ニュー・パースペクティブ

2009年に発売されたパニック!アット・ザ・ディスコのシングル曲
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ニュー・パースペクティブ」(New Perspective)は、アメリカ合衆国のポップ・ロック・バンドであるパニック!アット・ザ・ディスコの楽曲。映画『ジェニファーズ・ボディ』のサウンドトラックとして制作され、2009年7月28日に同作からの先行シングルとして発売された。作詞作曲はブレンドン・ユーリージョン・フェルドマンの共作で、プロデュースはフェルドマンが手がけた[4]

ニュー・パースペクティブ
パニック!アット・ザ・ディスコシングル
初出アルバム『ジェニファーズ・ボディ
リリース
ジャンル
時間
レーベル
作詞・作曲
プロデュース ジョン・フェルドマン
チャート最高順位
後述を参照
パニック!アット・ザ・ディスコ シングル 年表
  • ニュー・パースペクティブ
  • (2009年)
ジェニファーズ・ボディ 収録曲
キス・ウィズ・ア・フィスト / フローレンス・アンド・ザ・マシーン
(1)
ニュー・パースペクティブ / パニック!アット・ザ・ディスコ
(2)
ティーンエイジャーズ / ヘイリー・ウィリアムス
(3)
ミュージックビデオ
「New Perspective」 - YouTube
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本作は、ギタリストのライアン・ロスとベーシストのジョン・ウォーカーの脱退後に発売された初のシングルとなった。また、本作からバンド名が感嘆符を含む表記に戻った[注釈 1]

制作までの経緯 編集

2009年7月6日、公式サイト上でライアン・ロスとジョン・ウォーカーが脱退を発表[6]。脱退に際してロスとウォーカーは以前は僕ら4人も一緒に音楽を作っていたけれど、創作面で別々の方向へ発展したことで、各人が個人として達成したいものを損なう結果になってしまっていた。長年の間、僕らは互いに親しく、正直でいたから、それぞれの目標とするものが違っていて、別々の道を進んだほうが絶対にいいんだってことに気づくことができたと述べ[7]、脱退後に応じた『NME』誌のインタビューでロスはジョンとふたりで気付いたんだよね。あのバンドをやっている限り、ある種の妥協をいつも強いられて、二度と自分たちのやってることに満足できないんだろうなってねと語った[8][注釈 2]。脱退発表時点で3作目のスタジオ・アルバムの制作が最終段階に入ったことや、夏にブリンク 182とのツアーを開催することが報じられていたが、ブレンドン・ユーリーとスペンサー・スミスの2人でパニック!アット・ザ・ディスコとして活動を続けることで「予定どおり行なう」ことが宣言された[10]

「ニュー・パースペクティヴ」のレコーディングは、ジョン・フェルドマンのプロデュースのもとで行われた[11]。曲の最初のヴァースはユーリーが手がけ、残りのパートはフェルドマンとの共作となっている[12]。最初のヴァースの歌詞は、ユーリーが楽曲制作の2年前に見た夢がモチーフとなっており、「とてもはっきりとした夢を見たから、忘れる前に書き留めようと思ったんだ。でも何かを説明するのが上手じゃないから、書き上げたヴァースの歌詞はとりとめのないものになってしまった」と語っている[13]。バンドの広報係は、ロスとウォーカーが本作の制作に関わっていないことを明かしている[14]。2009年7月時点で、バンドはデビュー・アルバム『フィーバーは止まらない』のようなエレクトロニック調の楽曲、フランク・シナトラクイーンのスタイルを模した楽曲など10曲から11曲ほどのデモ楽曲を制作しており、「ニュー・パースペクティブ」はそのうちの1曲であった[15]。その後、20世紀フォックスから映画『ジェニファーズ・ボディ』のサウンドトラックの提供を持ちかけられ、バンドはこれを承諾[13]。ユーリーによれば「楽しそうに聞こえる」本作が映画と合うか不安だったが、映画の視聴後に本作と映画がうまく合っていたことに感動したという[13][注釈 3]

リリース・評価 編集

映像外部リンク
  Panic! At the Disco - 'New Perspective' - YouTube

2009年7月7日、『オルタナティヴ・プレス』が本作の発売を発表した[14]。同年に開催された『サンディエゴ・コミコン』で、ユーリーがソロのアコースティック編成で本作を初披露した[16]。7月28日、バンドの公式MySpaceで本作をプレミア公開し、同日にはロスとウォーカーが結成した新しいバンド、ザ・ヤング・ヴェインズもバンド初の楽曲「Change」を自身の公式MySpaceで発表した[17]。ザ・ヤング・ヴェインズ側が事前告知を行っていなかったことから、MTVニュースは「パニック!アット・ザ・ディスコを出し抜こうとしている」と見なしたが、スミスは「僕はまったくショックを受けたり怒ったりしていない。約3週間もバンドが何をしているか知られていなかったし、音楽が同じタイミングで発売されるのは良いことだと思う」と答えた[11]

8月18日、ラジオで本作がエアプレイされた[10]。ラジオでは歌詞の一部を編集でカットしたバージョンが使用された[12]

ビルボード』誌のモニカ・エレラは、本作の特徴として「力強い楽器演奏とオペラ風のボーカル」「『プリティ。オッド。』を思い起こさせるミッドテンポ」を挙げ、「歌詞が現状をしっかりと捉えている」と評した[4]

ミュージック・ビデオ 編集

「ニュー・パースペクティブ」のミュージック・ビデオは、2009年9月4日にフュエルド・バイ・ラーメンの公式YouTubeチャンネルで公開された[18]。監督はカイ・リーガンが務めた[19]

