞歴 | ウルフ賞化学部門(1995/1996) |
プロジェクト:人物伝 |
生い立ち、学歴編集
ニュージャージー州ベイヨンで生まれた。1956年イェシーバー大学を卒業し、1962年にハーバード大学から化学の分野で Ph.D. を取得した。ハーバード大学での博士課程の時期と一部重なって、アメリカ国立衛生研究所の奨学金によりコロンビア大学のギルバート・ストーク (Gilbert Stork) のもとでも研究を行っていた。
研究歴編集
Ph.D.取得後、ダニシェフスキーはピッツバーグ大学の教職に就き、1979年まで教鞭をとりながら最後は特別教授まで達した。1979年から1993年まではイェール大学で過ごし、Sterling professor(イェール大学で最高位の教授)まで昇った。一方で1991年まで彼はメモリアル・スローン・ケタリング癌センターの癌研究生物有機化学研究室の指導をも行っており、1993年からはその癌センターの長に就いた。さらに1993年にはコロンビア大学より任命を受け、現在は兼職中である。
研究編集
ダニシェフスキーは、多くの複雑な有機化合物の緻密な三次元的構造を合成してきた業績がよく知られる。 彼がコロンビア大学で合成法を開発した分子の中には、抗癌剤として有力なエポチロン類がある。
ダニシェフスキーの業績ではタキソールの全合成も著名である(ダニシェフスキーのタキソール全合成)。その合成は1996年に公表され、タキソール全合成としてはホルトン、ニコラウに続く三番目の報告例となった[2]。それらの研究は全合成を通して有機化学の応用力をみる材料ともなった。
受賞歴編集
- 1980年 アーサー・C・コープ賞
- 1981年 アーネスト・ガンサー賞
- 1995/1996年 ウルフ賞化学部門[3] ギルバート・ストークと共同受賞。
- 1996年 テトラヘドロン賞
- 1999年 名古屋メダル(MSD生命科学財団)[4]
- 1999年 ウィリアム・H・ニコルズ賞
- 2001年 F・A・コットン・メダル
- 2004年 レムセン賞
- 2006年 ベンジャミン・フランクリンメダル[5]
- 2006年 米国科学アカデミー賞化学部門
- 2007年 トムソン・ロイター引用栄誉賞
- 2007年 ロジャー・アダムス賞
その他Aldrich賞、ニューヨーク市長賞、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の "Lifetime Achievement Award"等を受けている。
いずれもダニシェフスキーの有機合成化学での業績を賞したものである。また、イェシーバー大学の名誉博士号を受けている。
関連項目編集
参考文献編集
- ^ Samuel Danishefsky - コロンビア大学
- ^ Total Synthesis of Baccatin III and Taxol Danishefsky, S. J.; Masters, J. J.; Young, W. B.; Link, J. T.; Snyder, L. B.; Magee, T. V.; Jung, D. K.; Isaacs, R. C. A.; Bornmann, W. G.; Alaimo, C. A.; Coburn, C. A.; Di Grandi, M. J. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 2843-2859. DOI: 10.1021/ja952692a
- ^ (多糖類や、生物、医学的に重要な複雑な分子の合成へ道を開いた新規化学反応の設計と開発) ウルフ賞
- ^ “名古屋メダル受賞者一覧(Gold Medal)”. 公益財団法人MSD生命科学財団. 2022年10月6日閲覧。
- ^ Samuel Danishefsky, the winner of Benjamin Franklin Medal in Chemistry in 2006