ナンガラ (潜水艦)
KRI ナンガラ (インドネシア語: KRI Nanggala, 402)は、インドネシア海軍が保有していた潜水艦である。過去に同名の艦艇(船体番号はS-02)が存在しており、これと区別するためにNanggala II と呼ばれた時期もあったが、沈没後は大きく描かれた船体番号402の写真が取り上げられる機会が多く、402と船体番号で呼ばれる事がほとんどとなった。なお、ナンガラは神話由来の名前であり、神が持つ槍を示す為、ナンガラ単体では別の単語となる。
KRI Nanggala (402) | |
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基本情報 | |
建造所 | ホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船 |
運用者 | インドネシア海軍 |
艦種 | 通常動力型潜水艦 |
級名 | カクラ級潜水艦 |
艦歴 | |
発注 | 1977年4月2日 |
起工 | 1978年3月 |
進水 | 1980年9月10日 |
竣工 | 1981年7月6日 |
就役 | 1981年10月21日 |
最期 | 2021年4月21日 |
現況 | バリ海7° 48'S114°51'E地点の海底838mにて沈没 |
要目 | |
基準排水量 | 1,285トン |
水中排水量 | 1,390トン |
長さ | 59.5 m |
幅 | 6.2 m |
吃水 | 5.4 m |
速力 |
水上:11ノット 水中:21.5ノット |
概要
編集1978年に209型潜水艦シリーズの一隻として西ドイツで製造、1981年にインドネシア海軍に編入された。兄弟艦のカクラと共にカクラ級潜水艦とされる(ナンガラは2番艦)。
1997年から1999年にかけて近代化改装を受け、継いで2010年からも2年間(25ヶ月間)、韓国の大宇造船海洋で大規模な改良工事が施され、安全潜行深度が240メートルから257メートルに、速力が21.5ノットから25ノットに向上したと報じられている[1]。
2012年1月に再投入された。
事故
編集2021年4月21日、バリ島の北約96キロメートルの海域で53人を乗せ魚雷発射訓練のため潜航中に消息を絶ち、捜索中であることが発表された[2][3]。
3日後の4月24日にインドネシア海軍は乗員53人全員が死亡したと発表した。潜水艦内に搭載されていた酸素は24日の朝に尽きていたとみられる[4]。
沈没原因の詳細は調査中ではあるが、水圧に耐えられず水中で大破した可能性があるとみられている。
深海からの海洋サルベージは特殊な事例(プロジェクト・ジェニファーを参照)を除いて実績は無く、ナンガラの引き揚げは費用面や技術面から絶望視されているが、中国人民解放軍海軍は引き上げに名乗りを上げ、同年中に潜水艦救難艦「永興島863」、科学調査船「探索2号」を現地に派遣して引き揚げに向けた作業を開始[5]したものの、同年6月2日、インドネシア海軍は引き揚げ作業を断念。中国との協力終了後、回収作業を継続する計画はないと言明した[6]。
2021年6月27日、遠洋練習航海中の海上自衛隊練習艦隊(司令官:石巻義康、実習幹部:71期幹候修了生、練習艦「かしま」「せとゆき」)は、洋上慰霊祭を実施した[7]。
脚注
編集出典
編集- ^ handr (2009年12月15日). “Kapal Selam TNI-AL Diperbaiki di Korea Selatan”. Antara News. 2021年4月27日閲覧。
- ^ “インドネシア潜水艦が消息絶つ 艦内に53人、周辺国に捜索支援要請”. AFP通信. (2021年4月21日) 2021年4月22日閲覧。
- ^ 大塚, 智彦 (2021年4月22日). “インドネシア海軍潜水艦、潜行中に消息不明に ドイツ製・韓国で改修した旧式艦、乗員53人の安否は”. ニューズウィーク日本版 2021年4月22日閲覧。
- ^ 高木, 香奈; 鈴木, 一生 (2021年4月24日). “インドネシア潜水艦沈没、53人死亡と報道 水圧耐えられず大破か”. 毎日新聞 2021年4月25日閲覧。
- ^ “インドネシア潜水艦引き揚げに協力する中国海軍の舌なめずり”. JB Press (2021年5月20日). 2021年5月29日閲覧。
- ^ “潜水艦引き揚げを断念、53人死亡と判断 インドネシア”. 朝日新聞DIGITAL (2022年6月3日). 2022年2月11日閲覧。
- ^ “海自、バリ島北海域で洋上慰霊祭 インドネシア軍潜水艦事故の犠牲者53人を追悼”. 大紀元 (2021年6月28日). 2022年2月11日閲覧。