ビデオは、黒のスーツを着用したユーリーとスミスが高校の廊下を歩きまわる様子で構成され[20]、映画『ジェニファーズ・ボディ』の映像も一部使用された[21]

クレジット 編集

※出典[22]

チャート成績 編集

週間チャート
チャート (2009年) 最高位
オーストラリア (ARIA)[23] 69
カナダ (Canadian Hot 100)[24] 78
US Bubbling Under Hot 100 (Billboard)[25] 4

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2作目のスタジオ・アルバム『プリティ。オッド。』発売前の2008年1月に感嘆符が付かない「パニック・アット・ザ・ディスコ」(Panic at the Disco)という表記に変更された[5]
  2. ^ MTVニュースのインタビューで、ロスがユーリーとの間で創作性の違いが生じていて、ロス(とウォーカー)が「レトロな印象を持たせたロック」調の楽曲作りに興味を持っていたのに対し、ユーリーがバンドに求めていた音楽が「より洗練されたポップ・サウンド」であったことを語っている[9]
  3. ^ 映画では主人公たちがプロムへ行く準備をするシーンで使用された[13]

出典 編集

  1. ^ Seabaugh, Julie (6 August 2009). "Two-act disco". Las Vegas Weekly. Greenspun Media Group. 2023年12月12日閲覧
  2. ^ "Panic! At The Disco - Vices & Virtues". Alternative Press. 5 March 2011. 2023年12月12日閲覧
  3. ^ 山西絵美 (2018年7月5日). "パニック!アット・ザ・ディスコ(Panic! At The Disco)『Pray For The Wicked』ブレンドンはブロードウェイでの経験をどう楽曲に落とし込んだのか?". Mikiki. タワーレコード. p. 5. 2024年3月21日閲覧初期の頃に回帰したような直球のポップ・パンク"New Perspective"
  4. ^ a b Herrera, Monica, ed (August 22, 2009). “Singles”. Billboard (Nielsen Business Media) 121 (33): 32. ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=BKrMkpe3hGgC&pg=PT32. 
  5. ^ Futterman, Erica (10 January 2008). "Panic at the Disco Drop Exclamation Point, Announce LP Title and Honda Civic Tour". Rolling Stone. 2023年7月1日閲覧
  6. ^ Nagy, Evie (6 July 2009). "Two Members Quit Panic At The Disco". Billboard. 2023年12月16日閲覧
  7. ^ "パニック・アット・ザ・ディスコのメンバー2人が脱退". rockin'on.com. ロッキング・オン. 2009年7月7日. 2023年12月16日閲覧
  8. ^ "元パニック!アット・ザ・ディスコのライアン・ロスが脱退と新作について語る". rockin'on.com. ロッキング・オン. 2010年5月25日. 2023年12月16日閲覧
  9. ^ Montgomery, James (13 July 2009). "Exclusive: Ryan Ross Talks About Leaving Panic! At The Disco". MTV News. MTV. 2023年12月16日閲覧
  10. ^ a b Kreps, Daniel (6 July 2009). "Panic At the Disco Lose Members Ryan Ross and Jon Walker". Rolling Stone. 2023年12月16日閲覧
  11. ^ a b Montgomery, James (31 July 2009). "Panic! At The Disco's Spencer Smith Wants New Music To Do The Talking". MTV News. MTV. 2023年12月16日閲覧
  12. ^ a b Montgomery, James (16 September 2009). "Panic! At The Disco Talk Sexy Lyrics From 'Jennifer's Body' Soundtrack". MTV News. MTV. 2023年12月19日閲覧
  13. ^ a b c d Futterman, Erica (18 September 2009). "Panic! at the Disco Talk "Jennifer's Body" Song, Plans for New LP". Rolling Stone. 2023年12月19日閲覧
  14. ^ a b "AltPress Exclusive: First Ryan Ross-less Panic At The Disco song out August 17". Alternative Press. 7 July 2009. 2023年12月19日閲覧
  15. ^ Montgomery, James (30 July 2009). "Spencer Smith Explains Why Panic! At The Disco Brought Back The '!'". MTV News. MTV. 2023年12月19日閲覧
  16. ^ Combs, Seth (24 July 2009). "Panic's Brendon Urie Plays Comic-Con!". SPIN. Next Management Partners. 2023年12月19日閲覧
  17. ^ Hyclak, Anna (28 July 2009). "LISTEN: Panic at the Disco Release New Song". SPIN. Next Management Partners. 2023年12月19日閲覧
  18. ^ Panic! At The Disco: New Perspective [OFFICIAL VIDEO]. 4 September 2009. 2023年12月20日閲覧
  19. ^ Schoenberger, Colin (9 September 2009). "Buzzworthy Obsession: Backstreet Boys' Vampire-Themed 'Straight Through My Heart' Video". MTV News. MTV. 2023年12月20日閲覧
  20. ^ Kandell, Steve (2 September 2009). "Watch: Panic! at the Disco's New Music Video". SPIN. Next Management Partners. 2023年12月20日閲覧
  21. ^ Schiller, Rebecca (11 July 2018). "Panic At The Disco Music Video Evolution: Watch". Billboard. 2023年12月20日閲覧
  22. ^ Panic! At The Disco (8 April 2017). New Perspective. 2023年12月19日閲覧
  23. ^ "ARIA Top 100 Singles – Week Commencing 31st August 2009" (PDF). Australian Recording Industry Association. 2009年10月12日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2023年12月20日閲覧
  24. ^ "Panic! At The Disco Chart History (Billboard Canadian Hot 100)". Billboard. 2023年12月20日閲覧
  25. ^ "Panic! At The Disco Chart History (Bubbling Under Hot 100)". Billboard. 2023年12月20日閲覧

外部リンク 編集