セックス・コメディSex comedy)やエロティック・コメディerotic comedy)、あるいはより広義のセクシャル・コメディsexual comedy)とは、性的な状況や恋愛が動機となるコメディのジャンルである。

1998年から2004年まで放送されたアメリカのセックス・コメディ・ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の主役4人組

概要 編集

「セックス・コメディ」は主に演劇や映画などの内容を指す言葉だが、オウィディウス[1]ジェフリー・チョーサー[2]などの文学作品もセックス・コメディと見なされることがある。

17世紀イギリスの王政復古演劇英語版ではセックス・コメディが人気を博し、流行した。

1953年から1965年にかけて、ハリウッドではドリス・デイジャック・レモンマリリン・モンローなどのスターが出演する、多くのセックス・コメディが公開された[要出典]

イギリスでは1970年代に『Carry On』シリーズ英語版を筆頭にセックス・コメディが相次いで公開された。

ハリウッドでは1978年に『アニマル・ハウス』が公開され、それに続いて1980年代前半に『ポーキーズ』や『独身SaYoNaRa! バチェラー・パーティ』『卒業白書』などのティーン向けセックス・コメディが次々と公開された。

その他、ブラジル(ポルノシンシャーダ英語版;pornochanchada)、イタリア(コメディア・セクシー・アッリイタリアーナ英語版;commedia sexy all'italiana)、メキシコ(セクシコメディアス英語版;sexicomedias)など、セックス・コメディ映画の製作が盛んな国もある。

歴史 編集

古代 編集

古代ギリシアの演劇におけるジャンルのひとつのサテュロス劇には滑稽なセックスシーンが含まれていたが、おそらく最も有名な古代喜劇はアリストパネスの『女の平和』(BC411年)である。この作品では、主人公のリューシストラテーがギリシア全土の女性を説得し、セックスを控えることでペロポネソス戦争に抗議する[3]。西洋のセクシャル・コメディの特徴である「少年と少女の出会い(boy-meets-girl)」のプロットは、アリストパネスとは異なり、社会風刺や政治風刺よりも中流階級の求愛や夫婦間のジレンマに焦点を当てたメナンドロス(BC343年 - 291年)まで辿ることができる[4]

彼の後継者であるローマの劇作家のプラウトゥスは、定期的に性的な状況に基づいてプロットを練り上げていた。そして、彼の描く喜劇はミュージカル『A Funny Thing Happened on the Way to the Forum』に影響をもたらした。プラウトゥスの喜劇の人気は、状況性喜劇の創造に大きな影響を与えた[6]。

彼の後継者であるローマの劇作家プラウトゥスは、その喜劇がミュージカル『フォーラムに行く途中であったおかしな出来事』に影響を与え、定期的に性的状況をプロットに基づいていた[5]。プラウトゥスの喜劇の人気は、シチュエーション・セックス・コメディを作る上で大きな影響を及ぼした[6]

現代のセックス・コメディ 編集

  フランス 編集

フランスの青春映画には、『好奇心』のように、現代の「セックス・コメディ」というジャンルのテーマが多く含まれているものもある。

  イタリア 編集

commedia scollacciata」や「commedia erotica all'italiana」とも呼ばれる「commedia sexy all'italiana」(英訳だと「sex comedy Italian style」)は、イタリアのコメディア・アッリイタリアーナ英語版(commedia all'italiana)という映画のジャンルにおけるサブジャンルの一つである。このジャンルでは、コメディア・アッリイタリアーナのメインジャンルの基本であった社会批判的な作品の重みは最小限にされ、代わりに豊富な女性のヌードとコメディの両方によって典型的に特徴付けられている[7]

脚注 編集

  1. ^ Elaine Fantham, "Sexual Comedy in Ovid's Fasti: Sources and Motivation," in Harvard Studies in Classical Philology 87 (1983) 185–216.
  2. ^ Robert R. Edwards, "Narrative," in A Companion to Chaucer (Blackwell, 2000, 2002), p. n. 314.
  3. ^ Jon Solomon, The Ancient World in the Cinema (Yale University Press, 2001), p. 284.
  4. ^ Richard Hornby, Mad about Theatre (Applause Books, 1996), p. 261.
  5. ^ Robert Blumenfeld, Using The Stanislavsky System: A Practical Guide To Character Creation and Period Styles (Limelight Editions, 2008), p. 100.
  6. ^ Paul Kuritz, The Making of Theatre History (1988), p. 51.
  7. ^ Bondanella, Peter E. (12 October 2009). A history of Italian cinema. Continuum International Publishing Group, 2009. ISBN 978-1441160690 

参考文献 編集

  • McDonald, Tamar Jeffers. 2007. Romantic Comedy: Boy Meets Girl Meets Genre. Wallflower Press
  • McDonald, Tamar Jeffers, ed. 2010. Virgin Territory: Representing Sexual Inexperience in Film. Wayne State University Press.
  • Sheridan, Simon. 2011. Keeping the British End Up: Four Decades of Saucy Cinema. Titan Books. 4th edition.

関連項目 編集