青椒肉絲(チンジャオロウスー/チンジャオロース、中国語: 青椒肉丝; 拼音: qīngjiāo ròusī)は、ピーマンと細切りにしたなどを炒めた中華料理である。

青椒肉絲
繁体字 青椒肉絲
簡体字 青椒肉丝
発音記号
標準中国語
漢語拼音Qīngjiāo ròu sī
青椒牛肉絲
中国語 青椒牛肉絲
発音記号
標準中国語
漢語拼音Qīngjiāo niú ròu sī
日本語
漢字 青椒肉糸
ひらがな せいしょうにくし

中国では青椒肉絲は豚肉を使用する料理であり、牛肉を使用した場合は「青椒肉絲」と呼ぶ[1][注釈 1]。その際の日本語のカタカナ表記は「チンジャオニウ ロウスー」[3]「チンジャオニュー ロウスー」[4]などになるが、日本では牛肉を使用していても「青椒肉絲」と呼ばれることもある[5]

概要 編集

「青椒(チンジャオ)」とは辛みを抜いて品種改良した唐辛子(現代ではピーマンししとうなど)の緑色の果実を指し、「絲(スー)」とは細切りのことを指す。つまり青椒肉絲とは、ピーマンなどの細切りと肉材の細切りを炒めた料理のことをいう。中国の素朴な作り方では老酒のみを調味料として使用するとされる。赤や黄色のピーマンと一緒に炒めたものは「彩椒肉絲(ツァイジャオロースー)」という。

現代の一般的な調理法としては、下味を付けた豚肉または牛肉の細切りと、ピーマン、タケノコタマネギモヤシネギなどの野菜の細切り、調味料には醤油ショウガニンニク胡椒オイスターソース片栗粉、そして油は胡麻油が使われることが多い。

青椒肉絲の起源は古く、豚肉を調理した福建料理に端を発するともいわれる。四川料理とされることも多いが、現代においては辛みよりも旨みを重視する広東風のものがポピュラーであり、オイスターソースカキ油)、酒(紹興酒など)、砂糖などを使って甘辛く調味される。一方、四川風のものでは豆板醤醤油などを使って辛味を効かせて仕上げられる。

中国だけでなく、北米ヨーロッパ日本などの華僑により伝えられ世界中でポピュラーな中華料理として定着している。アメリカでは、豚肉よりも牛肉が好まれるため牛肉を調理し濃いめの味付けがされているなど、材料や味付けを変えてその土地の嗜好に合わせた料理に変化している。多くの日本のものはアメリカスタイルの影響を受けているといえる。

注釈 編集

  1. ^ 中国では単に「肉」といった場合は豚の肉である「豬肉(猪肉、豚肉)」のことを指し、他の肉の場合にのみ種類がわかるようにすることが多い[2]

出典 編集

  1. ^ 高城順子 (2008年7月2日). “青椒肉絲(チンジャオロースー)”. 朝日新聞. 2022年4月10日閲覧。
  2. ^ 小学館『中日辞典』第3版 1315ページ “肉”項[注意]、『超級クラウン中日辞典』“肉”項[表現]。
  3. ^ 青椒牛肉絲(チンジャオニウロウス)”. キユーピー3分クッキング (2015年7月13日). 2022年4月10日閲覧。
  4. ^ ABCテレビ辻調理師専門学校『ワン・クッキングムック 上沼恵美子のおしゃべりクッキング 永久保存版 BESTおかず』ワン・パブリッシング、2022年、178頁。ISBN 9784651014081 
  5. ^ 青椒肉絲(牛肉とピーマンの細切り炒め)”. キッコーマン. 2022年4月10日閲覧。