チッラ・ナシーニー

瞑想するスーフィー

イスラーム神秘思想において、チッラ・ナシーニーペルシア語: چلّه‌نشینی‎)[注釈 1]とは、ダルヴィーシュの特別な瞑想法である。単にチッラともいう。その実践者は、40昼夜の間、外界との接触を断ち[注釈 2]断食[注釈 3]を続けながら、黙想苦行 (fa:ریاضتを行う。[1][2]

目次

スーフィズムにおいて編集

チッラはペルシア語40を意味するチェヘルの派生語である。ナシーニーは「座ること」を意味する。インドペルシア及びその周辺地域で伝統的に取り入れられてきた行であり、40日間、地面に描いた小さな円の中に座って、断食と黙想を行う。また、なるべく眠らない。円の外へも出ないようにする。[3][4][5][6]

人が一人か二人やっと入れるような狭い一室で行う場合、その空間は「チッラ・ハーナ[注釈 4]」と呼ばれる。また、この行の目的とするところは、自己の穢れを祓い、ジンと戦い、シャイターンを退けることである。スーフィー行者たちは、通常、一年に一度、この座って行う40日間の苦行を実践する。この行に最も適した期間は、ズー・ル=カアダの30日間及びズー・ル=ヒッジャの最初の10日間からなる40日であると言われる。[1][2]

スーフィーによるチッラ・ナシーニーの実践例のなかで、とりわけ有名なものとしては、シーラーズハーフィズが神との合一の境地(ファナー)を求めて実践したエピソードが挙げられる。[7][8][9][10]

また、この40日間は、一般的にはチェヘロム又はアルバアイーン英語版[注釈 5]を模した日数と解されている[3][4]。しかしながら、チッラ・ナシーニーの歴史はかなり古い時代にまでさかのぼることができ、イスラーム化以前のヴェーダーンタ学派から続く伝統であるとする説もある[1][11]

北インド古典音楽において編集

ヒンドゥースターニー音楽の分野においては、高度なテクニックを持つ音楽家たちがチッラ・ナシーニーに類似する修練を行うことがある。彼らはチッラ・ハーナに40日間こもり、それぞれの楽器を厳しく練習する。その間、食事はわずかしか摂らず、その食事も肉類や穀類を抜いた特別なものである。外界との接触はなるべく避ける。また、なるべく眠らないように努め、必要であれば自らの髪の毛を天井に吊るした輪に括り付けることすらする。この修練は普通の練習では得られないような極めて高度なテクニックを習得するために実践される。なお、修練方法の細かな部分は、ガラーナー英語版[注釈 6]ごとに異なる。

関連項目編集

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 現代ペルシア語読みで「チェッレ・ネシーニー」。
  2. ^ イーティカーフ (fa:اعتکاف(おこもり)という。
  3. ^ 完全に絶食するわけではなく、肉類を避け、少量の菜食を行う (fa:روزه
  4. ^ 現代ペルシア語読みでは「チェッレ・ハーネ」。
  5. ^ アーシューラー後の40日間。
  6. ^ ヒンドゥースターニー音楽における流派を意味する言葉。

出典編集

参考文献編集

外部リンク編集

  • «تاریخ دراویش در ایران»”. Radio Koocheh (2014年12月16日). 2015年8月26日閲覧。 “چله: واژه چله گرفته شده از عدد چهل است که به معنای چهل روزی می‌باشد که دراویش به عبادت و ریاضت می‌‌پردازند. این‌کار با هدف تزکیه نفس انجام می‌‌گردد، کسی که چله‌نشینی می‌‌کند، در این مدت به اصطلاح ترک حیوانی یعنی ترک فرآورده‌‌های حیوانی می‌کند.イラン暦1393年9月25日に放送されたラジオ放送の書き起こし。)
  • چله‌نشینی در غزنی، ۴۰ روز در زیر زمین”. BBC farsi (2009年4月26日). 2015年8月26日閲覧。(「土の下で40日、ガズニーにて」BBCペルシア語ニュース)