テキサス・セントラル・レイルウェイ
テキサス・セントラル・レイルウェイ(英語: Texas Central Railway)は、計画中のアメリカ合衆国の高速鉄道である。事業主体の米テキサス・セントラル・パートナーズ社は、米運輸省が計画の実現に必要な手続きをほぼ終えたと明らかにした。ヒューストン - ダラス間の約380kmを90分で結び、早ければ2021年に建設を開始し、2026年の開業を目指している。開業すれば、アセラ・エクスプレス、ブライトラインに次ぐ北アメリカで3番目の高速鉄道となる[2]。
テキサス・セントラル・レイルウェイ | |
---|---|
基本情報 | |
国 | アメリカ合衆国 |
所在地 | テキサス州 |
種類 | 高速鉄道 |
起点 | ヒューストン |
終点 | ダラス |
駅数 | 3駅予定 |
開業 | 2025年末予定[1] |
使用車両 | N700S |
路線諸元 | |
軌間 | 1,435 mm |
線路数 | 1 |
最高速度 | 300 km/h |
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
概要
編集テキサス・セントラル・パートナーズ社(英語: Texas Central Partners, TCP)は民間企業であり、連邦鉄道局およびテキサス運輸省と協力しながら環境影響評価を行っている。[3]2015年7月には7500万ドルの出資を集めたと発表した。[4] 総工費は当初120億ドルとされていたが、400億ドル以上に膨らむ見通し[5]。
台湾の台湾新幹線に続き日本の新幹線方式で建設し、N700系の改良版を導入することを明言していたが、現在は2020年7月から営業運転を行うN700Sをアメリカ仕様に改良して、最高時速330kmで走る計画になっている。JR東海が技術支援に加え、少額の出資を検討している。[6][7]2016年5月中に高速鉄道プロジェクトへの技術支援を目的に、現地法人「HTeC(エイチテック)」を設立すると発表した。[8]
テキサスにはもともと直線的に送電線が張られており、その横の土地を利用する予定である[9]。最大の問題点の一つとして、建設予定地の地主の反対がある[9]。
ルート上の中間点付近に、もう1つ駅を作ることを検討しており[10]、テキサスA&M大学が所在するブラゾス郡内に設置する計画である。現在、第2次計画として、オースティン - サンアントニオ間の開通を目指しているが、具体的なタイムスケジュールは決まっていない。
2018年10月にはスペイン国鉄・レンフェを運行面でのパートナーに指名することが発表され、JR東海は技術面での支援を主に行うとされている[11][12]。
2023年8月、事業主体の米テキサス・セントラル・パートナーズ社はアムトラックと協力関係を結ぶと発表した。今後アムトラックと共同で補助金プログラムを申請する予定である[13]。 テキサス・セントラル・パートナーズ社とアムトラックは、連邦政府の支援への申請に動き出している。具体的には、連邦鉄道局(FDA)が所管する都市間旅客鉄道の安全、効率、信頼性を向上に資する取り組みへの支援策や、米国運輸省が所管し助成対象にアムトラックが含まれる旅客鉄道支援連邦補助金などである[14]。
2024年5月、アムトラックのアンディ・バイフォード上席副社長はテキサス高速鉄道の開業が2030年代前半に遅れる可能性を明らかにした。計画はこれまでも資金難で延期を繰り返してきた。バイフォード氏は「連邦政府と民間企業、外国からの投資なくして前進するとは思えない」とし、300億ドル超とされる総事業費の調達に向けて官民双方からの出資を幅広く募る方針を強調した。ダラス、ヒューストン両市からも「非常に強い政治的支援を受けており、時間とともにいくらかの財政支援に発展する可能性もある」と期待を示した。 使用車両は、「当初は日本で造られると思うが、その後は米国での雇用を創出するため米国生産に移行することを希望している」とした。計画の支援企業には新幹線車両を造る日立製作所も名を連ねるが、発注するメーカーは「現時点ではコメントできない」と語った。 導入する発券・予約システムは「アムトラックのシステムを使う」とし、アムトラックのアプリで切符を買えるようになるとの見通しを示した[15]。
脚注
編集- ^ http://houston.culturemap.com/newsdetail/08-16-12-full-speed-ahead-for-205-mph-bullet-train-between-houston-and-dallas-2020-set-as-target-date/[リンク切れ]
- ^ “JR支援の北米新幹線、21年着工へ 当局手続き終了”. Houston Chronicle. 日本経済新聞 LLC. 2020年12月25日閲覧。
- ^ “Dallas-Houston High-Speed Rail Project”. Texas Department of Transport. 2015年12月17日閲覧。
- ^ Baddour, Dylan. “Texas high speed rail passes major milestone with first fundraising announcement”. Houston Chronicle. Hearst Newspapers, LLC. 2015年12月17日閲覧。
- ^ “テキサス高速鉄道、米旅客鉄道公社アムトラックとの新たな連携を検討”. 2023年9月1日閲覧。
- ^ “The Bullet Train That Could Change Everything”. The Texas Tribune. The Texas Tribune. 2015年12月17日閲覧。
- ^ “Learn the facts”. Texas Central Railway. 2015年12月17日閲覧。
- ^ “JR東海、米国テキサス州に高速鉄道計画プロジェクト支援する現地法人設立へ”. 2016年6月2日閲覧。
- ^ a b “Could High-Speed Train Rev Texas Economy?” (英語). NBCDFW. (2015年12月18日)
- ^ “テキサスの新幹線、住民からの反対はあるけれど実現させます”. GIZMODO. (2016年1月18日)
- ^ “鉄道最前線 JR東海「テキサス新幹線」スペインとコラボへ”. 東洋経済ONLINE. (2018年10月12日)
- ^ “Texas Central Names Global Railway Company Renfe as Its High-Speed Train Operating Partner” (英語). Business Wire. (2018年10月10日)
- ^ “Amtrak to work with Texas Central on high speed rail plan”. (2023年8月11日)
- ^ “テキサス高速鉄道、米旅客鉄道公社アムトラックとの新たな連携を検討”. 2023年9月1日閲覧。
- ^ “テキサス新幹線計画、大幅遅れ JR東海など支援 全米鉄道旅客公社(アムトラック)副社長「30年代前半に開業する可能性」”. 2024年6月24日閲覧。