ドイツ鷲勲章

ドイツ鷲勲章 (ドイツ語: Verdienstorden vom Deutschen Adler、英:Order of the German Eagle)はナチス・ドイツ体制下のドイツにおける勲章。主に海外におけるナチス・ドイツにとっての政治的・軍事的・経済的な協力者に対して、外交上の業績を表彰する為に授与された。また例外的に自国の外交官や外交政策関係者に対しても、他国との友好関係への貢献を讃えるべく授与される場合もあった。等級については当初は6階級に分けられたが、最終的には10階級にまで細分化された。

ドイツ鷲勲章
Verdienstorden vom Deutschen Adler
Service Cross of the German Eagle.png
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ドイツ鷲勲章の中綬と星章
Reichsadler der Deutsches Reich (1933–1945).svgナチス・ドイツによる栄典
種別 勲章
資格 友好国の国民、及び自国民
対象 外交上の業績を上げた人物に対して
状態 廃止
地位 6等級(後に10等級)
創立 1937年5月1日

1937年5月1日、同国のアドルフ・ヒトラー総統自身の発案によって制定され、ベルリン陥落による政権崩壊まで授与が続けられた[1]。ナチス政権の初期から存在する勲章として、政治・軍事関係者以外にも親独的な外国人に対して広く授与され、大国ドイツとの人脈を示す名誉な勲章として扱われた。

しかしナチス・ドイツが敗戦し、またナチ党の非倫理的な蛮行が知られるにつれて、一転して対独協力者としての立場を示す不名誉な経歴となった。

目次

授与対象者編集

ドイツ鷲勲章(ドイツ語: Verdienstorden vom Deutschen Adler)は、アドルフ・ヒトラー政権が他国と関係を結ぶ上で協力的な人々、即ちはナチ党ナチズムに対して好意的な外国人への親愛を示す為に制定された。上の等級では国家指導者や大臣などの政治的要人、下の等級では外交官や企業家などの有力者に授与された。性質上、当然ながら外国人に対する授与が基本であったが、自国民であっても外交上の功績を持つ人物を表彰する場合に例外的に特別授与(Sonderstufe)される事もあった。

具体的には外務大臣保護国となったボヘミア及びモラヴィアベーメン・メーレン保護領)の総督に対して行われ、保護領総督と外務大臣の双方の経験があるコンスタンティン・フォン・ノイラートが特別授与されている。また後任の外務大臣となったヨアヒム・フォン・リッベントロップ[2] 、保護領総督の後任を務めたヴィルヘルム・フリックも特別授与を受けている[3]。外務大臣や保護領総督以外には親衛隊全国指導者の地位にあったハインリヒ・ヒムラーも授与されている。

形状と等級編集

マルタ十字型の十字章に「アドラー(黒鷲)がハーケンクロイツ(鉤十字)を掴んでいる」というナチス・ドイツの国章を十字の角に付けたものを基本的な形状とし[1]、それに階級に合わせて剣などの装飾を付け足すという、概ね騎士鉄十字章などと同じくドイツの伝統的な勲章の等級制度を用いた。リボンの色は白・黒・赤、十字章は白色、アドラーは金色が採用された。全体として等級やデザインはプロイセン時代の最高勲章である黒鷲勲章en:Order of the Black Eagle)や赤鷲勲章en:Order of the Red Eagle)に倣ったものといえた。

6-7等級制(1937年-1943年)編集

1937年から1943年まで、ドイツ鷲勲章は以下の6等級に分かれた[2]

  • 1 星章付ドイツ鷲大十字勲章 (Grosskreuz des Deutschen Adlerordens)
  • 2 星章付ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden mit Stern)
  • 3 一級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Erste Stufe)
  • 4 二級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Zweite Stufe)
  • 5 三級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Dritte Stufe)
  • 一番下の等級は騎士団勲章ではなくメダルが授与された。
    • 6 ドイツ鷲功労メダル (Deutsche Verdienstmedaille)

1937年9月25日、星章付ドイツ鷲大十字勲章を上回る等級としてダイヤモンド付ドイツ金鷲大十字勲章 (Grosskreuz des Deutschen Adlerordens in Gold und Brillanten)を制定し、ムッソリーニへ授与した[2]。このドイツ鷲勲章の最高等級をヒトラーが別の人間に授与する事はなく、盟友であるムッソリーニただ一人にのみ与えられる栄誉となった。

10等級制(1943年-1945年)編集

1943年12月27日、ドイツ鷲勲章は以下の10等級に細分化された[2]。大十字(グランドクロス)ではない星章付鷲勲章が廃止される一方、新たに金鷲勲章に星章付の大十字勲章が追加された。通常のドイツ鷲勲章については一級から三級までであったものが、一級から五級までに分化された。またドイツ鷲功労メダルについても銀メダルと銅メダルの二種類に分けられた。

  • 1 ダイヤモンド付ドイツ金鷲大十字勲章 (Grosskreuz des Deutschen Adlerordens in Gold und Brillanten)
  • 2 星章付ドイツ金鷲大十字勲章 (Goldenes Grosskreuz des Deutschen Adlerordens)
  • 3 星章付ドイツ鷲大十字勲章 (Grosskreuz des Deutschen Adlerordens)
  • 4 一級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Erste Stufe)
  • 5 二級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Zweite Stufe)
  • 6 三級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Dritte Stufe)
  • 7 四級ドイツ鷲勲章 (Deutscher Adlerorden, Vierte Stufe)
  • 8 五級ドイツ鷲勲章(Deutscher Adlerorden, Fünfte Stufe)
  • これより下の等級は騎士団勲章ではなくメダルが授与された。
    • 9 ドイツ鷲功労銀メダル (Silberne Verdienstmedaille)
    • 10 ドイツ鷲功労銅メダル (Bronzene Verdienstmedaille)

主な受勲者編集

ダイヤモンド付ドイツ金鷲大十字勲章編集

星章付ドイツ金鷲大十字勲章編集

その他の著名な受勲者編集

関連項目編集

出典編集

  1. ^ a b AWM Collection Record: RELAWM30337A”. Australian War Memorial (2008年9月). 2012年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i . Wendel, Marcus. “Holders of the Grand Cross of the Order of the German Eagle in Gold”. Axis History Factbook. 2009年9月17日閲覧。
  3. ^ . David Littlejohn and Colonel C. M. Dodkins. (1968). Orders, Decorations, Medals and Badges of the Third Reich. R.James Bender Publishing California. p. 20 confirms all 3 German recipients. 
  4. ^ Cabadas, Joe (2004). River Rouge. MotorBooks/MBI Publishing Company. pp. 75. ISBN 978-0-7603-1708-2. ) cited in Joe Cabadas (2008). River Rouge. Google Book Search. http://books.google.com.au/books?id=9zajnazq3HEC&pg=PA75&lpg=PA75&dq=%22Order+of+the+German+Eagle%22&source=web&ots=BN52SP3pzo&sig=BAXBWhuynDrPGVpV422lCm9Ge6k&hl=en&sa=X&oi=book_result&resnum=7&ct=result#PPP1,M1 2008年12月1日閲覧。. 
  5. ^ Geoffrey G. Jones, Adrian Brown, "Thomas J. Watson, IBM and Nazi Germany", Harvard Business School Case 9-807-133, October 2008
  6. ^ Einar W. Juva: "Rudolf Walden 1872-1946" page 621
  7. ^ Einar W. Juva: "Rudolf Walden 1872-1946" page 621