ゼナ (豚)
ゼナ(Xena、2000年7月2日 - 2010年3月18日[2])は、世界では2番目の事例、日本では初の事例となるブタの体細胞クローンである雌、品種は梅山豚。
生物 | ブタ |
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品種 | 梅山豚 |
生誕 | 2000年7月2日 日本 茨城県つくば市農業生物資源研究所 |
死没 | 2010年3月18日 日本 茨城県つくば市農業生物資源研究所 |
体重 | 誕生時 1.2kg[1] 9歳時 約180kg[1] |
経緯
編集2000年3月にイギリスのロスリン研究所[3]で、ブタの体細胞クローンとしては世界初となるクローン豚が誕生する。同年7月2日に日本の農業生物資源研究所で世界では2例目となるクローン豚が誕生した[1]。このブタは異種移植用の研究の一環として産み出されており、「異種移植(Xenotransplantation)」から取ってゼナ(Xena)と名付けられた[4][5]。
ゼナの飼育には、農業生物資源研究所に加えて、プライムテック、農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所が協力を行った[1]。ゼナは順調に成長し、4か月齢で性成熟すると、人工授精によって14頭の子豚を出産して、体細胞クローンで誕生した動物が正常な繁殖能力を獲得したことを証明する事例となった[1][2][6]。
2010年3月18日、老衰による衰弱のため、立ち上がれなくなったゼナは安楽死させられた[2]。解剖の結果、疾患を示す病変は発見されなかった[2]。
影響
編集上述のように体細胞クローンが正常な繁殖能力を獲得したことを証明する事例となっている。
世界初となる体細胞クローン事例のドリー (羊)は通常の羊よりも短いと推測される[注釈 1]6年7か月で死亡したため、「体細胞クローン動物は短命ではないか?」との議論があった[1][2]。約10年を生きたゼナは、短命であることへの反例となった[1][2]。
ゼナによる体細胞クローン豚の作出技術の確立は、遺伝子組換え技術と組み合わせることで、世界で初めて非ウイルスベクターによる緑色蛍光タンパク質を発現するブタの開発(2003年)や、医療研究用のモデル豚として臓器移植モデル、再生医療モデル、疾患モデルとして、10種類以上の遺伝子組換えブタの作出に成功につながっている[6]。
論文
編集- Onishi A; Iwamoto M; Akita T; Mikawa S; Takeda K; Awata T; Hanada H; A. C. F. Perry (2000). “Pig cloning by microinjection of fetal fibroblast nuclei.”. サイエンス 289. doi:10.1126/science.289.5482.1188. NAID 80012004843.
関連項目
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g “短命説退ける 体細胞クローン豚が世界最高齢を記録 生物資源研究所などが飼育”. 農業協同組合新聞. (2010年4月26日) 2016年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f “農業生物資源研究所 プレスリリース資料” (PDF). 農業生物資源研究所 (2010年4月22日). 2016年12月1日閲覧。
- ^ 世界初の体細胞クローン事例のドリーを産み出した研究所でもある。
- ^ 森山和道 (2010年4月23日). “体細胞クローン豚「ゼナ」、約10年で寿命を終える 異種移植研究用のクローン豚”. 2016年12月1日閲覧。
- ^ “国内初のクローン豚”. 朝日新聞. (2000年8月6日)
- ^ a b “2000年に誕生した国内初体細胞クローンブタ『Xena』が約10年の生涯を終える。”. プライムテック. 2016年12月2日閲覧。
- ^ Hwa A Lim (2002). Genetically Yours: Bioinforming, Biopharming, and Biofarming. ISBN 978-9810249380